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旅は道づれ・・・シニア・ロングウオーキング>  その7

   四国八十八寺巡拝・涅槃の巻(後編)

・・72番・曼荼羅寺から88番・大窪寺・・


77番・道隆寺へ多度津町の遍路道を行く
       期   間:平成25年10月9日から10月15日 (7日間)
       参加人員: 7名 (文責:飯星宏徳) 


 1 はじめに 

 スタート時には遥か彼方の存在だった結願・大窪寺へ今回参拝となる。我々のシニヤ遍路は7回の区切り打を採用して4年になったが、仲間と共に無事にこの日を迎えられた幸運を噛みしめたい。
 ひと口に4年間と云っても、仲間達にとって1ステージ7日間を毎日歩行する非日常的な旅は、本人はもとより家族にも影響があったと思う。最終ステージを無事迎えられることはそうした諸条件に恵まれたことを忘れてはなるまい。だぶん、このような規模の旅は個人的には別としてグループとしては今後難しいだろう。
 そうした点からも、この企画は貴重な体験になった。最終ステージでは88番寺の結願後に高野山へも参拝予定があり総集編として成功を願っている。

  個人的には、グループでの長距離歩行の機会が少ないので、仲間とのコミニュケーションと歩行の効用を考えてみたい



 
2 トピック&スケッチ  

第1日目 10月9日(天気 快晴):72番・曼荼羅寺から77番・道隆寺  (75番善通寺・宿坊泊)
 
 新宿駅から夜行高速バスで善通寺インターに着く。空海誕生の地・75番善通寺に荷物を預けて周辺の72番寺から77番寺を拝巡。

 懸念していた台風は去り、当分は好天気が続くらしい。香川県ならではの小山が点在した穏やかな景観を楽しむ。



   ありがたや 秋雲残し
   嵐去り
   遍路日和に 笑顔はじける





第2日目 10月10日(天気 晴後曇):善通寺駅から鬼無駅 (百々家旅館)
 
 善通寺駅から宇多津駅まで電車を利用。78番寺から80番寺まで巡拝して再度国分駅から鬼無駅まで電車を利用した。明日は空身で引き返して81番寺へ向かう。

 善通寺宿坊の朝のお勤めに参加する。10名ほどの仏僧の読経を聞き、御影堂地下の「戒壇めぐり」で暗闇の体験する。



   錫杖の お祓いを受け
   読経の
   声身にしみる 朝の勤行
   





第3日目 10月11日(天気 小雨後晴):鬼無駅から高松市 (屋島ささや旅館 泊)

 電車で鬼無駅から八十場駅へ戻り81番寺へ向かう。途中から標高差160mの石段を登り山中の81番寺に着く。更に樹林帯の未舗装路を東進して82番寺を経て鬼無駅に下った。

 通常は国分寺から遍路ころがしと云われる南面尾根を登り81番寺へ向かうが急登を避けて東面路を選ぶ。  



   天上の 社へ続く
   石段を
   縁を賜り ゆらゆら登る








第4日目 10月12日(天気快晴):鬼無駅から高松市 (屋島ささや旅館 泊)

 電車で屋島駅から鬼無駅へ戻り83番寺へ向かう。寺からは高松市内を進むが途中の栗林公園と玉藻公園へ電車で移動して見学した。

 高松市内には手打うどんの専門店が目立つ。味は勿論値段も手ごろで、それだけ市民に親しまれているのだろう。



   つるつると 咽ごしさわやか
   舌ずつみ
   ウドンの讃岐は 母のふるさと






 夜になって宿近くの大宮八幡宮の秋祭りを見物。町内の氏子による恒例の行事らしい。



    シャンシャンと 巫女舞う鈴の
   音哀し
   雅楽の笛に 調子合わせて







第5日目 10月13日(天気 快晴):高松市から長尾 (長尾路旅館 泊) 

 琴電屋島駅前の宿から85番寺、86番寺を経て87番寺を巡拝して寺脇の長尾路に投宿。

 86番寺のある志度町は山車(ダシ)の名所で秋祭りの最中。各町内から繰り出された山車が太鼓の音と共に華やいでいた。


   晴れやかな 秋空のもと
   山車を引く
   黒の股引 揃いのハッピ






第6日目 10月14日(天気 快晴):長尾から88番経由大阪難波駅 (アパホテル心斎橋 泊)

 各自、巡拝の日々を振り返り88番寺へ。途中の「前山おへんろ交流サロン」に立ち寄り記念の「遍路大使任命書」を発行してもらう。結願の後に記念写真を撮影、明日高野山へお礼参りに行くために志度インターから高速バスで難波へ向かった。

 88番・大窪寺の山門で無事到着した実感を味わい揃って拝礼。


   同行の 七人無事に
   結願す
   シニア遍路の 大きな冒険  






第7日目 10月15日(天気雨):大阪難波駅から高野山経由・帰京

 台風26号の影響で今日は雨天。山上の聖地に相応しい雨の中を女人堂から金剛峯、弘法太師御廟を参拝した。

  一の橋から御廟まで宗派を超えて多くの階級の人々の墓や墓標がある。その数は20万を超えるとか。


   立止まり 思わず見上げる
   大ヒノキ
   霊気集めて 高さを競う







3 あとがき(所感)

1)加齢と共に「思わぬ障害」に見舞われる年代になり、諺に云う「棒ほど願って針ほど叶う」を実感しているので、4年間で7回の長期歩行を仲間達と共有出来たことは幸運の一言に尽きる。これも、拙いプランをサポートしてくれた皆さんのおかげで、お礼を云いたい。ありがとうございました。

2)改めて、遍路等の歩行の意味を考えてみた。主要なのに、健康、信仰や修行、思索、観光、教育、競争と練習、生活、コミニュケーションが挙げられる。先史時代から「歩き」は生存のための重要な要素だったが現代はその重要度は低下していると云われている。各年代において上記歩行の意味は異なるが、シニヤ年代としては「健康のために歩く」が大きなテーマに違いない。しかし、個人的には「健康のために歩く」でなく「歩くために健康」と考えたい。そして健康を保持するのに暴飲暴食は慎みたいひとつだ。

3)また、今回テーマにしたコミニュケーションも歩行と密接な関係があり、仲間達の達者な会話力は歩行の効用として見習いたと思った。更に、信仰や思索、及び観光を目的とした歩行も加齢と共に重要なテーマになるだろう。

4)今回も、遍路コースを忠実にトレースすることよりも、負荷を軽減するために荷物を宿へ置いて空身で行動する設定をした。そのために公共交通を積極的に活用したので交通担当者には頻繁に切符購入やダイヤ調査の手間が増えお世話になった。

5)2日目に造船の町・坂出を通過したが、市街地のアーケイドはシャター通りなって閑散としていた。このような風景は他所にも見られ、経済最優先の傾向は住民にとって繁栄につながるのか疑問が残る。便利さを追求した結果、後世に悔いを残すような気がした。

6)13年前の遍路歩行時と比べて外国人の姿が多くなったようだ。遍路道がロングウオークとして世界的にも評価されてきたのかも知れない。トレッカーにとっては、各寺の建造物と道中のトレイル完備、又英語版の地図と案内書が容易にしているようだ。今後、世界遺産の登録が実現して多くの歩行者が訪れて欲しいものだ。

4 資 料 関 連

 4-1 概略距離タイム&概略タイム(実働118km、実働32時間50分)
                      高野山参拝を含む
第1日目 10月9日:72番・曼荼羅寺から77番・道隆寺(善通寺宿坊泊)<→>                    距離:21km、6時間10分
 善通寺インターバス停(8:15)-75番寺(9:40-10:15)-74番寺(10:40-50)-72番寺(11:30-40)-73番寺(11:45-11:55)-昼食・吉原 (12:35-13:10)-76番寺(14:15-30)-77番寺(15:36-41)-多度津駅(15:54-16:09)・・善通寺駅(16:16)-75番寺(16:30)
1)夜行バスで丸亀駅まで行く予定だったが手前の善通寺インターで停車するので変更して下車。
2)75番寺から空身で逆打して77番から多度津駅へ出て電車で善通寺駅へ戻った。

第2日目 10月10日:善通寺駅から鬼無駅(百百家旅館 泊)
               距離:17km、4時間20分
 宿出発(8:00)-善通寺駅(8:18-9:07)・・宇多津駅(9:28)-78番寺(9:50-10:10)-79番寺(11:45-55)-昼食(12:15-55)-80寺(14:30-50)-国分駅(15:00-05)・・・鬼無駅(15:18)-宿・百百家旅館(15:20) <↓>
1)善通寺の朝勤行は40分、その後朝食や住職との記念写真で出発が遅くなり予定よりひと駅先の宇多津駅まで電車利用。
2)明日の81番寺、82番寺へ空身で巡拝するための国分駅から鬼無駅へ電車で移動。  
          

第3日目 10月11日:鬼無駅から八十場駅経由屋島駅(ささや旅館 泊)
                 距離:20km、6時間
 宿出発(6:50)-鬼無駅(6:53-7:00)・・八十場駅(7:15)-山道分岐(9:10-25) <↑>-81番寺(9:50-10:15)-82番寺・昼食(12:15-50)-鬼無駅(14:30-45)・・屋島駅(15:15)-宿(15:25)
1)八十場から81番寺へは立派な石段が続く正規の拝礼コース。
2)明日も空身で行動出来るよう電車で鬼無駅から屋島駅へ移動。

第4日目 10月12日:屋島駅から鬼無駅経由屋島駅(ささや旅館 泊)<↑>
                  距離:15km、4時間
 宿出発(7:00)-84番寺(8:00-9:05)・・屋島駅(9:14-22)・・鬼無駅(10:00)-香東大橋(11:20)-昼食(11:40-12:05)-83番寺(12:10-30)-一の宮駅(12:40-52)・・栗林駅(13:00)-栗林公園(13:05-14:00) -栗林駅(14:15)・・築港駅(14:28)-玉藻公園(14:32-14:50)-片原町駅(15:00-16:06)・・琴電屋島駅(16:22)-宿(16:25)
1)83番寺参拝後は、市内見物として栗林公園<↓>と玉藻公園<↓>を散策。
2)栗林公園ではボランテアの説明を受けて充実した見学が出来た。
       

第5日目 10月13日:屋島駅から87番・長尾寺(ながお路 泊)
                 距離:20km、5時間40分
 宿出発(6:50)-ケーブル下(7:50-55)-85番寺(8:20-40)-二ツ池(9:20)-志度寺・昼食(10:55-11:45)-86番寺(12:00-20)-87番寺(14:10-35)-宿(14:35)<→>
1)85番寺はケーブルカーも利用出来るが標高差160mと短いので徒歩でも大差ない。
2)二ツ池親水公園から遍路道は海側を辿る。  

第6日目 10月14日:長尾寺から88番・大窪寺経由大阪難波駅
               (アパホテル心斎橋 )     距離:17km、4時間10分
 宿出発(6:55)-塚原(7:25)-前山ヘンロサロン(8:15-40)-大多和(9:23)-多和(10:25)-88番寺(11:40-13:30)<写真9>・・長尾路(14:10-14:40)・・志度高速バス停(15:00-16:46)・・難波バス停(18:50)-宿・アパホテル心斎橋(19:00) <→>
1)前山おへんろ交流サロンは8時開店、遍路の資料展示あり。
2)結願後コミュニテイバスで長尾に戻り、荷物を回収してタクシーで志度インターのバス停へ行ったが、宿に依頼して荷物を長尾バス停まで運べば同じバスでインターへ行けた。

第7日目 10月15日:難波駅から高野山(車中 泊)
             (距離:8km、2時間30分)
 宿出発(7:45)-南海電車・難波駅(8:10-19)・・橋本駅(9:11-16) ・・極楽駅(10:01-05) ・・ケーブル駅(10:10-45)-女人堂(10:53)-金剛峯寺(11:22-27) <↓>-根本大塔(11:35-40)-昼食(11:55-12:25)-中の橋(12:50)-御廟(13:20-40) <↓>-奥の院バス停(13:55-14:06)-ケーブル駅(14:26-34)-極楽駅(14:40-45)-橋本駅(15:25-:58)-五條駅(16:25)・・金剛の湯(16:38-17:40)・・五條駅(17:50-21:10)・・・高速バス・・・翌日・新宿駅(6:10)
1)高野山には52寺の宿坊があり観光客や信仰者で通年賑わっているとのこと、事前調査をして訪れたい。  
        

4-2 宿泊地
  
   9日  善通寺・宿坊  TEL: 0877-62-0111 (宿泊代\5,800-)    ☆☆☆
 10日 百百家旅館    TEL: 087-882-0874 (宿泊代\6,000 -)    ☆☆
 11・12日 ささや旅館TEL:087-841-9533 (宿泊代\6,300-X2)     ☆☆
 13日 ながお路     TEL: 0879-52-3084  (宿泊代\6,500-)    ☆☆☆
 14日 アパホテル・心斎橋 TEL: 06-6214-0111 (宿泊代\5,600-)   ☆     
  
  
4-3 費 用
 
 ・交通費:¥29,890-
    岩槻駅~新宿駅・往復(1,280)、新宿駅~善通寺インター バス(10,100)、多度津駅~善通寺駅(170)、善通寺駅~宇多津駅(220)、国分駅~鬼無駅(200)、鬼無駅~八十場駅(260)、鬼無駅~屋島駅往復\700) 、屋島~屋島駅バス(100)、一の宮~栗林公園~港地(490)、片原町から屋島琴電 (240)、88番~長尾バス(500) 、長尾~志度インター・タクシー (500)、志度~大阪バス(3,300)、難波~高野山往復(2,780) 、橋本~五条(200) 、五条~金剛の湯タクシー(390)、 五条~新宿バス(8,460)、注意:JR線と高速バスは一部グループ割引有

 ・宿泊費:¥36,500-(6泊分)

 ・飲食&昼食費:¥15,920-

 ・ 納経料:¥5,700- (72番寺~88番寺(@¥300x18) &高野山御廟(@300x1))

 ・その他:¥2,100-  (温泉入浴:700- ,栗林公園入園:400-,記念写真1,000-) 

          合計=
¥90,110-


4-4 シニア遍路の全体記録 

ステージ

日 数

歩行 距離

km

歩行 時間

  HrMin

参加者

 数

巡 拝 寺

費 用

 円

105

36.50’

 3

1番~19番

 52,515-

162

45.50’

 6

20番~26番

 74,900-

143

39.10’

 6

27番~37番

 79,175-

160

42.20’

 6

38番~40番

 84,060-

158

40.50’

 7

41番~53番

 84,260-

156

40.

 8

54番~71番

 78,195-

118

32.50’

 7

72番~88番
   高野山

 90,110-



47


1,002


272.40’


43


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 543,215-

    入下山は夜行バスを利用した


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