５８番・仙遊寺から一気に山を下り、振り返ると山里の先に守護神のような仙遊寺・昨礼山が鎮座していた。

　　　とこしえに　ひと際高く
　　 　頂きの　
　　　峰に溶け込む　仙遊禅寺


　　　




第２日目　４月１８日（天気　晴）：今治駅から伊予小松（ビジネス旅館　小松泊）

　５９番寺までタクシーを利用。予定では伊予小松の宿に荷物を預けて空身で６０番寺へ行く予定だったが遅くなり明日に変更した。

　朝一番に納経を済ませ東進して西条へ向かう。爽やかなひと時に足取りも軽い。

　　　早朝の　光に路に
　　　導かれ
　　　自問自答の　善男善女
　　　

第３日目　４月１９日（天気　曇り後晴）：伊予小松から伊予三島（旅館つるや　泊）

　６０番寺への登路はタクシーを利用し下山を歩く。宿で荷物を受け取り伊予三島へ向かうが途中の中萩駅からは明日歩くことにして電車で伊予三島駅へ。

　６４番・前神寺の静寂な本堂庭を老女が独り黙々と落葉を掃いていた。そのリズムカルな音は念仏にも似ていた。



　　　本堂の　落葉掃く音
　　　軽やかに
　　　奉仕の老女　無心さ漂う

第４日目　４月２０日（天気　晴）：伊予三島から寺逆打ち（旅館つるや　泊）

　昨日の駅まで３０ｋｍ戻るので中間の関川駅で区切り２組に分かれて距離を半分にした駅伝方式を採用。

　伊予三島駅前の商店街はシャター通りの見本のようなアーケイドだ。時々通る車音が天井にこもり空しさを残していた。



　　　アーケイド　来る人もなく
　　　さびれ去り
　　　文化蝕む　都市の廃墟化





第５日目　４月２１日（天気　晴）：伊予三島から佐野（民宿　岡田）

　昨日は空身で半日行動のお陰で疲労が回復。６５番・三角寺から常福寺と順調に通過して予定より早く佐野集落の民宿に到着。

　三角寺の駐車場から見上げる急な階段を車遍路の人達がため息をついて仰いでいた。



　　　石段の　登り下りに
　　　気を使い
　　　先を急がず　足をいたわる









第６日目　４月２２日（天気　快晴）：佐野から観音寺（若松屋別館 泊）。

　今回、最大の難所６６番雲辺寺を経て６７番・大興寺まで来ると田園風景が広がる。観音寺の宿に荷物を預けて近くの６８番６９番を参拝した。展望台からの銭形砂絵が素晴らしい。

　　雲辺寺の険しい山道を下り平坦路になると丁石（丁石地蔵）と呼ばれる道標が遍路者を導いてくれる。


　　　ありがたや　顔施地蔵の
　　　出迎えに
　　　疲れ癒され　心おだやか

第７日目　４月２３日（天気　快晴）：観音寺から７１番寺往復
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・・観音寺駅翌日・新宿駅

　宿に荷物を預けて財田川沿いに進み７０番・本山寺を経て国道１１号線と県道２２１号線を北上。今回最後の７１番寺・弥谷寺から３ｋｍ戻り、みの駅から電車で観音寺駅に帰った。

　本山寺の仁王門を入ると左手に修行大師の立像があった。邪気を払うような金剛杖に強靭な意志を感じた。


　　　菅笠を　目深にかぶる
　　　大師像
　　　鍛えた体に　簡素な衣


　　　　　　　　　　　　　歩一歩と　開運祈願
　　　　　　　　　　　　　念じつつ
　　　　　　　　　　　　　想い伝える　山中の寺




　　弥谷寺は仁王門から大師堂まで１０８段、そこから本堂まで更に１７０段の石段が続く。遍路者泣かせの石段を歩一歩と登る。


３　あとがき（所感）

１）今回は、好天気に恵まれ快適な遍路が出来た。シニア・ロングウオークの要点として、各自の体調を優先し早目に電車等を活用して翌日に疲れを残さないように努めた。更に、スケジュールを固守せずに現状優先で柔軟に変更又、身体への負担軽減のために空身での行動を心がけた。

２）寺数も参加者も多いので、参拝時間の有効活用の一環として納経所の朱印を一括して記帳、支払いも会費負担にして短縮の効果があった。次回も採用したい。

３）４日目は距離が長くなったこともあり行動に変化をつけた。即ち、距離を分割した駅伝方式で負担を軽くして休養日扱いの行動にした。グループ行動の利点と思えた。

４）どの寺も当たり前のように繁栄しており、納経所では「上から目線」の不遜な雰囲気が感じられた。それに比べて隣接した神社の質素さは対象的だ。寺の仁王門と神社の鳥居に代表される格差は日本古来の文化の衰退を見るようだった。

５）パワースポットとしての神社、例えば、延命寺近くの「四国の伊勢神宮」と呼ばれる村山神社や観音寺の琴弾八幡神社等に寺院よりも強く惹かれた。

６）最終日に７１番寺から宿へ帰る電車時刻の改訂を確認せず１時間ほどロスした。

７）いよいよ今秋は結願ステージになる。過去４年の集大成編としてシニアウオークならではの遍路にしたいものだ。そのためには、参加者全員の熱意が発揮出来るような計画を練りたい。