テント担いで四国遍路・3巡目 (徳島・高知編) |
はじめに 初めて四国八十八寺をソロで徒歩巡拝したのは定年時の16年前、2巡目は10年前。そして、3巡目は数人の仲間達と宿泊を利用して4年前に実施した。 今回は、これ迄の体験を参考にして加齢に伴う<心身の老化程度>を実感してみたい。これにより<現在の身の丈>を知り今後の判断資料になればと思う。実施にあたっては、加齢を加味して以下の事項を考慮した。 1)テント野営地は2巡目を参考にして、歩速度の低下分は長時間行動、荷物は現地の食料調達を多くして軽減化をはかる。 2)歩行ペースを荒さないように各寺院では納経を省略して待ち時間を節約。さらに、温泉があれば利用して身体の回復に努める。 3)雨天候等の歩行条件が厳しい時は一部交通機関も考慮する。 野営者の歩き遍路の参考用としてタイム及び設営地の記録を作成した。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ §1 行動の記録 総徒歩距離=263km(24Km/日)、実働総時間=85時間(7時間40分/日) 第1日目 3月14日(天気 快晴)徳島駅から8番(熊谷寺) (距離24Km)実歩行時間 7時間 東京からの夜行バスが徳島駅に早く到着。予定より1時間早く1番寺をスタート出来た。おかげで野営は予定地の3km先・8番寺まで延ばせた。
第2日目 3月15日(天気 晴):8番(熊谷寺)から柳水庵 (距離 22Km)実歩行時間 8時間 今日は後半に12番・焼山寺への<遍路ころがし>と呼ばれる急坂になる。幸い中間地点の休憩ハウス(無人宿)がある柳水庵まで進めるのでテント設営不要。昨日、先行した恩恵にあずかった。
第3日目 3月16日(天気 快晴):柳水庵から広野橋 (距離22Km)実歩行時間 7時間 昨日の残りの急登を経て12番・焼山寺に到着。西方へ伸びる尾根稜を辿り鏡大師を経て鮎喰川まで下降して広野小学校近くの広野橋袂に設営した。
第4日目 3月17日(天気 快晴):広野橋から園瀬橋 (距離25Km)実歩行時間 8時間 鮎喰川沿いに県道21号線を13番寺へ。13番寺から17番寺までは遍路道を辿り市街地を進む。設営予定地・上鮎喰橋に着いたが時間が早いので5km先の文化の森・総合公園で荷におろした。
第5日目 3月18日(天気 晴):園瀬橋から勝浦町 (距離24Km)実歩行時間8時間 今日は平坦な県道・136&28号線を進み18・19番寺を参拝。明日は2つ目の<遍路ころがし>の20番寺・鶴林寺を目指す。
第6日目 3月19日(天気 晴):勝浦町から新野集落 (距離23Km)実歩行時間 8時間 20番寺へは距離は長くなるが傾斜が緩い車道を選択。20番寺から水井橋まで下降して再度21番寺へ登り返し、舎心ケ嶽から阿瀬比集落・大根峠を経て22番寺手前の休憩舎に設営した。
第7日目 3月20日(天気 曇):新野集落から美波町 (距離28Km)実歩行時間 9時間30分 22番寺から23km先の23番寺までは途中の月夜御水庵先から海岸沿への県道25号線を選んだ。設営予定地の日和佐・竜宮公園が園地に開発されて設営不可能のためトレイルに戻り日和佐トンネル手前の休憩舎に設営した。
第8日目 3月21日(天気 雨):美波町から穴喰温泉 (距離14Km)実歩行時間 4時間20分 当初から<雨天時は半日行動>としていたので、途中の牟岐駅から設営予定地の穴喰駅まで電車を利用した。昨日に続き今夜も温泉に入った。
第9日目 3月22日(天気 晴):穴喰温泉から尾崎バス停 (距離26Km)実歩行時間 7時間50分 県境の水床トンネルから高知県に入り海岸線沿いに東洋大師、佛海庵、佐喜浜集落を通り尾崎バス停の待合所に設営。
第10日目 3月23日(天気 曇): 尾崎バス停から浮津集落 (距離24Km)実歩行時間 7時間 国道55号線を3日間南下して白亜の青年大師像に迎えられ室戸岬に到着。30分程急坂を登り24番寺に参拝。再び海岸線まで下降して25番寺へ向かう。
第11日目 3月24日(天気 快晴):浮津集落から27番・神峯寺経て高知駅・新宿駅 (距離32Km) 実歩行時間 10時間20分 最終日は高知駅発の夜行バスまで時間に余裕がある。26番寺から羽根、安田集落を経てくろしお鉄道の終点・奈半利駅に到着。ここから帰路につく予定だったが時間が早いので、11km先の27番寺まで進み最寄駅の唐野浜駅で乗車した
§2あとがき ◇ 今年最初の<大イベント・四国遍路>は天気に恵まれ予想以上に充実した旅が出来た。特に懸念していた<心身の低下>も3日目位からそれなりにペースを掴み集中して歩けた。出発に先立ち考慮した、歩速、納経省略、温泉、そして雨天時の交通機関利用をルールに加えたことで安堵感を得た。 ◇ シニア向けの<歩き遍路>としては適切なルールを決め良いと思う。そして遍路ならではのロングウオーク環境の完備を生かして次の寺を目指して邁進するのでなく、道中の歩きを満喫したい。 ◇ 世界遺産に四国遍路を申請しており、近年は国外のウオーカーも増えているとのこと。道中でオーストラリア、カナダ、フランス人のバックパッカーに出会ったが<英文版・四国遍路>の立派な案内書を持っていた。 ◇ しかし、世界遺産に認定されるには、交通量が多い国道の歩道整備、過疎化した道中の集落(食品店縮小)、野営地の整備(休憩舎は完備しているがバックパッカーはテント泊が主流)が求められる。例えば、昔ながらの<未舗装のへんろみち>を選び途中の連絡区間は車を利用したパックツアーはどうだろうか。 ◇ 歩行速度を測定:平坦路の場合は、約100歩/分(約3km/時間)、前回(10年前)は約110歩/分(約3、5km/時間)。今後も歩速は低下の傾向にあるが<ゆっくり歩く>ことは歩行寿命を延ばし、介護予防としても大きな要素となると思う。 ◇ 荷物の重量:9kg、前回13km、初回(16年前)18kg。今後更なる軽量化に努めたい。 ◇ 期間:大イベントとしては10日間程度が適当で4区切り打ちになる、前回は3週間で3区切打ち(期間が長いと疲労が蓄積するのと共に後半は惰性で歩くだけになる)。 ◇ 野営地について:休憩舎が増えており、舎内は狭く設営不能でも周囲にスペースがあるので、今後は休憩舎を基本にしたい(国外のパッカーは採用)。 ◇ 加齢にともなう利点として、心身をコントロールする直感(腹の虫・魂又は主人公)との会話を期待したい。 ◇ 遍路コースの変更と食品店の変化の最新情報を得るために古い案内書では不十分。最新版を入手するかインーネットで情報入手する。 ◇ 食料について・夕食(オジヤ)にスパゲテイーソースが旨い(めんたい、じゃこ等)。現地でパック飯を入手。・朝食はコンロを使用せずに、1~2時間歩いてからパン等を補給した。・現地購入のパック飯をオジヤ夕食にした。野菜類の不足。 ◇ 装備について ・数年履いていた靴が途中で破損した(ロングウオーク時は事前に確認要)。 ・案内書<四国遍路ひとり歩き 同行二人(へんろみち保存協力会辺)>は最新版が必要。 ・燃料使用量:130g(15回分) 概 略 図 ![]() INDEX 資料編へ続く |
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