皆さん、こんにちは。(こんにちは)
ただ今ご紹介いただきました上智大学の中野と申します。
今日は、生田9条の会10周年記念ということで、まずはお慶び申し上げます。
実際にはもう11年目に入っているとお伺いしていて、この街における皆さまの地道な取り組みが今の政治情況を変えていく本当に大きな力になるということを願っています。実際のところ、こちらに限らず安保法制が2015年9月19日に通ってからは、それまでは毎日のように時間の都合のつくときであれば、国会前などの抗議行動に行くようになっていたのですが、法律が強行されて時間ができるのかなと思ったら、かえっていろんなところでこのような集会が盛んになってきて、もっと知りたい、もっと考えたい、もっと話し合いたいというようなことでお呼びいただくことが非常に増えてきました。実感として、こういった力の結集が政治を大きく動かしていくし、これから先変えていく希望となっていると感じています。
そういうことの一方で、昨年の暮れから今年にかけて私達が直面しなければいけない情況として非常にむずかしく、ある意味で危機が深まったと心配しているのがアメリカでトランプ大統領が誕生してしまったということです。このことは、かなり大きなインパクトを日本の政治、東アジアの平和、世界の平和に影響を及ぼしかねないというふうに思っています。
それはいわゆるトランプ現象で、一定のアメリカ社会の不満をくみ取ったという面もあると思うのですが、政治手法として虚実ないまぜというよりか、嘘のほうが多い。この間ポストツル—(ポスト真実)あるいはフェイクニュース(偽ニュース)というようなことが、流行語のようなかたちで注目をあびるようになってしまったように、嘘をとにかく繰り返すことによって憎悪(ヘイト)を煽るということによって求心力を高めるという手法が成功を収めてしまったということが、現在の政治情況の非常に象徴的なところだと思っています。私自身の感覚でいえば、安倍政権になって日本は本当に危ない情況になったなと感じていたのですが、アメリカが後から急に来て、追いついて、追い抜かれたような怖い感じがしています。
これから先を見たときに、今、新聞やテレビなどでつい昨日ですか、マチス国防長官、あだ名が狂犬という人です。日本のメディアはよさそうな人だという持ち上げ方が好きなので、ある種そういうふうに見られているのですが、狂犬という名の人がそんないい人であるはずがないわけで(笑)、そこは直面している現状を表していると思うのです。2月10日に安倍さんがトランプさんに会いに行くということで、会うだけでなくフロリダの別荘に行きゴルフもするという話しがあり、その先には今度日本の年金を使ってアメリカに雇用を70万つくるという土産を持って行くらしいという話しもあり、何が何だかよくわからないというようなことになっています。
ここで非常に危ないなと感じているのは、日本のメディアもそうなのだが日本の外交安全保障政策を担ってきた人達というのは、とりわけ小泉政権以降、かれこれ20年近く、それまでは必ずしもそうではなかったけれど、ずっとアメリカありきで、アメリカに着いていくということが日本の外交安全保障政策なのだと、かなり一本化した感じだったんです。もちろん、冷戦時代も含めて戦後の日本の歩みというのは日米関係なくしては語れないわけで、私自身も日本の、あるいは東アジアの平和安定に重要だということはその通りだと思うのだけれど、日米関係がすべて善であるとか、沖縄の現状を見ずして、そして9条を脅かす存在としてどうなんだとか、あるいはアメリカが完全に正義の味方でアメリカについていれば心配ない、自由・民主主義・法の支配というものをアメリカが体現していて、そのアメリカの仲間としてやるということであれば何でもいいと、そういうことではないだろうと思います。小泉さんの前というのは、もう少し多角的な外交政策ができた一時期もありました。そんな長い時期ではなくて80年代、バブル期から90年代半ば、せいぜい後半くらいまでということになるけれども、日本の自民党政権下でももうちょっと多面的に、たとえば河野談話とか村山談話とかいうのがひとつの典型だと思うのだが、日本が侵略の被害を与えた、あるいは植民地支配をおこなった近隣諸国との和解をめざすなかで外交関係をつくっていこうということでアメリカ一辺倒ではなかった時代もあったわけです。
ところが小泉さん以降、アメリカに着いていくんだというその論法が国際協調主義に基づく積極的平和主義とか政府が言うけれども、要は自由主義的なリベラルな国際秩序があって、それが大事で、アメリカがそれを支えているから日本も手伝わなければならないという論法で、集団的自衛権の行使容認だとかTPPでさえそういう言葉でこれまで正当化してきたということが政府のやり方なんです。いま申し上げたようにアメリカは大事だと思うけれども、完全に信頼してとにかく着いてゆけばいい、実際にオバマさんといえばイメージがいいし、トランプと比べるとだいぶまともな人間に見える。実際にそうなんでしょうけれども、そうは言ったってオバマ政権のもとでドローン攻撃が500回を超えて行われてきて、ドローンというのは無人機ですから場合によっては誤爆というかたちで無辜の子どもたちや人々が殺されてきているというような側面があるとかを無視して、とにかくアメリカが正義の味方なんだという単純な言い方はおかしいということと、もう一つ大事なのは日本には憲法があって立憲主義の原則、民主主義があってその中で政策変化が行われなくてはいけないから、仮にやりたいことがよい事だとしても法の支配、憲法が定めるルールに則って変えるのでなければ、それはいけないというようなことで反対をしてきたのです。
そうであるにしても推進する側としては、この間、日本というのはアメリカが自由・民主主義・人権・法の支配というものを支えてきているのだから日本もそれを手伝わなければいけないということで言ってきたのです。TPPでさえ経済政策だけでないとハッキリ言っているのです。公の場で何度も、これは安全保障政策でもあると。なぜかというとアメリカが内向きにならずにアジア太平洋、東アジア地域に居続けるためにはアメリカをおびき寄せる、引き込む必要がある、TPPという経済圏をつくることによってアメリカがいなくならないようになるということが約束できるという論法だったのです。この論法は突っ込みどころがあるわけで、東アジアというものは放っておいても日本にとどまらず中国、インドネシア、ベトナムであるとか経済発展が著しい国々が世界でいちばん集まっているところだから、そこからアメリカが居なくなるということはあり得ないわけで、そこまでする必要があるのか、あるいはTPPをやらないと言って選挙で勝ったのに、勝ったとたんにやるというのは民主主義を冒涜するものだということが言われなければならないということがあって私自身は反対してきたわけです。このようにTPPも含めてそういった論法で進められてきたのです。
ところが、今トランプ政権が誕生したということでこの間の(小泉さん以降)日本の外交安全保障政策の転換を支えてきた前提も論理もすべて崩壊してしまったというのが現実のわけです。アメリカが自由・民主主義・基本的人権・法の支配、ここにお集まりの皆さんがこれは大事な価値だと思っていらっしゃることが、これまでは共通の価値として日米間が担っているから日本もいろいろやらなければいけないという論法だったのです。もちろん、安倍さんが自由・民主主義・法の支配? それはないでしょう。心にもないことを言っているというふうに思っても、そういう論法だったのです。ところが安倍さんだけでなく今度アメリカにおいてトランプという安倍さんと同じか、もしかしたらそれ以上に、こんなものは何とも思ってもいない、まさに自由・民主主義・法の支配・基本的人権を罵倒するというか、逆にいうと貶めるというか、今風にいえば「逆バリ」する、アンチの立場をとることによって政権を掌握し、統治を始めている人が大統領になってしまっているわけです。いま安倍さんは、この変化が無かったかのふりをして「日米関係は永遠です」という感じです。巨人軍かと言っていたのですが(笑)、そんな感じでひたすら日米関係ありきだということで、就任もしていないのに金ピカのトランプタワーに会いに行き、就任するとなると一番先に会いたいとウズウズして待っていて、TPPが必要だと言っていた理由をトランプがTPPをやらないというと、それでは2国間でいいですと言って、手土産に何を持って行くかという準備をもうすでに始めているという状況です。これはかなりおかしなことになっているわけです。
こういうふうに言われると皆さんは、それはそうだよな、と思われるでしょうが、残念なことにテレビや新聞はこういうことは説明されていないのではないでしょうか。私など少なくとも朝日新聞を見ていたりしても、そういうふうには書いていないです。まるで気づいていないかのように、とりあえずトランプさんに気に入ってもらえるかなドキドキ、みたいなことが書いてあって、これはそういう話しではないでしょうと思うわけです。もちろんトランプと決裂するのもまずいとは思うのですが、トランプから気に入られてもまずいのではないかというような状況があります。その外交の立ち回りというものが、入った段階でこれまで彼らが強弁してきたことが前提も論理も壊れてしまっているのです。実はこの政権はそこまで迷走しているということで、こちらにとってみれば危機でもありチャンスでもあると一方では言えると思います。実際のところ安倍政権というのは、もうフラフラになっています。良心はどれだけあるかわかりませんが、少なくとも知能がある程度働く人も入っていますから(笑)、そういう人達からすると私がいま話したことはそうむずかしいことではなく、外務省だとか官邸だとかの公文書を見てみれば政府の理屈が破綻したというのが、公文書を無理無理につくってきた人から見ればわかっているはずなのです。だから焦ってとにかくトランプに会って、何もなかったふりをしなければいけないというようなことで、大慌てになっているのだと思います。
日米関係だけでなく日露関係でも、昨年のあれは何だったのでしょうか。あれだけ北方領土問題で大きな進展があるのではないか、安倍さんとプーチンさんは気脈が通じているというようなことでしたが、ものすごく手玉にとられて戦後のいつのときよりも日本の主権をロシアに譲歩したようなかたちで経済協力だけは約束させられた、という意味がわからないようなことになっており、しかも外交の大失敗ということできちんと報道がなされていないという状態があります。日韓関係もひどい状況になっています。慰安婦の少女像の問題に向けて、謝罪しただろうと威張って、10億円払うのだから撤去しろという。謝罪の根本がわかっていないと思います。そのような態度と韓国の国内事情で大きくこじれるという状況です。
そして中国との関係はどうかというと、いまのところ何も動いていません。ですから、日本にとって大事な主要国とは、ズラッと見たときに外交は完全に袋小路に入ってしまっているのです。それだけでなく中国との関係というのが、これまでは日本のほうが前のめりになっていてアメリカ側が手綱を引き締めているような感じだったのが、トランプが中国に対していま火遊びを始めちゃったんですね。この2〜3週間の間にあっという間にアメリカの識者、政策関係者の書いたものが、いきなりこんなふうになってしまうのかという勢いで、かなりの数の人達が中国と戦争が起きるだろう、米中戦争が現実のものとなるというようなことを指摘する論調が急激に増えてきました。それはトランプが、かつて日本がアメリカに叩かれたように、貿易で中国が大きな黒字を収めているが、貿易摩擦は実際のところアメリカも利益を得ているところがあるからという理由でこれまで中国は大事だということだったのですが、トランプはどうもそこをもっと中国に譲歩させたいと思っているのでしょう。一つの中国政策と言われる台北の政府と国交を結ぶ、かつての国民党の政府・中華民国と国交を結ぶのか、それとも中華人民共和国と国交を結ぶのかどちらかにしなくてはいけないという外交のルールがこの間ずっとあるわけですが、それを弄んでいるというような状態、中国から見れば挑発されているという状態になるわけです。中国からしてみれば、これは最も譲れない政策なわけです。それなのに、どこまでも台北の政府を政府であるかのように扱って中国を脅かし、中国からいかに引き出せるかというようなことをやっており、南シナ海に関していえば、もう封鎖をしてしまえというような論調もでてきて、中国をむりやり力尽くで封じ込めるというようなことをやる。これは逆になって考えてみれば、アメリカがハワイでもロサンゼルスでも海岸からちょっと離れたところに基地をつくろうと考えたときに、その目の前まで中国の軍艦が来て封じ込めのようなことをすれば、やっぱりここまで何をしに来ているの? ということになるはずです。いくら公海といっても。そういう強硬な態度を、それがどこまで危ない態度なのかわかってやっているのか不明なままやり出していて、そういうタイミングで日本が集団的自衛権の行使を容認していて、安倍さんが経済面でも軍事面でももっとやりますから仲良くしつづけてくださいとアメリカに言っているという状況になっています。
平たく言えば、アメリカにとにかく着いていくというのはおかしいでしょうというのがあります。オバマのアメリカに着いていくのとトランプのアメリカに着いていくのが同じであるわけがないはずです。なのにまだ、とにかく日米安保がなければ、この同盟関係を強化することありきで動いているから、9条のことを考えたり、この先のことを考えると相当危ない状況が待っている。要はアメリカを言い訳にして、トランプが日本に9条を改憲しないと米軍を引き上げると言い、中国がそれにつけ入ってくる。北朝鮮が危ないというようなことを煽って日本の国民世論を封じ込めようとする、あるいは米中間の武力衝突が何らかのかたちで起きたら日本も呼応するということで、これまでだったら政府でさえできなかった集団的自衛権を行使する。というより、このために勝手に憲法解釈を変えて安保法制(戦争法)を通しているのです。
ですから、やらないわけがないということになってきますから、そうすると当然、国内的状況がどうなるかということが心配されるわけです。ということはアメリカも同じことが心配されてるわけです。なぜトランプが火遊びをしていて、なぜこの人達が米中戦争が起きるのではないかということを急に言いだしたのかというと、トランプの内政面でのあまりにも乱暴なやり口というのが、戦争をもってでないと終結できないことを折り込んでやっているということを皆心配しているわけです。これはもちろんイスラム教が多数派を占める7つの国からの入国を一時停止したということ、いわゆるムスリムを狙い撃ちにしてやっているということがあります。あるいは、メキシコとの間に壁をつくるとか無茶なことを、まだ就任して2週間程度だと思うのだが矢継ぎ早に、これでもかと乱暴なことをやってきている。で、それに対する社会的、政治的な反発が高まってきている。では、それをどうやって彼らは辻褄を合わせようかというと、日本でもいつか来た道、この政権がたびたび口にするので恐ろしい部分ですが、本当のアメリカ人は誰かということをやっているのです。言ってみればアメリカファーストと言っているときに彼らが何を意味しているのかといえば、本当のアメリカがあって偽のアメリカがあることが、その段階で含意されているのです。白人のキリスト教のアメリカが本当であって、それが今、力が衰えているのをもう一回偉大にするというのがトランプの訴えてきたことになるわけです。
これはもちろん、日本を取り戻すということで、2012年12月に政権復帰した安倍さんの言っていることと大差はないわけです。いつの間にか日本をとられていたのか私は知らなかったですけれど、いったい誰にとられたのか、誰から取りもどすのかよくわかりません。安倍さんのイメージでは、どこか辻褄が合っているのだと思います。そういったところで念頭に置いているのは共謀罪に関して、一般の人は心配しなくていいと。では誰が一般の人なのか誰が一般の人でないか、誰が判断するのか。安倍さん達が一般の方かどうかということを決めるんですよね。残念ながら、今日お集まりの方は一般の方ではないですね。(笑)
少なくとも一般の方かどうか監視して、それから判断しないとわからないということになりませんか。政府が一般の人は共謀罪ではしょっぴかないから心配するなと言ったところで、どう一般の人なのかどうか判断するのかといったら、その場合一般の人も含めて監視しなければだめじゃないですか。そうでなければ一般人なのか一般の人でないのかはわからないですよね。少なくとも盗聴や監視ということでいえば、一般の人も監視されるということが、実は一般の人でない人しか共謀罪では捕まえませんと言っていることに論理的構成として伴ってきているのです。それを誰が決めるかというと政府が決める、一般の人印をもらえるかどうか、これはいわば国民なのか非国民なのかというかつてのことと全く同じことです。
アメリカにおいて本当のアメリカ人と偽物のアメリカ人、日本においても本当の日本人と偽者の日本人を選別していくというふうに政治が動いてしまって、見た目の派手さだとトランプと地味な陰気くさい安倍さんだとだいぶ違いますね。トランプというとポピュリストと言われるように、非常に単純な言葉をくり返してメディア受けする、ありえないような発言をくり返すことで注目を浴びるというようなことをやってきたわけですが、安倍さんにはその才能がないわけです。だから全然違うように見えるし、実際にその部分は全く違うわけです。安倍さんで、まだよかったと思うくらいです。トランプはひどいわけです。アメリカだとトランプが出てきてジョージ・ウォーカー・ブッシュが懐かしいみたいな話しになっていますから、怖い話しです。(笑)比較の問題で、自民党にかつていた古賀誠さんとかが出てくると、ああ、まともなことを言う人が出てきたな……(笑)、いったいどうしちゃったのかなという感じになるのですが、そういう劣化が著しいわけです。
トランプと安倍さんの見た目の違いはあっても、共通しているのは分断統治という手法なのです。要は、人々を分断することによって力でもって抑え込むということになるわけです。ですからなぜ強行採決をしたり威圧的なことをやるかといえば、とにかく分断するということに彼らが支配するためのポイントがあるわけです。
そして野党共闘のことを野合だとか民・共合作だとか、とにかく執拗に攻撃をしつづける、4年以上も政権に戻っているのに今でも口を開けば民主党政権よりもましだということを言わずにはいられない。しかもそのほとんどが嘘。くり返すことで人々のイメージを作りあげて分断をすること、仲間割れをさせ孤立させることが支配のために必要なんだという支配の仕方をやっているということになります。これは安倍さんが何でこんなに政策面で支持されていないのか、それなのに支持率があるのかということを考えると、とくにヒントになることです。世論調査を見ると未だ50%を越えるくらいの支持率があって、なんでこんなに外交で悲惨なことが起きたあとに支持率が上がるのかと思います。世論調査のやり方に何か問題があるのかという議論もあると思いますが、そこに若干の問題があるのは間違いないのです。が、うまくいってないけれども安倍さんは外交をやるのが好きです。なぜかといったら外交がうまくいっていなくても批判されなくて済むということと、多くの人はあまりよくわからないから新聞やテレビの解説のままでそんなものかと思うのですが、年金や医療、教育、保育となってくると身近なことなのでメディアの論調だけでなくおかしいと思うということがより直感的にわかるということがあります。外交をやっているとテレビにやたらと映る。そこなんです、トランプがまさにそうやって勝ったのですが、テレビに出ることは人々にとってその人達を操作しよう、洗脳しようと思ったときにやはり大事なことになるのですね。残念なことにほとんど何を言っているか、何をやっているかとかはあまり関係ないのですね。
皆さんも経験があると思いますが、「安倍さんは、これはもうどうしようもない」などと言ったら、意外と親しい人とか話が通じると思っている人が「えっ!、でも安倍さん頑張っているじゃないか」と返ってきて、とたんに会話がむずかしくなるというようなことがあります。(笑)そういう人達が何を言うかといえば「安倍さんだって、よく動いているじゃないか」って言うんですね。何やっているかよくわからないけれども動いているからエライ(よく働いている)と思うみたいなんです。何をやっているのかというのが大事だと思うのですが、その判断ができない人や興味のない人だと、年中飛行機に乗ったり降りたりしていると(笑)そうとう活発な感じがして、それがいいということになり「それに対してあんた達は何だ。反対だけしているじゃないか」と言われる。だけどそれを言われるとつらいなあ、なんていうことがあると思うんです。
動いているということが大事で、実は私も経験があります。安倍政権になってからはほとんど声がかからないのですが昔はちょっとテレビに出ていたときがあるのです。そうすると出張先とかで、私が知らない方が寄ってこられて「テレビでよく拝見しています」などと挨拶されたりすることがあり、「どうもありがとうございます」なんて言うんですけど「この人は、僕が何をしゃべったかなんて絶対に知らないだろう」などと思うんです。(笑)もしかしたら右翼なのかも知れないですね。(笑)けれども「テレビで見た顔の人だ、この人」と言ったら、それだけでいい人に会っちゃったという感じになるんですね。だからトランプにしてもそれにうまく対応して勝ったということもあるんです。安倍さんにしても映って動いている雰囲気を見せると支持率が上がるというのがひとつにはあるわけです。もっと固定的な支持でかなり安定しているということを見たとき、なぜ支持しているかということを世論調査は聞いていますが、そこで一番に出てくるのは「他よりましだから」なんです。替わりがなければいいのです。もう一つは「自民党政権だから」ということです。自民党の昔のイメージ、もうちょっとまともだったり、もうちょっと多様性があった自民党のことを思い描いて、いかに右翼的になったか知らない人達が自民党は安定しているからいいじゃないか、というようなことで支持しているというのがあります。
そこで見てもわかるように、とにかく人と人を分断して孤立させ、野党も分断して統治するというのがポイントになっているというのがこの間の政治になっているのです。トランプも安倍もそうなんですが、熱狂的な支持というのは実はないのです。たとえば、トランプが勝ちましたけれどもテレビを見ると、何か完全に壊れちゃったような怖い人達がトランプ、トランプと大騒ぎしているのです。「ワーッ怖いなあ、アメリカ」って思いますが、あんな人達はほんの一握りなわけです。トランプに投票した人というのはアメリカ有権者の4人に1人。多いともいえますが、しかし4人に1人なので決してアメリカ全土がトランプを選んだとか、過半数が選らんだというわけではないし、クリントンのほうが300万票近く得票数が多かったのですから、本当だったらトランプは選挙制度がゆがんでいなければ負けているのです。4人に1人くらいの人がトランプに投票したのですが、投票者の中には熱狂的な支持者もいるけれども、なかには単にクリントンが嫌だとか、自民党だから支持すると同じように共和党をずっと支持してきたから、共和党の候補だから投票したという人がたくさんいるわけです。何がポイントになっているかというと、彼らには自分達の票を増やす必要はないのです。トランプは4人に1人であっても、アメリカの場合にはキーとなる州、激戦州とかいわれたところで、ちょっと上まわればそれでいいわけです。そしてそれを見事にやってのけたわけです。
安倍さんたちの場合はどうかといえば、安倍さん、これはもうご存知かと思うのですが、2012年の12月に「日本を取りもどす」「アベノミクス」だといって選挙をやって圧勝しました。そして2年ちょっと前に(2014年12月)も、リセットで解散・総選挙をサプライズでやって、また同じように2/3、自公合わせて2/3を優にとり圧勝した2回の選挙、このときの自民党の得票数というのは鳩山さん率いる民主党に負けて麻生自民党が下野したとき、負けて政権を失ったときの得票数に至ってないのです。2009年に自民党が民主党に負けたときのほうが実際には自民党に投票した人達のほうが多くて、そのあと2回圧勝しているときの得票数というのは、2009年の民主党政権ができたときよりも下なんです。何でそんなことが起きるかというと、それは民主党が信頼を失って受け皿がなくなり割れちゃって、野党票が候補者乱立で分散するようになった。そして多くの人がその結果政治に嫌気がさして投票に行かなくなった。投票率が5割になっちゃった。2人に1人が棄権するという状況のおかげで実際の自民党の票が増えていない、むしろ減っているのにそれ以上に民主党が減って、そして野党票が割れて多くの人が棄権してしまったから勝ったわけです。別の言い方をすると彼らは、このことをよく知っていますから、この状況を維持することが政権の安定には最もやるべきことなわけです。
多くの人が投票に行かないようままにしておくこと、そしてそれとつながって野党を分断すること、野党が分断されていて受け皿がなく、これはどうも勝負にならない、選択肢がないということで多くの人が棄権をしてくれれば、自民党は6人に1人くらいの固定客(トランプの4人に1人よりも少ない)でいいのです。比例区での自民党の全有権者比の絶対得票率、棄権した人も含めて全有権者のうち何割の人がわざわざ投票所に行って自民党や自民党の候補者の名前を書いて投票するか、その数字を見るとだいたい6人に1人なんです。小泉さんのときを除いて多くて5人に1人くらいです。小泉さんの郵政選挙のときで4人に1人、ですからトランプ現象と似ていたのです。だから、小泉さんの郵政民営化の劇場型の選挙でやっと4人に1人が、わざわざ投票に行って自民党、自民党候補者の名前を比例区で書いているのです。比例区のほうが素直に書けます。同じ数字をその後の選挙で見ると、一貫して5人に1人か6人に1人しか自民党には投票していないのです。民主党が強かったときはそれで抜かれてしまい、民主党が割れて野党が分断されて投票率が下がると、得票率が低いままでもそれで優に勝てるという状況になっています。
そういう状況なので固定客の5〜6人に1人の人は、ほとんど何があっても投票してくれる人達ですから、あとテレビとかで「絆創膏大臣」だったり、何とか歓迎アプリだとか、年金事務所とか(笑)炎上するというのがなければいいわけです。第1次安倍政権のときに安倍さんたちがほんとうに学んだのは、このようなメディアがいろいろと叩いているとうるさいことになるというのがわかったから、お寿司を食べさせたり電話をかけて威圧したりという硬軟とりまぜてメディアをとにかく懐柔するということです。これは本当にすごいんです。どれくらい懐柔されているかというと、たとえばカジノ法案がありましたが、あのときにまた強行採決をしました。しかも強行採決をする前から、いつ強行採決できるかTPP同様舌なめずりをして楽しみにしていました。結局、強行採決したわけですが、ほとんどの新聞やテレビは強行採決とは書かないのです。何で書かないのかといったら、官邸に書くなと言われているから書かない。朝日とか、頑張ったところが書いたのは「採決強行」と書いているのです。(笑)採決強行と書いているのなら強行採決と書けよ、と言いたいけれど(笑)、強行採決だけは使うなと言われているのです。
なぜ強行採決を使うなというのかといえば、建設野党は賛成しているからというのです。野党が一枚岩となって動いていないと強弁しているのです。維新がいるからです。維新というナンチャッテ野党があるから、野党全部が反対しているのに強行したらそれは強行採決でしょうがないが、一部のよい野党は、建設的な野党は自民党・公明党と話しあって採決に応じて賛成しているから、これは強行採決と呼ぶべきではないというのが論法になっています。メディアは不甲斐なく、実態を見れば維新なんてのは最初から最後まで自民党・官邸と密通しているわけじゃないですか、だって昔、橋下さんは安倍さんが自民党の総裁に返り咲く前にうちの代表になってくれとラブコールを送っていましたから。そして今でも密会を重ねている。テレビを通じての密会ですから皆さんに知ってほしい密会です。安倍さん、菅さん、橋下徹さんは逢瀬を重ねているわけだけれども、どっちが"野合"かという話しですよね。(笑)むこうのほうがよっぽど野合なわけです。そうやって裏で通じていながら彼らは賛成しているのに名目上野党だから問題だと言っているわけです。
昨日だったか一昨日だったか、もっと驚く話しを聞きました。共謀罪を政府は「テロ等準備罪」とか言っていますが、メディアはそこでいじめられているのです。共謀罪と呼ぶな、と。別の法案で違うのだから。共謀罪といったら3回取り下げさせられた箸にも棒にもかからないひどい立法です。現代の治安維持法なんて言われたりしますが、そういう共謀罪の歴史があるので共謀罪ではない、ぜんぜん別だ、「テロ等」と入れることによって、しかもオリンピックをやるのだからこれがなければ駄目だとムチャクチャなことを言って、とにかく押し込もうとしているのだけれど、メディアからするとその共謀罪に関して全然触れないとさすがに多くの人に怒られる。政府の言いなりなった「テロ等準備罪」とか言ったら、それはいくら何でも骨抜きでひど過ぎないかと言われる。では、たとえば「共謀罪から犯罪の成立要件を厳しくしたテロ等準備罪」これでどうでしょうと言うんですね。少なくとも、ある民営放送の政治部は官邸に言われて妥協したそうです。TBSなんですけれど(笑)、あの比較的まともなTBSの政治部が官邸と話し合った結果「共謀罪の要件を厳しくしたテロ等準備罪」というように枕詞で必ず共謀罪よりも厳しくなって心配いらないということを言ってテロ等準備罪を使うということになっていて、それ以外の表現を使わないということになっているんだそうです。ひどいですよね。
でも、そうやってとにかく印象操作し人々を分断して、ことさら暴力的にやるのは何でだろうか。何であんなふうに分断するのかといったら、それは私達にあきらめさせたいからなんです。というのは、投票に行ってほしくない、政治に期待しないで"もういいや、まかせた。知らん"というふうになってもらうのが彼らにとって重要になってきている。だからこっちがガッカリする、こっちが挫けちゃうようなやり方をとにかくやろうとしている。
いちばん象徴的なかたちで出ているのが沖縄の新基地建設のやり方です。粛々と言いながら、本当に今までに見たことがないレベルの暴力を使って、山城さんのあり得ない長期拘留とかを含めて、なぜそこまでやるのかといえば、ただやるだけではなく、そういうやり方でやるのがポイントになっているからです。今でもまだ反抗し、声を上げている連中を1人でも減らして、あきらめさせて従うようにすればいい。そして分断していけば孤立していき、力にならないという分断統治の手法ということ、それだけで押してきているということが今のやり方になっているのです。
さらに怖いのは、トランプが大統領になったことによってオバマさんというのはいろいろ問題があったと言いましたが、だけれども一応立て前でこれまでのアメリカというのは自由、民主主義、基本的人権、法の支配というのを他国に説教してまわっている国でしたから日本だって説教されてきたのです。だから安倍さんが、あまりひどいことをやっていると、たとえば靖国にいったあとにケネディ大使が失望の意を表明してみたりしていたのです。あるいはメディアへの介入だったりとかがあまりひどいと、アメリカのほうでいろいろ世論が沸き立って、日本に対して制止をする、抑制するというような要素があったわけです。ところがトランプのアメリカになってくると、そういう外圧的なもので日本の政治が壊れるという歯止めが本当にきかなくなってくるんですね。何しろ歴史修正主義というわけです。歴史認識の問題、あるいはポスト真実ということに典型的に出てくるようにですね。
そこでトランプを支えている人達といえば、ペンス副大統領という人がいますが、これはムスリム原理主義といったらムスリムの人達に失礼なんじゃないのかというのと同じように、キリスト教原理主義といわれるキリスト教の人からすると、そんなのといっしょにしないでくれと思うような人達、ペンスというのはそこのある種盟主みたいな人なんですね。どれくらいすごいかといったら、ほとんど中世の魔女狩りの世界の人なわけです。で、進化論を否定しています。進化論を否定していて、学校で進化論しか教えていないのはおかしい、神がアダムとイブをつくったという学説がある。学説なんだ。(笑)そっちも教えないと偏っていると言って、公共教育で税金を使ってやっているのに一学説に過ぎない進化論しか教えないのはおかしい。科学もへったくれもあったものじゃないですね。もちろんこんなことは、まともな教会は支持していないわけです。カトリックにしてもプロテスタントにしてもです。
だけれども、一部のちょっといかれたような人達がそういうようなことを言っているというのを受けて、その流れでセクシャルマイノリティという同性愛の方達に電気ショックとかを与えれば治癒できると言っているのです。すごいですよね。(笑)それくらい非科学的で歴史とかに何の敬意もない人達が、今ホワイトハウスに入っていますから、安倍さん達の南京虐殺はなかったとか慰安婦は売春婦だとか歴史のねつ造に対して、説教なんかするわけはないのです。
そういう面でもかなり危ない情況ができているということなるわけです。でも、こういう情況で、私達はどうすればいいのか。私はこの間ずっと、安保法制にしてもTPPにしてみても、辺野古・高江などの新基地建設にしても、愛国者と自称している安倍さんが、なぜここまでアメリカにとにかく仕えるようなことをやっているのはおかしくないか、ということを思っているのです。そこで言ってきたことというのは、イギリスのある警句家のジョンソンという人がいて、その人が言ったのは、愛国心(英語でパトリオティズム)という定義は「ならず者の最後の隠れみの」と言ったのです。(笑)要は、どうしようもない奴が最後は国旗を振りかざして他のひとのことを「お前は非国民だ」と攻撃しだす。その人がほんとうに国を愛しているかというといえば、決してそんなことはないということを言ってきたのです。この辺はたしかに、いろいろと考えさせられるところがあるなと、まさに安倍さんがならず者かどうかは知りませんが、少なくとも実際にやっている政策を見たら、国を愛するとい言いながらTPPで日本を丸ごと支えます、日本を取りもどすっていうけれども誰から取りもどすのかわからなかったのが、こんどアメリカに日本を差し上げますって言う。おかしくないか。
そして日本の憲法を踏みにじって、日本を防衛するためではなくアメリカがやっている戦争にアメリカから呼ばれたら入っていくという集団的自衛権です。それで何で愛国心なんですか、というのがあるわけです。だけれど、そういったような情況というのが、今トランプでもそうなんです。だって連邦税を払っていなかったのです。国の税金を払っていないのにアメリカを再び偉大にするなんて、お前がまず先に税金を払え(笑)、ひどい話しですよね。
イスラム教徒が多い7カ国と名指しされているところは、中には移民停止国になっていない国もあります。サウジアラビアとか。ウサマ・ビン・ラビンというのはサウジアラビアだったのですよ。サウジアラビアは移民停止国に入っていないのです。あとエジプト、トルコとか4カ国ほどあるのですが、それは全部トランプがビジネスをやっているところなんです。自分が商売をやっているところだけ、そっくり除いておいて、そんなことをやっているわけです。とんでもない偽者のわけです。私は、愛国者とか愛国心とかそれ自体あまり好きじゃないのですが、仮にそう言うのだったらせめて中身を伴ってほしいと思うのですが、まったく伴っていないわけですね。
これはどういうことかといったら、愛国心というのを隠れみのにして、実際には寡頭支配という、小難しいことをいいますが平たくいえば少数支配のことです。少数の権力者や富める者が、どんどん権力を手中にする情況が、残念ながら世界的に進んでいる状態で、だから日本そのものの防衛のためでなく、日本企業があちこちで儲けているから、それを守るために一緒に行け、アメリカにつき合いで行かなくてはいけないというような集団的自衛権をやるようになったり、あるいは日本の選挙民を無視してTPPを進めたりとか、そういうようなことが進んでしまっていると思っていいるのですが、残念ながらトランプ政権の誕生で、その方向にさらにググッと行っちゃった。オバマ政権にしてもそうです。クリントンが勝っていてもウォール街の力とか軍産複合体の力とかはひどいものがあるわけです。だけれどもトランプとなると、さらに磨きがかかるんです。これまでにないほどに軍人の将軍3人が重要ポストに入って、ゴールドマンサックスだ、エクソンモービルだとかの出身の人達が、国務庁長官だとか財務長官だとかをやっている、そんな情景になっちゃっているのです。これはもう漫画なんじゃないかと思うくらいです。トランプの場合は、本来は民主的にさえ選ばれてないですね。どう考えたって。選挙制度のおかげで勝っただけで、相対多数さえとっていないわけですから。
しかも、本当に少数派の特権階級だけを集めてやっていてマイノリティを次々と分断し、まずはムスリムを標的にする、メキシコ人を標的にする、そんなひどいことをやっていると思ったら最近の発言でバノンという極右のナチスとしか形容のしかたがない人が戦略のトップのアドバイザーで入っていて、トランプのこの間の大統領令を書いているのがこのバノンという狂信的なナチです。本当の教科書に出てくるようなナチです。隠してもいない。その前にナチス的なことしか言っていないのですから、そういう人がトランプ政権の政策の方向に一番影響力を与えているわけですけれども、そうやってバノンが最近言い出したのが、シリコンバレーを見ているとアジア系のCEO(経営者)が多すぎるということを言い出したのです。そうやってアジア系にも来るかも知れない。徐々にです。これはやっぱり思い返されるのは牧師のニーメラーのナチスが出てきたときの話しです。共産主義者を捕まえに来たとき私は共産主義者ではないから何も言わなかった。次に社会主義者に来て自由主義者に来て、気がついたら自分に来たときには誰も残っていなかった、というような感じで、分断統治というのが究極的にすることはそういうことなわけです。
そこで、それをどう乗り越えて私達が政治をもっとまともな営みに変えるのか、要は権力者や富めるものが嘘をふりまいて力尽くで私達にあきらめさせよう、服従させようというのは本当の政治ではない。そうではなくお互いを尊重しあう、リスペクトしあう。だって個々人が自分らしく生きられるために政治や社会や経済はあるんじゃないですか。そうであるはずなのに私達を力尽くで押し込め、分断し、そしてあきらめさせて従うようにさせようなんてこと、これに立ち向かうためには老若男女、セクシャルマイノリティの人、あるいは日系人の人、在日の人、障害者の方などいろんな人がいると思うんですけれども、皆がみんな自分らしく尊厳のうちに暮らせる、そういう社会をつくりたい、経済だってそのためにつくり直さなければいけない。そういう思いを共有している人達が、いかに分断されないで、いかにあきらめないで、どうやってつながってより大きな力となっていくのかという、今そういう情況になっちゃっているということなんだと思います。
そして先ほど申し上げたように、日本のほうがそういう情況は悪かったのですが、アメリカがここでグッと追い抜いてしまった情況があって、しかしアメリカは、リベラリズムというのが強いですから、いま報道されているように、この間もウィメンズマーチとうのがありましたね。女性の人達が組織して、そしたら女性だけでなく、もちろん女性が中心なんだけれども本当にいろんな人達がかつてない規模で行進をして、アメリカもまだこれだけ多くの人達が政治をあきらめず、皆がみんな自分らしく生きられる社会をつくっていくんだという力を見せてくれたわけではないですか。メディアにしてもアメリカのメディアのほうが、やっぱりまだ頑張っています。そういうようなところで、闘いはかなり厳しいわけです。しかし今、出てきているということは、私達が闘っているたたかいと、アメリカで闘っているたたかいは連動しているということが、これまで以上に明らかになってきているというような状況でもあるわけです。これはヨーロッパでも同じです。移民排斥のポピュリズムだったり。
そういうなかでどうやって、いやいや政治というのは人間の最も醜いところ、たしかに差別意識とかヘイトだったり怒りの感情というのは皆もっていると思うのです。私達誰一人として聖人ではない、不完全な人間だから。だけど、そこをことさらに煽って、それがいかにも本当のことだというように、その嘘ですよね。日本のテレビも下劣なところがあって、そういったところで橋下徹さんみたいな類いのセレブがつくられているんじゃないですか。要は、人間はたしかに醜いところを持っているけれど、そこだけ誇大化して、それが本音トークとか歯に衣着せぬ発言とか言われている。いや、そんなはずはない。人間はたしかに欲望があったり、自分がいいという感情があったりするけれども、でも愛だって、人のことを思ったり自分のことだけを考えるというのではない共感する能力だって本来持っているはず。それなのに人間というのはみんな利己的で、だから利己的でいいのだというその本家がトランプですよね。
今、アメリカの政策は国際協調ということを言わなくって、アメリカ第一、アメリカが第一ではなかったらルールがおかしいと言い出しているわけじゃないですか。そういう状況に対して、いやいやそういうものじゃないでしょう。私達は共存できるはずだし、お互いの尊厳を守って育むような社会や世界をつくっていかなければいけない、そういうことだと思うのです。
それではどうやってつくっていくのか。私達が政治をどうやって動かすことができるのか。実は日本の政治は、トランプのことをだいぶお話しましたが、日本はもうずっと前から、少なくとも4年以上前からこういう状況になっているのです。その中で、私達市民が動いたから政治もここまで動いてきているのです。野党共闘ひとつだって、市民が動かなかったらできていません。これはハッキリしているのです。野党にだけまかせていたら、それぞれの政党というのは自分の綱領があって政策があって候補者があって政治に対する思いが強いから自分達でやっているのです。綱領や政策が違うところとは組めないとかいう人が出てきましたが、綱領と政策が同じだったら同じ政党ですから(笑)、定義上。変な話しなんです。
そうではなく、綱領や政策や候補者だって自前にしたいのだけれど、この選挙制度、この政治状況ということを考えたら、分断統治されることをくり返していたらどうしようもないといことで、まっっとうな政治の土俵をもう一回築き直すには、お互いの違いを受け入れてリスペクトしあうなかで手を結んで候補者を調整し、政策を協議して受け皿をつくることによって、政治をあきらめてしまった人達をもう一回一緒にやろうよと呼び込むことができるかということが、今の私達のとり組みなんだと思います。
実際に参議院選挙において、32ある1人区全部で統一候補ができた。そして11も勝つことができた。1/3に過ぎないとお思いになるかも知れませんが、参議院の1人区というのは、ご承知だと思いますが人口の少ない県に集中しているのです。神奈川でしたら、複数区ですからそうではありませんから共闘はできなかったわけです。だけれども1人区というのは、人口が少なくて高齢化が進み、公共事業に依存していて、原発立地がたくさんあって、要は自民党にとっては寝ていても勝てるところがほとんどなわけです。実際3年前の参院選では、当時31あったうち29を自民党が勝っている。野党は2つしか勝っていない。小沢さんが強い岩手とオール沖縄の沖縄の2つだけだったのです。それが全部で一本化できたおかげで、11も勝った。2から11になった。11も勝ったというのは、凄いことなんです。この力というものが野党を、いろいろなことが出てきても結局は共闘しなくてはいけないという方向に押しているわけです。
そして自民党も、安倍さんも都合が悪くなるとすぐ解散ということをやりたがっているけれども、野党共闘がどうも揺らいでいるというときには解散風を吹かせたけれども、ここに来て態勢が整ってきはじめたら解散がちょっと遠のいているという話しになっています。もちろん破れかぶれでやりかねないところもあります。何しろ世界の状況があまりにもひどいですから、安倍政権が安定しているように見えてしまうのです。安定しているように見えるから、安倍政治に力を、みたいなことを言っているのです。私達を人質にとって勝とうなんてことが、まだ2月とか3月とかの終わりで予算を通したあとに来る可能性が消えたわけではないと思います。
しかし、そう簡単にできなくなっているのは、実際のところ野党共闘というかたちができてきて、それを市民が後押ししているということによって、簡単に解散総選挙をしたら2/3を衆議院で失うかもしれない、衆議院で2/3を失ったら退陣になります。過半数を維持したって、憲法改正をやりたいということしか考えてこなかった人が、参議院でようやくとれたのに衆議院で失ったらバカみたいですから、そのときは退陣になると思います。そういうような力、そういうような可能性をもっているということになるわけです。
でも、どうやって私達は、これをさらに広げていくのかというと、そんな簡単なことではありません。先ほど冒頭のご挨拶でもありましたけれども、今日もひとつのきっかけとしてさらに多くの人達がつながっていけるかどうか、これは実は非常に大事なことでトランプの例のガセネタ、嘘のニュースをどういう人が信じているのか、あんな荒唐無稽なことに流されてしまうのかというと、まだまだ社会科学的に厳密な調査で、どういう人が偽のニュースに弱いのかという全貌はわかっていませんが、これまでのところわかっているのは、まず教育レベルが低いということ。これはアメリカの公教育が、ここ十数年ほんとうに壊されて来ちゃっているのです。先ほど進化論の例えも出しましたが、強硬的な右派のほうからの攻撃で補助金は削減されるは、教育の質は低下するはというようなことで、まともな教育を受けられないアメリカの人達が非常に増えてしまっているということがあって、分断統治する側からしたら教育は壊したほうがいいのです。自分の頭で考えたりせず、知識を持っていいない人達を増やしたほうがいいのです。恐ろしいですよね。本当にそういうことを考えるのかと思うくらい恐ろしいことですけど、実際にそれを実践してきちゃっているわけです。
それだけでなく、もうひとつポイントになってくるのはコミュニティ、人と人とのつながりが希薄な人、いってみれば日本のワイドショーの類いを見ていてもわかると思います。「わーっ、これはひどい、これ何」とお思いになることがあると思うのです。だけど日本の中でも、ご高齢の方、動きにくい方がいると思います。そういう方も含めて、政治に触れたり、独り言を言ったりする相手がテレビしかない人、自分の存在を出せるのがネットしかない人、そういうような人達がポスト真実の手法に乗っちゃうというようなことがあるみたいです。アメリカにおいても、たとえば産業が衰退しどんどん若い人がいなくなって残っている人が少なくなり、それまで行っていた教会とかもすごく遠くなったりとか、集会の場がなくなってきたりして人に接することがない。そうすると四六時中ラジオを聞いていて、アメリカのラジオはトークラジオといいますが、本当に狂った右翼みたいなラジオがいっぱいあるのです。あるいはFacebookで支配されるような偽ニュース、あんなところでしか他の人達とつながることができないという人が増えてきている。日本でも、アメリカほど広大でないけれども都会のなかだってそういうところってあります。やっぱり人と人がつながって自分の思いを語りあったりとか、大事なのは自分の思いを語るだけでなく、他人の思いを聞くことです。
私もよく質問されますが、どうやったらこちらの主張を聞いてもらえるのか、もっと多くの人につながることができるのか。正直、私もあまりいい答えを持っているわけではないですが、第一歩というのは他人の話を聞くことです。人の話を聞かないと、自分の話は聞いてくれない。当たり前のことですけれど。自分の言葉で語ってもらっていく、逆にいうと政治に関しても何か思うところ、あるいは政治につながること、たとえば保育園が遠くて困るとか、今年も入れるかどうかヤキモキしたとか自分に語ってくれる人がいたら、その人の話を聞く、その中で「ああ、そうだよね」と自分もこういうところを持っていて、それで実はこういうことをやっているんだ、その場ですぐに一緒にやろうとはならなくても、それは当たり前だと思います。
人間がその気になって動くのがそんなに簡単にできたら、逆に気持ち悪くないですか。(笑)でもその人が、その人のタイミングで自分はやっぱり声をあげよう、ここにお出での皆さんもそれぞれのタイミングあったと思うのです。もう何十年もずっと平和運動をやっていると方もいれば、私は割と最近なんだという方もいる。正直いって私なんか、ものすごい最近です。安倍政権以降ですから。2013年の頭くらいから、ようやく表に出て声を上げてということをやり始めたのです。でも、それぞれのタイミングがあるなかで、問題意識を持っている人、問題意識を出す場がない、そこでいきなりハードコアな政治の話しをしようたって、それはやっぱり引きますよね。そうではなく、その人が生活のなかで政治につながることで思いを持っているところがあれば、それを分かち合ってくれるような関係になれれば、そこがスタートなんだと思うのです。そうやってつながっていく。
オバマさんが当選したときに、これまでにないほどの票を集めて勝ったけれども、そのときにポイントになったのがcommunity organizing、共同体をどうやってつくっていくかという行動科学の手法でありますが、そのときに3つのステップがあって、1つは「story of self」。
自分語り、自分の話をお互いし合うこと。大事なのは、言うだけでなく相手の話を引き出せる質問力を持つということです。あなたの思いが、あなたの生活、あるいは政治と関わるような部分で思っていることを聞き出すということができるかどうか。
そして次にくるのが「story of us」。自分語りから私達の話になる。私達には同じような思いがあったり価値観があったり関心があるね、ということを共感しあうことが、話し合いをするなかでやっとできるわけです。
その次に出てくるのが「story of now」。じゃあ、今、何をするか。ということで行動につながっていくのです。
今日お出での皆さんそれぞれが、なぜ自分は今ここにいて、こんな話しを聞いているのだろう、どうして土曜日にこんな話しをしているのだろう(笑)、よほど偉い人なのかなあ(笑)。でも、どこかに自分の物語があるのです。それは幼少期なのか最近のことなのか、そんなに面白いストーリーではないかもしれない、多面的かも知れない、でも自分自身も探ってみて人に話せるようにしていく。そして人の話も聞いてみる。そうしたら、こういうところでつながっていて、だからこの場でいっしょにいるのだということがわかる。そして次に、私達が一緒に何ができるか、何をしなくてはいけないのか、そういう話しができるようになってくるということ。
まあ、時間がかかる話しなんだけれど、この政治の壊れ方に対応していくには、どうしても長期戦になります。世界的に見て、この状況がそんなに簡単になくなってよかった、家で寝てられるというようにはならないのです。
それを考えたときには、やはりつながり合って、お互いがお互いをリスペクトして、個人の尊厳を守るためにある政治や社会、経済を作り直す。その第一歩としては、自分の個人というのを踏まえる必要があって、相手の個人と、個人同士がどうつながっていくのか、その他人同士が力を合わせてどうやって変えてゆくことができるのかという段階になってくるのではないかと思います。
言うのは簡単ですが、やるのはたいへんです。たいへん根気がいるのです。むしろ皆さんのほうが、経験のなかでいろいろと感じられていることがあると思うのですが、時間になりましたので私のほうからのお話は、一旦ここでお終いにさせていただいて、ご質問などありましたら是非お願いします。
ご静聴ありがとうございました。(大きな拍手)
野党共闘は前提なので、候補者の一本化を進め、できるだけ多くの選挙区でやりたいと思っています。ただ、295も選挙区があると、32でもたいへんだったから、その全部でちゃんとできるかといったら、それはできないと思います。どうしても、ぶつかるところが出てきます。ぶつかる選挙区に関しては市民連合としては、それ以上かかわることはできません。どちらかのサイドに立つということはしません。できるだけやって欲しいということはありますが、それ以上のことは言えないということがあります。
どういうかたちで一本化できるのかというと、相互推薦するのかとか、政策協議はどこまでちゃんとやるのかとかありますが、現段階ではまだまだ見えてきていないというところが正直なところです。これは理想をいえば、選挙というのはできるだけ早い段階で、いい候補者が在り、早く運動が始まるのが勝利には一番いいのです。ただ現実として、これを単独の政党で勝とうというのではなく、野党共闘という不自然なことをやって勝とうとしているわけです。必要にせまられて。それを考えた場合に、違いがあるということをわきまえておいたほがいいなと思っています。
もちろん現段階で、複数の候補予定者が立っている選挙区がいくつもあります。一本化が早くできたらなあと思うのですが、神奈川でもいろんなところで呼んでいただいて、時によっては立候補予定者の方がお二人お見えになるとかいう場に行くことも多くあるのですが、ほとんどの場合、私が伺って各党の代表が来られるような場合でも、お互いどういうようなかたちでこの場に一緒に来るのかということについて、きちんと了解がつくられているというのが、まず基礎をつくっていると思います。
だから、予定者が2人いますが野党共闘を大事だと思っていますということが、口からでるだけでスタート地点としては十分だと思います。あとの問題は、中央のレベルでどこまで合意ができて、その先に進んで行けるのかということになってくると思いますが、野党共闘ってどうしてももどかしいし、スッキリいかないところがあるわけです。
候補者を見たときに、うーん、この候補者は……と思うときって、正直言ってありますよね。(笑)ほんと、うちの選挙区きついわって言われると、たしかにそうですねえ、としか言いようのないときはあるんです。ただ公党間の約束で、これは合意事項だとはっきりできると違ってきます。その後の当選後の行動を縛りますから、よほど割れたりしない限りは。
そこで一番大きな野党だし、一番巾が広いといえば聞こえはいいけれども、右派もいるのでよく皆に嫌われる民進党を例にあげると、たしかにイライラするようなところがあるというのは多々あります。けれども、特定秘密保護法のときも、戦争法のときも、反対票数の一番多かった国会議員のいるところは民進党ですから、右派議員も含めて反対していますから、それはやっぱり偉いと褒めてあげたほうがいいと思います。偉い、よく信念を曲げて投票した(笑)と。変ですけどね(笑)。だけれども党議拘束がかかって党内の議論がまとまって、そのときは反対した。心からあなたのところを信頼するとは言えないけれど(そんなことは言う必要はないけれども)こっちの思いを汲んでくれたことはありがたいということでいいと思うのです。そうでないと、こっちは負けます。やっぱり自・公のほうの数が多いのですから。自・公のほうでも、自分はほんとうはリベラルで安倍さんは嫌いだとかプライベートでは言う人がいても、みんなハーイ賛成ってやっていますから、こっちだけ本当に信頼できる人だけで固まって、こいつはちょっと違うから、日本会議系だからイヤだと排除していても、いいことにはならない。やっぱり言うことをきかせる、言うことをきいてもらうという方向で、うまく丸め込むというのが野党共闘のひとつの大きなポイントになっていると思います。
それができるのが、やっぱり市民なんです。特にそれぞれの選挙区でやると、選挙区によっては変わるんです。ほんとに。一番わかりやすい例は、三重の候補者です。元、神主さんです。三重といったら伊勢神宮のあるところです。そこで保守の候補者だったわけです。しかもそこで、野党共闘をやろうという。最初、共産党の地元の委員長の方と記者会見のあと、手を結ぼうととしたら無視するという、そんなところから始まったんです。ところがシールズ東海をやっていた若い女性が、30何回も一緒に街頭演説したと言っていましたが、献身的に一緒にいって、無視されても、ひどいことを言われても、というのは市民が最初に行ったら、相手にしてほしいならお前は何票持って来れるのかと言われてしまうのです。そういうところから始まったのです。それでもめげずに翌日も「おはようございます」と言って入っていき、できることはないですかと言う。そしたら信頼関係が少しずつできてくるんです。あんなことを言って悪かったなみたいになってきて、一緒に飲んだりということになってきて、仲良くなって人間関係ができてきて、そのうち候補者の演説の前に自分が演説すると、候補者の言うことが少しずつ変わってきて、キャッチボールをやっているみたいですごい不思議だった。自分は集まっている人だけでなく、候補者にも向けて自分の思いを語るようにしていたら、候補者もそれを聞いていてくれて、受け止めた上での発言しか聞こえないということがどんどん出てきた。最後は、当選したときにテレビの前で赤旗を見て、皆がほんとうに頑張ってくれて嬉しかった。ありがたいと言っているわけですから、凄いことなんです。今でも候補者は野党共闘を民進党のほうで支える、これは本当に、彼女だけじゃないけれども、彼女のように若い20代の女性ですが、彼女は保育士の資格を持っているのです。これは保育なのか(笑)と。ただ、ゴッツイおじさんなんですけど。ゴッツイ、いかめしいというおじさんに、やっぱり根気強くやってかかわるなかで、彼女の真心が、彼女がその資質を持っていたのかもしれないし、皆がみんなそうはいかないかもしれないが、それを受けとめて、こんなにがんばってくれる人達を邪険にすると人の道に外れているということで、自分はこう思うということをはっきり言うようになってくるというように変わった例もあるのです。こんなのは理屈でとか、誰か偉い人が来てできる話しではないです。人の心を動かすなんてのはそう簡単にできるものではないし、簡単にできたら逆に気持ち悪いですけれど、無名の市民だからこそ、その中で自分ができることをやっているうちに変わるということがあると思いますから、今すでにここまで変わってきているということを大きくつくれたらと思います。
最後にひとつだけ、政党について今後なにか新しいのができないのか、という質問がありました。
長期的にはそういうことはあるだろうなと想像しています。だけれども日本の選挙区、公職選挙法、政党助成金などの制度が、既成の政党に極めて有利にできていて、現職、世襲に有利になっているので、なかなか新規参入をやろうと思っても全然駄目なのです。
たとえば小林節先生の「国民の怒りの声」でしたか、あれが全然駄目だったのと同じように。ここは、彼と私の判断が分かれたところなんですが、私は政治学者なので政治の実際というのを考えると、いまこのタイミングで新党をつくってもどうにもならないと思っていたんです。たぶん小林節先生は憲法学者だから法律的に考えて、こういう権利があるし、こういうことができるとナイーブに思われたのだと思いますが、現実としてみると日本の新党というのは本当に採算が合わないので、できれば公職選挙法や政党助成金なども含めて、もっと民主化するのが先なんです。
何しろ今の制度の根本というのは、男子普通選挙が治安維持法と抱き合わせで1925年に通ったときの選挙のやり方というのがそのまま残っているところがあります。要は労働者に投票権を与えたけれども、できるだけ勝てないように、できるだけ立候補できないようにつくっていますから、きわめて歪んだ選挙のやり方をさせられているのです。それを変えるということをやらないで、新党をつくるといってもなかなかむずかしいし、やるとしたら相当周到にやらないとなかなか入っていくということはできないと思っています。
なので言葉は悪いけれども、へなちょこ野党でもリサイクルしたほうが話しが早い(笑)ということです。なかにはへなちょこではない人達もいますから、本当に叱咤激励して、おだてて保育をするような思いで育て上げることを根気強くやるのがいいのではないかと思います。
すみません、全部の質問にお答えすることができなかったのですが、本日はどうもありがとうございました。(大きく長い拍手)
(※この講演記録は、2017年2月4日に日本キリスト教団生田教会で行われた講演を生田9条の会の責任で文字化したものですから、文責はすべて当ホームページ係にあります 。)
●事実に基づくシャープな切り口を聞かせていただきました。1/2世紀頑張ってきたつもりですが、いっこうに政治は変わらず、逆方向に動いている現状で、この無力を感じる日々です。
変革は短期にはできない、たいへんだけど積み重ねてから長期的展望に立って動くことなんだろうが、若者への継承も近隣ではなかなか見えてこない。野党共闘が、こんな情況に一つの灯かもしれませんが、その中核に市民の力だと思いますが、マスコミの右傾化と国民の「見ざる、言わざる、聞かざる」国民と、政治家アベの「見せず、聞かせず、言わせず」の現状は打破できるか否か。老体には是(?)が前に進みにくいです。憲法カフェを地域につくりたいと思います。(70代)
●トランプ政権によるアメリカの激変状況と日本への影響、安倍政権との共通点(分断統治)などが、より明解に理解できた。更に、市民が政治を□ともに戻していくにはどうすべきかの具体的な指針も示していただいた。(70代以上、男性)
●米中戦争が起こるかも知れないとアメリカの学者が心配していると伺い不安になりました。
毎日、トランプの話題をメディアで見るたびに心が痛くなります。(50代、男性)
●たいへん良かった。(40代、男性)
●先週(土)に続き先生のお話を聞き、自身の疑問に納得・解消できました。米国でGMに解雇されたばかりの白人労働者が、それでもトランプを支持するナゾがわかったような気もします。
1人ひとりの市民が主人公の連帯が必要。政治をあきらめた人々を政治に取り戻すことの重要性が、現在の日米の状況でよく理解できました。それにしても、トランプ政権・日本のメディアはひどすぎですね。(60代、男性)
●トランプ政権誕生に伴う、さらなる危機。考えこみます。分断統治のおそろしさ、けれども20世紀の歴史を通じ、我々市民のきたえられ方も弱いものではないはず。少しでも明るい未来を見すえたいです。(50代、女性)
●たいへん良かった。9条の会の運営はほんとうにご苦労と思います。ニュースもとてもよくできていて楽しみにしています。(60代、女性)
●最後の三つのストーリーは具体的で勇気づけられました。(60代、男性)
●これまでの社会の動きを具体的にわかりやすく説明してくれた事で、よく理解できました。(60代)
●相手の話を、まず聴くことが大切。(50代、男性)
●系統的に現政治を突いて話して下さり、国内だけでなく世界の状況もわかりやすかった。聴くだけで無く老体ムチ打たなければと痛感した。(70代以上)
●東京新聞で中野先生のコラムを読んでおりました。今回、直接お話を伺うことができ感激です。(70代以上)
●今の世を、はっきり切りわけて語る人が少なくなっている現状で、はっきりわかりやすくのべて下さった。(70代以上、女性)
●この種の講演会の参加者は殆どが反安倍政権、9条を守ろうという人々だと思います。そうではない人々、特に若者との断絶に絶望的な気分です。(60代、女性)
●野党連合にしても、私たちの日々の暮らしの中に意味をもたせる。その他、多くの具体例を話されて、ほんとうに「地に足がついた」お話の連続で、おちこんでいた気持ちに自信を呼び起こしてくれました。(70代以上)
●現政権に不満を持っている人達はたくさんいるのに、それを広くまとめて行動にうつす場がない。野党に失望。国会に行ってデモに参加しても、ちっとも広がらない。いつも同じ□□は仲間だけでいい。シールズの存在はうれしかった。(70代以上、女性)
●音声的にもよく届いてわかりやすかった。内容も納得ができ、共感するところが多かった。(新聞夕刊のコラムで知っていたので、直接、お話が聞けてよかった。(70代以上)
●私の主人はいつも他人、特に私の話を聞かず、自分だけがベラベラとしゃべり、いつもくやしい思いをしていました。今日は先生が、「まず、人の話を聞くこと」とおっしゃってくださったとき、隣にいた主人が私をチラッと見て、「ごめん」と言ったような、言わないような……。少しは薬になったと思います。(70代以上、女性)
●朝日新聞、テレビ各局の政治トーク、寺島実郞さんその他が日常の政治情況を知る機会です。それでは聞けなかったことを伺えました。わかりやすく届きました。政治的関わりは唯一「選挙投票」。安倍政権以外を選ぶことが唯一の行動の現在です。(70代以上)
●モヤモヤしていたものがつながって良かった。(60代)
●安倍政権とトランプ政権の危険な側面を具体的に話していただき、暗い気持ちになりました。だからこそ、私たちはコミュニティを大切にし、人とつながらなければいけないという話しに納得しました。(60代)
●非常にすばらしい講演と思います。(30代)
●しばらくぶりにこのような講演を拝聴致しました。私達年配者ではなく若い方達に参加してもらいたいですね。選挙も18歳からですから! 現実の情勢の分析がよかったです。(70代以上)
●自分たちの権利を行使することの大切さを改めて感じました。無知であることの恐ろしさをつくづく感じました。(70代以上)
●たいへん良かった。(70代以上、男性)
●トランプ政権の内容、問題点、政治手法がよくわかりました。(60代、女性)
●厳しい現状の分析がすばらしい。ユーモアにあふれ、わかりやすいだけでなく、個への共感と尊厳に基づかなければ変わらないという熱い思いが伝わりました。私に何ができるか、という勇気もいただきました。(50代)
●分断とはわかりやすく言うと一緒に行動しない、ヘイトすること、これと反対に連帯とは一緒に行動すること、お互いを個人として尊重することだと思いました。今、連帯することに圧力がかけられています。勇気が必要になってきています。そこで権利を使うことが勇気を後押しすることになると思いました。(50代)
1.年齢 10代(0) 20代(0) 30代(1) 40代(1) 50代(6) 60代(9)
70代以上(19)
2.感想
《講演について》 ・たいへん良かった(32) ・良かった(3) ・普通(0) ・期待はずれ(0)
《感想・ご意見》 (上記掲載)
3.できる活動は?(複数回答)
□講演会、勉強会、お茶を飲みながら自由に語りあう憲法カフェなどに参加する。(14)
□パソコン活用による意見交換(生田9条の会のメーリングリストに参加する)(4)
□色々な市民活動のポスターを自宅に掲示する。(2)
□地域でのビラ配りに参加する。(9)
□駅頭宣伝活動に参加する。(8)
□共感する活動にカンパする。(14)
□その他(1)
4.連絡先は?(複数回答)
□活動に協力・参加したい。(4)
□ニュース(隔月発行・無料)を読みたい。(6)
□活動について知りたい。(3)
講演会は140名を越える参加者で立ち見もでるほどでした。米国トランプ大統領の誕生と世界の動きなかで、日本の安倍政治の本質を具体的な事例で解き明かし、政治を市民に取りもどす市民参加の現実性と野党協力の展望を示し、これからの自分は何をしたらよいのか、どう行動していくのかを考えさせ一歩を踏み出す勇気を与えてくれる講演だったと思います。
ご参加・ご協力いただき、誠にありがとうございました。(文責:HP編集者)