国民投票法が政府・与党の審議強行のなか、5月14日、自民・公明の賛成多数で成立しました。いよいよ改憲潮流との対決が現実のものとなりました。“国民投票に勝つ”世論を、この生田の地で必ずつくりたい、つくってみせる、だれもがそう思っていることでしょう。
生田9条の会では、改憲派の主眼である「集団的自衛権」について、きちんと学習しておこうと、学習係(池谷彰さん)・想定問答集係(大村新一郎さん、高山和美さん)が中心になってレポートをまとめ、それをもとに学習会が行われました。
集団的自衛権とは
まず、集団的自衛権とは何か? ということでレポーターから報告がありました。
●個別的自衛権……自国に対する急迫不正の侵略に対して、武力をもって排除する国際法上の権利
●集団的自衛権……自国は攻撃されていないが、他国に対する攻撃を自らに対する脅威とみなして、武力攻撃を行う権利
と自衛権を2つにわけ、比較しながらその違いを明確にしました。
専守防衛という自衛権
わが国では、個別的自衛権の具体的なかたちとして「最小限度を越えない実力組織」として自衛隊がつくられ、次第に予算と戦力を拡大してきました(資料あり)。自衛隊創設時には、専守防衛ということで海外派兵を禁じられてきましたが、湾岸戦争以後、PKO法、周辺事態法、テロ特措法、武力攻撃事態法、イラク特措法と海外での活動ができるよう政府の憲法解釈を変えてきました。そのもとで自衛隊は、“非戦闘地域”で“武力行使をせず”に“人道復興支援”活動を任務としてイラク戦争に派兵されましたが、1回も武器を使用せず、だれ1人戦死者を出すことなく帰ってきました。航空自衛隊は、今でも現地で空輸活動(主に兵站活動?)を続けています。
同盟強化を求めるアメリカ
アメリカは、朝鮮戦争(1950年)を機に日本に警察予備隊(自衛隊の前身)をつくり、以後、アメリカの“自衛戦争”(イラク戦争など)に協力させるため集団的自衛権を認めさせようとしています。その要求に応えるため、安倍首相・自民党は憲法9条を改悪し、自衛軍を持ちいつでも戦争ができる国に変えようとしています。まさに、集団的自衛権の行使を可能にすることが、アメリカと日本の安倍首相・自民党のめざす改憲のもくろみの中心になっています。
有識者懇談会による究極の解釈改憲
いっぽう、「集団的自衛権を持たず、行使できない」とする自衛隊の専守防衛の枠組みをとっぱらい、従来の政府見解を変えることで集団的自衛権を行使できるようにするため、安倍内閣は有識者懇談会をつくりました。
その主な研究項目は
①米国を狙った弾道ミサイルの迎撃
②公海上で米艦船が攻撃され、自衛隊が反撃
③国連平和維持活動(PKO)中、共同活動する外国軍への攻撃に、自衛隊が駆けつけて反撃
④米軍や多国籍軍への後方支援
の4類型です。
これをみてもわかるとおり、「やむを得ず協力して対処しなければならない」というような事態を突破口に、ゆくゆくは集団的自衛権を行使できるように変えようとしています。そして、その懇談会のメンバーが、従来の政府見解“専守防衛”に批判的な人ばかり(座長、柳井俊二前駐米大使)が集められている点が危険なところです。
安倍政権の2つの作戦
このように、安倍首相・自民党は、
①明文による改憲という正面突破作戦と、 ②いままでの政府見解を変更し、国民投票を経ずに国会の多数決のみで集団的自衛権を認めさせる、という両面作戦をとっています。憲法改正の国民投票では負ける可能性があり、国民投票法が施行されるまで3年間待たなければなりません。ですから、それを避けて一刻も早く集団的自衛権を行使できるようにする方法として政府見解を変える(解釈改憲)という方法も動き出しているという指摘です。
このように、改憲の動き、集団的自衛権を認めさせる動きは、ここまで危険なところに来ていると報告がありました。この報告にともない、自衛権と集団的自衛権について解釈の歴史的変遷、防衛費の動きや思いやり予算などの補足説明と、ミサイル防衛などすでに日米の軍事一体化がすすみ偵察機や最新鋭のレーダー施設による共通の情報収集が行われ、司令部を一体化しいつでも共同作戦がとれるようなところまですすんでいるという報告がありました。
集団討議の論点
ここまで、集団的自衛権について共通の理解を深めるため、逐次質問に答え学習会をすすめてきました。これらを踏まえ、それぞれの疑問を全員で討議し問題意識を深めました。次に、主な論点を列記します。
①個別的自衛権と自衛隊を憲法上どのように見るか、合法か否か。成立の過程や自衛隊の災害復興活動なども含め、それぞれの見解から自衛隊の将来をどうすればよいのか。
②集団的自衛権の行使とは軍事同盟(日米安保条約)を発動するということで、実質的に日米安保の強化になる。実際に日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、米軍と自衛隊の一体化をすすめている。
③経済のグローバル化で、外地の日本産業(外地での経済権益)をいかに守るかということが、集団的自衛権を認めさせようとする要因ではないか。危険地域はすべて監視されている。
④集団的自衛権が認められ行使されたら、実際にどのような事が起こるのか知りたい。
⑤集団的自衛権を認める動きを阻止する身近な制度として国会議員選挙があるが、現在の小選挙区制のもとでは、2大政党に圧倒的に有利であり、選挙制度を変えなければだめだ。
⑥安倍内閣と有識者懇談会は、憲法を変えず解釈を変えることで集団的自衛権を認めさせようとしている。究極の解釈改憲であり、9条を空洞化しようとしていて、非常に問題を感じる。私たちの運動の視野に入れていく必要がある。
⑦自衛軍とは? 常備軍とは? その際、国民抵抗権との関わりは?
⑧自衛権を持たず自衛隊を解散したら、日本の防衛はどうする? 憲法前文2項を実践する平和外交戦略こそ大事だ。
⑨国内の経済格差がすすみ、貧困層の増大で職業として軍人が求められ、常備軍、徴兵制にすすむのでは。
⑩経済の軍事化は危険。戦争準備のために国民の生活が脅かされている。
⑪自衛隊、軍隊をカッコイイという気持ちや、それを煽る文化がある。
これらが議論になりましたが、この集団的自衛権についての学習会は、改憲策動の中心となる問題をみんなで論議し認識を深めたいということで、私たちの運動の屋台骨になるため議論は白熱しました。改憲派も、2010年の改憲案の提案、国民投票をめざして運動をいっそう強めてくると思われます。今後も時宜にかなったテーマを選び、専門の講師などもお願いしつつ学習会を企画していきたいと思います。みなさんもぜひご参加くださるようお願いします。
第4回
学習会
国民投票法案成立阻止のために
今できることは!
内田弁護士 熱く語る!《07.5.10更新》
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生田9条の会では、4月14日(土)喫茶店モンタナにて、川崎北合同法律事務所の弁護士 内田和利氏を講師としてお招きし、改憲手続き法案(国民投票法案)の学習会を開きました。講演要旨と質疑を事務局のまとめをもとにお知らせします。
日本国憲法は硬性憲法、つまり法律と比べ改正が容易でない憲法です。憲法第96条は、「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が」憲法改正案について「発議し」、「特別の国民投票…において、その過半数の賛成を必要とする。」と規定しています。なぜ、改正手続きが厳しいかと言うと、憲法は、国の基本(人権保障や統治制度)について定めている国の最高法規であるからです。そして、国の基本を決めることができるのは、国民自身です。(国民主権)従って憲法を改正するかどうか最終決定するのも国民です。それゆえ、
①国民に中立で公正な情報が伝わり、
②自由な国民投票運動が行われること、
そして、これらを前提に「国民投票」において
③国民の広範な賛成
がない限り、憲法を改正できないとしたわけです。
今回の自・公の改憲手続き法案(国民投票法案)は、憲法第96条の精神にのっとった3原則に照らしてどうでしょうか?
①国民に中立で公正な情報が伝わらない
…一方的有料広告の垂れ流しが許されている。
②自由な国民投票運動が行われない
…530万の教育者、公務員の運動が規制され、運動禁止に違反すれば懲戒処分などの行政処分がなされうる。
③国民の広範な賛成を必要としていない
…最低投票率の定めがなく、有効投票の過半数
の賛成でよいとする(※注:44%の投票率で5%の無効票が出た場合、有権者の2割弱の賛成でも改正でき、極めて改正しやすくなっている)。
他にも、問題はありますが、国民主権の観点からはこの3点が大問題といえましょう。中でも、国民に中立、公正な情報が伝わらないことには国民は判断もできないといえるので、①を中心に問題点を考えてみます。
まず、政党などの無料広告の不平等は、批判も大きく修正により賛成派反対派ともに平等の時間となりました。しかし、業界、市民団体などが利用する有料広告・放送には規制がありません。放送事業主などに対して、賛成派反対派どちらにも料金、その他の条件を「同等のものとするよう、配慮するものとすること」という規定のみです。広告、放送事業者は営利を追及しているのですから、潤沢な資金を有する側の広告が垂れ流しになるのは明らかと言えます。
ところで、私たちがもしTV・CMを流すとして、人々に「あっ、このCM見た」と感じさせるには、全国規模で1ヶ月、3億5千万円以上かかるといわれています。他の新聞、ラジオなども組み合わせ、投票に影響を与えるほど「目に付くな」と感じさせるには1ヶ月10億円。広告制作業界など、関連事業を含めれば、国民投票は1,000億市場とのことです(会場からため息)。
また、自由法曹団がイタリアで調査したころによると、1994年に結成された、メディア王ベルルスコーニ(民法4社のうち3社がその傘下、視聴率の45%、広告率で60%を占める)率いる政党が、メディアを悪用し数ヶ月で政権をとるという事態が生じました。まさに、金で政治が買われてしまったのです。そこで、イタリアではメデイアの政治的利用・支配を是正すべく有料広告が禁止となりました。無料広告も賛成、反対派両方に均等な放送時間を義務付け、独立行政機関アウトリタが監視して違反が発覚した場合、反対陣営に同等時間を保障する、罰則、放送停止などの強力な措置を取れるようになったそうです。
1,000億円市場であり、投票2週間前まで、有料広告の規制が設けられてない日本では、かつてのイタリアのようになってしまう危険が大いにあります。
このように、国民を馬鹿にした改憲手続き法案は、4月12日、衆院憲法調査特別委員会で与党修正案が強行採決され、13日、衆議院本会議でも賛成多数で可決され、参議院に送付されました。この法案は、内容もひどいものですが、9条を改悪して戦争をできる国にするための一里塚としての意味を持つ法案でもあります。
1,000億市場の一部であるマスコミが、法案の問題性を報道することは期待できないので、我々が駅宣、ビラ配り,FAX要請行動などを通し、草の根運動で訴えていくしかありません。6月で国会は終了です。参院選があり、それまでに採決されされなければ、参院の構成が変わるため継続審議とはなりません。
『まだまだ、国民に知れ渡ってない状態です。衆議院での予定をずれ込ませたFAX行動を無にしないためにも、ここが踏ん張り時。今、やらなくていつ頑張るときがあるでしょう?今が頑張るときなのです!』内田先生の熱弁に参加者は引き込まれました。
◆◆◆ 質疑応答 ◆◆◆
Q なぜ、ここまでして改悪しようとするのか?
9条を改悪して、自衛軍を作りアメリカと共同して海外に行けるようにしたい。人を出してないという批判をかわしたい。衆議院で与党多数のいまがチャンスと見ている。
Q FAXの文面はどういう感じのものが効果的か?
難しいが、激しく訴えかけつつ、説得力のあるものがよいのでは。
Q 投票年齢18歳以上の意味をどう捉えたらよいか?
ひどい内容の法案から目をそらすため、飴としての役割と位置づけうる。
Q 憲法の学者など、専門家が意見出して反対しているのになぜ、つきすすむのか?
確かに、公聴会での自民党選出の公述人でも慎重にすべきだと意見をだしている。やはり、衆議院で与党が多数の議席を有しているため、機を逃せないと言うことか。
等々多数の質問(その他はホームページ参照)に丁寧に答えていただき、法案の理解が深まるとともに、行動への熱意もいっそう高まった有意義な2時間でした。
第3回
学習会
「憲法と教育基本法」
お話 大野 昭之 ──────── 《07.5.10更新》
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大野さんのレジメはこちらからダウンロードできます→クリック
去る3月24日(土)、喫茶店「モンタナ」2F(読売ランド前)で、第3回学習会が開かれ15人が参加しました。「憲法と教育基本法」と題して、運営委員の大野昭之さんが2時間余のレポートを行いました。
以下、お話の概要を報告します。
戦中までの大日本帝国憲法・教育勅語体制と敗戦後の日本国憲法・教育基本法体制とを分けて考えていきたい。現代の教育の荒廃は教育基本法による戦後の民主主義教育が生かされていないからではなく、教育基本法による教育の必然的帰結であり、教育基本法体制そのものを止揚していかなければ教育の荒廃は避けられないのではないか。
●敗戦後5年間の8人の学者文相時代について
前田多門を例にとってみると、軍国主義を否定し平和国家の建設のため教養、科学的思考力、平和愛好をすすめるとしながらも「国体護持」を擁護発展させ、教師に教育勅語の再読運動を呼びかけた。
教育勅語は天皇が国民に道徳を押しつけたものだが、教育基本法では新興のブルジョアジーが自らの道徳を普遍的で立派なものとして国民に押しつけたもの。道徳は歴史や階級に規定され、国民の誰にでも通用する道徳などはない。教育基本法の論議は、自由主義的知識人を使って道徳主義を持ち出し、ブルジョア国家の階級的本質を隠蔽し、歪曲することによってブルジョアジーの支配に奉仕するものになっていた。
1946年に、文部省はアメリカの圧力のもと「新教育指針」を出し、教師の再教育を行い、一人ひとりの個性を完成させることを教育の原点とした。しかし、「一人ひとりの個性」とはどういうものか明らかではなかった。国家主義教育(天皇制主義)が否定され個性尊重の教育に変わり新鮮ではあったが、個人主義が資本の支配と体制を正当化し美化するという問題は問われなかった。
このように、新しい教育基本法づくりに奔走した知識人の多くが、同時に教育勅語の信奉者であり擁護者であったことは、戦後教育の本質を示唆していた。天皇によって国民道徳が決定され、押しつけられるという国民主権に反することへの反省がなかった。
●アメリカは46年3月に教育使節団を派遣し、その受け皿として教育刷新委員会が設けられた。この教育刷新委員会で、南原繁らは「教育は人間性の開発をめざす」と教育の目的を提案したが、審議ののち「人格の完成をめざし」となり、47年3月31日に教育基本法として成立した。
階級社会の中で社会のあり方を決めるのは究極的には階級闘争によるもので教育の力によるものではないという観点からみれば、この教育基本法は「教育の力」を高らかに謳い上げたが、一つの幻想をふりまき労働者階級の闘いを鈍らせる役割をした。
【成立までの議論とその特徴】
①「個人の尊厳」「人格の完成」が強調され、教育の根底に個人主義があり、社会的な人間として育てることを第1義的に考えていないため、国家主義的観点から攻撃の的となった。
②第10条の「不当な支配」について、提案当初「不当な政治的、官僚的支配」としていたが、枢密院で削除された。文部省は「内容の如何を問わず法律で決められたものが正当となる」という立場をとり、教育への国家権力介入の道を残した。
③天皇が国会に変わっただけで、国家、または政治が制度のみでなく内容、理念まで決めるという教育の主体が国家で、国民が教化の対象とされ、学校だけでなく国の全域で教育が強調された。そこには、敗戦後の思想真空を埋めるため、教育勅語にかわる教育の官治性、無謬性、包括性を継承する原典としての教育憲章が求められ、教育基本法がその役割をはたした。 ※自由民権運動のなかで生まれた植木枝盛の憲法案「文学と教育は、国は之に干渉すべからず」を参照。
●教育基本法と同時に成立した学校教育法について
国民学校令(41年3月)では、天皇─大臣─地方長官(任命知事)─学校長─訓導(先生)と管理体制が貫かれていたが、学校教育法(47年3月)では校長と教諭は上司─部下の関係ではなく職種の違いとなり、教育行政(教育委員会)と教育機関(学校)とが別系統となり、行政が学校に対し命令を出すことができなくなった。これは革命的な変化であった。
●教育基本法改悪反対闘争の問題点とこれからの闘い
わが国の伝統と文化を尊重し、国と郷土を愛する態度を養う愛国心教育が盛り込まれ、憲法による教育を受ける権利を無視し教育を受けさせる義務のみを決め、規律や意欲の強制と規律を乱すものの排除、等を決めた自民党・公明党の改訂案が、ほぼ同じ内容をもつ民主党案とともに審議され、自民・民主の共同修正案が密室協議ですすめられたが公明党の反対でつぶされ、結局自民・公明案が06年12月15日改正教育基本法として成立した。
【この反対闘争の問題点】
①会期末、民主党の腰砕けにより野党共闘が不発に終わり、内閣不信任案も出せずに敗北した。
②日教組(日本教職員組合)と全教(全日本教職員組合)が、最後まで統一闘争を組まず、院外の大衆闘争が分裂したままだった。
【大衆闘争分裂の背景、及び教育への国家の介入 とそれへの闘い】
1974年、日本共産党の「教師聖職論」と日教組の「教師は労働者論」の対立があり、75年の主任制導入でも共産党は賛成で日教組と対立した。以後、共産党系組合と日教組は同席しなくなった。
77年、学習指導要領で、日の丸・君が代を「国旗・国歌」とする教科書検定が強化された。
89年、連合成立の過程で日教組が分裂し全教が生まれた。60万の日教組が30万人に激減、なかでも東京は双方を足しても過半数に満たない組織率になった。
99年、共産党「国旗・国歌問題での国民的討論」を呼びかける。小渕内閣「日の丸・君が代」を日本の国旗・国歌とする「国旗・国歌法」を成立さす。それ以来、日の丸・君が代は学校行事への導入がすすめられ全国的にも当たり前の状況になった。わずかに東京、北海道の一部のみが抵抗していた。
03年、石原都知事は、「10・23通達」で国旗・国歌を学校行事に強制。都高教組の中の個人的な戦いで、国歌斉唱で起立しない、ピアノ伴奏を拒否するなどの戦いを開始。給与・再雇用などで差別される処分を受けたが、処分違法の裁判を開始した。
06年9月、東京地裁で、処分による国歌強制は違法という判決がでた。良心の自由の侵害は大きな苦痛で、あらかじめ強制を排除するという勝訴となった。(いわゆる「予防訴訟」)
07年2月、最高裁小法廷は、君が代の「ピアノ伴奏拒否処分は合憲」の判決をだした。
07年4月の東京都知事選挙は、きわめて重要で、石原知事を敗北させれば大きな批判となる。
労働者にとって国民教育の歴史的評価は、民主主義に対する歴史的評価と本質的に同じである。労働者は「民主主義」体制のブルジョア的本質とその限界を暴露しつつも、その歴史的意義つまり労働者の階級闘争にとっての一定の積極的な意味と役割を確認する。労働者にとって「平和と民主主義」ではなく「平和と社会主義」でなければならない。
◆主なQ&A
Q 親、先生たちは教育基本法をどう受けとめているか?
A 一般によいもの、と受けとめていると思う。ただし教師ですら中味をきちんと読んだり理解している人は少なかった。
Q 教育基本法が改悪されて、予防訴訟に影響はないか?
A 難波判決も教育委員会が控訴中であり、悪影響があるのではないかと心配している。
Q 教育基本法が改悪された今、今後の闘い方は?
A 現在、国会で教育関連3法の審議が開始されている。情報は少ないが、国会情勢を知ること、デモ、集会などもやったほうがいいが、限界もある。夏の参議院選で自民・公明の枠組みを何としても崩すこと、これが一番。
◆感想あれこれ
・憲法も教育基本法も国家主義のDNAが入っている。憲法には民意というものが入っている(立憲主義)。教育は、国や権力が入るものでなく主権を持った人間=個人のものだ。
・教師の運動がどのように分断され弱められたかよくわかった。
・国が教育に介入することの危険性がよくわかった。今後の戦い方を知りたい。
第2回学習会
「日本国憲法と天皇制」 お話 伊藤 清さん
(参考:伊藤真執筆「中・高生のための憲法教室」V24、雑誌「世界」掲載)
伊藤さんのレジメはこちらからダウンロードできます→クリック
去る2月17日(土)に、第2回学習会が読売ランドの喫茶「モンタナ」で開かれました。あいにくの冷たい雨にもかかわらず19名が参加し、この日のテーマである「日本国憲法と天皇制」について伊藤清さん(南生田在住)のお話を聴き質疑応答を行いました。学習会初参加の方も3人出席し伊藤さんのレジメに沿った1時間あまりのお話に耳を傾けました。
以下、伊藤さんのお話を要約します。
伊藤さんが天皇制のことをとくに考えるようになったのは、司馬遼太郎の「日本の歴史は、天皇の問題をはずすと物事がよく見えるね…」という文に接してからで、たいへん驚きを禁じ得なかったこと、逆に「天皇の問題をはずすと物事が見えなくなり、こだわると歴史がなんとなく見えてくる」と感じていたのだった。事実に即して問題を捉え、若者の想像力を刺激するようなことを投げかければ、より多くの若者が改憲阻止の運動に参加してくれるだろう。
伊藤さんは、まず憲法で決められている象徴天皇制とそのあり方についてご自分の意見から述べました。
1.「象徴」について……象徴・シンボルとは抽象的観念的で形のないものを形のあるもので表現することだから、天皇であれ過去の偉人であれ「生身の人間」が象徴にはなりえないもので、その上象徴天皇は国民の上に天皇を位置させるもので、国民主権という憲法の基本的原則に違反する。
2.「世襲」「男系男子」について……皇位は、憲法第2条で世襲のものとし、皇室典範第1条で皇統の男系男子が継承すると決めているが、世襲とは身分出身による差別であり、男系男子というのは性による差別であり、門地身分による差別を禁じ両性の平等を原則とする憲法の精神に反している。現憲法には、差別を内包しているという矛盾がある。
3.「女帝」について……両性の平等原則から女帝を認めるのが憲法に則る。皇太子に男の子がいないということで象徴天皇制が揺らいでいる。今ほど天皇について論議されたことはこれまでになかったこと。「男系男子」という皇室典範の継承方法では、悠仁親王の誕生で皇位が東宮家から秋篠宮家に移ることになる。
以上3点を述べたあと伊藤さんは、安倍首相は、あくまで男系男子を堅持し、自民党「新憲法草案」の前文でも冒頭に象徴天皇制を維持することを明記し、国民主権よりも上位に扱い「天皇を中心とした神の国」路線の強化を貫くだろうと指摘し、次にレジメをもとにお話を進めました。
4.天皇制タブーについて……中世から「聖(天皇)」と「穢(え・けがれ)」という差別をつくり出した。明治になって大日本帝国憲法第1条で「大日本帝国ハ、万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」とし、第3条で「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラス」とし、統治権と神聖不可侵性を憲法で決めたことと、その半年後に発布された教育勅語により天皇への無条件服従を強いたことで思想差別、天皇制タブーが強固になりほとんどの人が天皇崇拝と国体(天皇制)護持を肉体化したともいえる。さらに家父長的家族制度で家族のなかにまで天皇制が徹底され、のちに徴兵制、国家神道、不敬罪、治安維持法などで天皇制を支える支配のしくみが完成した。こうして天皇制を批判することはタブーとされていった。
5.国のはじまりと天皇制について……天皇制は日本の伝統文化で2000年もしくは2600年続いているという説が横行しているが、2000年前は弥生時代、2600年前は縄文晩期で、天皇どころか日本という国さえなかった。6~7世紀にかけて大和で統一政権ができ、7~8世紀初めにかけて古代律令制と天皇制が成立、少し遅れて「日本書紀」が誕生したというのが日本という国のはじまりの定説である。天皇号については、初めて使ったのは40代天武天皇からだったし、古代末期から明治前までの875年間使用されてこなかった。正式に外交文書に使用されたのは1936年(昭11)だった。また、継体天皇、天武天皇は渡来人だった(?)という説、皇位継承争いで天皇家は血に塗られていること、摂関政治全盛期には殿上人さえ摂関家の動向に左右され、室町末期には日々の食事に事欠くことさえあったなど、天皇がいつも支配的な地位にいたわけではなかった。
6.日本国憲法成立の背景──象徴天皇制と戦争放棄について
(1)第2次大戦末期、敗北必至の情勢の中、天皇はもう一度戦果をあげてからの和平交渉をねらったり(45.2)、三種の神器を心配してポツダム宣言受諾を引き延ばした(45.7)ことにより沖縄戦、東京大空襲(05.3)、広島・長崎原爆投下(45.8)へと決定的な攻撃を受けることになり、さらにポツダム宣言を受諾し降服したと発表しなかったことで大阪大空襲(45.8.14)へとつながり被害を広げていった。それにもかかわらず敗戦を「終戦」といい「ポツダム宣言受諾」を「共同宣言受諾」といい(45.8.14~15)、戦後初の外国人記者会見で天皇は「米英開戦の責任は東条にあり」と声明を出し(45.9.25)戦争責任回避と天皇制(国体)維持に狂奔した。
(2)いわゆる人間宣言(46.1.1)についても、「現人神」という天皇の神格性は否定したものの、天照大神の末裔であり、国体を奮い起こせと宣言したし、食糧メーデー事件でも「朕はたらふく食っているぞ」と書いた青年を国体護持のため逮捕した。
(3)政府、政党だけでなく民間でも憲法論議は活発に行われ10案が出され、なかでも憲法研究会のものをGHQは高く評価した。明治憲法を少しいじっただけで天皇の地位を温存した政府案は不評。政府に期待できないと判断したGHQは1週間で草案を作成(46.2.5)し政府に渡す(46.2.13)。
(4)マッカーサー元帥は天皇無しの占領には「少なくみても100万の軍隊が必要であり、それを無期限に維持」しなければならないと本国を説得、天皇制の維持とその利用を図るため象徴天皇制として憲法に残すには、日本の天皇制存続に反対するソ連、豪、中国などが入る極東委員会を説得できないと判断し、日本が再軍備ができないようにする戦争放棄と戦力不保持(9条条項)を決めた。さらに、GHQは、国民主権で非武装・戦争放棄の民主的憲法を天皇の意志でつくられたものだという勅語(46.3.6)を出させた。
(5)天皇は、貸与というかたちで沖縄を半永久的に米国の軍事基地化することを米国に提案。(沖縄メッセージ、47.9)その後も「近隣諸国に比べ、自衛力が大きいとは思えない」「旧軍隊のよい所をうけついで軍備を発展させるよう」内奏にこたえる(73.5.26)など違憲の行為をしてきた。
伊藤さんは、無関心層の取り込みをはかる安倍政権に対し、事実を直視し、想像力を刺激しながら若い人を9条の運動に引き込むことが大事だと再度強調してお話を終えました。天皇制の歴史から現代の象徴天皇制と9条の誕生について、史実を検証しながらギッシリ詰まったお話に、司会から休憩が告げられるとようやくホッとした空気が流れました。
●質疑応答
Q 民間研究団体「憲法研究会」の案では、天皇制はどのように扱われていたのか。
A 1.統治権は国民より発す 2.天皇は国政を自らせず、国政の最高責任者は内閣とする 3.国民の委任により国家的儀礼を司る 4.即位には議会の承認が必要、としていた。
Q マッカーサー元帥の「政府案では世界は日本の真意を疑う……。戦争放棄すると声明してモラル・リーダーシップを握れ」という文の出典は何か?
A マッカーサーの実際の発言です。
Q 天皇はマッカーサーと会見したとき「国民を救うために自分は殺されてもよい」と申し出たと、戦後聞かされてきたがどうなのか? それでマッカーサーの心証をよくして象徴天皇制が残ったのか。
A マッカーサーが日記に書いたのが広まったが、その後いっさいこの証拠はない。通訳の記録にも残っていない。
Q 南京大虐殺や朝鮮人強制連行の話を知ったのは最近で、知らされてこなかったのでは。
Sさん 南京大虐殺が教科書に記述されたのは家永三郎氏の三省堂・高校教科書からで、その他の教科書でも叙述が一般化したのは家永裁判以後である。「従軍慰安婦」の話がすべての中学校教科書にのったのは1996年版だが、その後の教育の反動化でまた消えてしまった。多くの一般国民が南京大虐殺について知るきっかけになったのは、1971年、本田勝一氏の「中国への旅」などの著作が影響したが、教育・マスコミの中では政府の圧力の下で十分に知らされていない。
Q テレビや週刊誌などで流される愛子さま報道など、ファッション天皇制ともいえる風潮の流行はどう見るか?
A 天皇家は暖かい家庭だという報道は、真実を伝えていない。実際は、美智子皇后が嫁いできたときには死にそうになるなどの事件があった。非常に閉鎖的でもある。年間300億の皇室予算、天皇家の私的なお祭りである大嘗祭に80億円拠出、そのうちの23億円かけた建物を一晩で取り壊すなど税金を無駄づかいし、憲法の政教分離原則に反している。
等々、議論は若干迷走しながらも、終了時間がきました。終わりに、伊藤さんは、21歳で軍隊に入り23歳でフィリピンのルソン島で戦死(45.4)した詩人・マンガ家の竹内浩三の詩「骨のうたう」を朗読してお話を終えました。
この1週間に「すげ九条の会」の岩田行夫氏の「検証──憲法九条の誕生」という講演会、NHK教育テレビの「憲法研究会」の憲法改正案ができる過程を追った番組、さらにこの伊藤さんのお話ということで、まさに憲法が誕生する過程を扱ったものが揃い踏みし、ここで憲法が押し付けられたものではなく、まさに国民の中から生まれ、国民に歓迎されたものだったことがよくわかったという感想もありました。
「想定問答集」編纂について
次に、9条の運動を広め賛同者広げていく上で住民と気軽に対話をするさいに有効と思われる「想定問答集」についての説明が事務局からありました。担当者の中から11項目の質問事項が出てきたが、このほかにあれば追加募集します。また、それへの回答もできるだけわかりやすく具体的に出典も明示して出してほしいということで、回答の募集も行います。具体的な経験談も可とのこと。次回運営委員会に議論します。
以下、質問事項を列挙します。
1 アメリカの押し付け憲法ですよね?
2 制定後60年も経ち、時代に合わない条文があるよね。
3 敵が攻めてきたらどうするの?
4 日本のそろそろ「普通の国」になるべきでしょ。
5 人間同士でも、やったらやり返すこともあるでしょう? 国どうしでも同じでは?
6 主権国家として、国が自衛権を持ってどこが悪いの?
7 自衛隊は、すでに他国と比べても大きな軍事力を備えているよね。軍隊と憲法に明記するほうがすっきりしない?
8 軍隊として海外派兵できるようにすることが、国益にかないませんか?
9 国際社会での安全・秩序維持を図るため、国連がその役割を果たすべきと考えるなら国連軍への軍利力提供は国際社会の一員として当然じゃない?
10 実質、軍隊である自衛隊をどうするの? 今すぐ、解散? つづいて、現在、国会で審議されている国民投票法案について情勢報告と事務局からの訴えと緊急行動の要請がありました。
国民投票法案について
●国民投票法案の問題点(すべて与党案をカッコ内に記す)
1 狭すぎる投票権者の範囲(20歳以上)
2 「過半数」の基準(有効投票数の過半数)
3 国民投票成立のための最低投票率の設定(なし)
4 改憲条項の一括投票について(関連する事項ごと)
5 有料宣伝広告(原則自由)
6 投票運動の期間(2~6ヶ月)
7 公務員、教員の運動制限(地位利用による国民投票運動の禁止)
8 国民投票無効の異議申し立て(東京高裁に30日以内)
9 法案成立後の「憲法審査会」では、いつでも改憲が可能となり政府・国会議員の憲法順守義務が軽視されるおそれがある。
などです。
●なぜ、急いで国民投票法の成立を狙うのか
日本を世界的な規模で米軍とともに「戦争ができる国」にするため、9条を破壊したい一貫したねらいがある。
●「国民投票法」の必要性の主な理由は、「立法不作為」論
「国民投票法」がないため(立法府の不作為)に、96条が認めている憲法改正の権利が侵害されていたという事実はない。そもそも、国民投票法とは、改憲のため国会の発議があってから検討されつくられるものである。
以上の理由により、生田9条の会でもこのような国民投票法に反対し、廃案に追い込むための個人でできる緊急の運動を提案します。安倍首相の指示どおり国民投票法を5月3日までに成立させるため、国会では修正案をめぐり与野党の攻防が活発になっていて、このなかでとくに民主党が鍵を握っているので、民主党を修正の議論にのせないためにFAXや手紙を使った廃案要請と抗議の意志を伝える緊急の運動を起こしたい。そして、他の野党には激励の文書を送りたいと思います。
この提案は、出席の皆さんに承認され、さっそく実行に移されることになりました。
第1回学習会を開催
なんと21名が参加、熱く討論!
伊藤さんのレジメはこちらからダウンロードできます→クリック
去る1月27日(土)夜6時から、よみうりランド前駅から2分の喫茶店『モンタナ』の2階で生田9条の会発足後はじめての学習会が行われました。
今回は初めての学習会ということで運営委員を中心にして行われました。雑誌『世界』連載記事「中・高生のための憲法教室」(執筆・伊藤真)の第5回目「攻められたらどうするの?」がテーマです。学習担当のレポーターが15分ほど発表し、その発表についての質疑応答からはじまり、司会をはさんでフリーな意見交換というかたちで進行しました。
テーマが我が国の防衛政策に直結し、さらに「九条」をどうとらえるのかと世論を二分・三分するものであるため、ディベイト(賛否に分かれて討論する)方式でやったら意見が出しやすいと、特定の人が自発的に改憲論の立場に立ち討論が進みました。また、今後の運動の展開次第で憲法擁護の署名を、各家庭を訪問してお願いするときに、いろいろな賛否両論に出会うことになり、的確に対応できるようにしておきたいという位置づけもあり、討論は白熱したものになりました。改憲論の典型的なものがいくつか出てきて、それへの反論も十分に説得力のあるものが出てくるなど議論の中味は濃いものになりました。
まず、レポーターの報告を要約します。
1.無防備は最大の防備であること。無防備都市宣言についても
2.日本国憲法は古くなったか? 日本の進むべき方向を示してはいないのか。
3.日本国憲法の4つの存在価値
4.国際貢献・協力、国益、愛国心ということばには要注意
5.良心的軍事拒否国家としての日本の将来
6.改憲は国内問題だけではない、国際問題でありとりわけ中・韓からは注視されている。
などです。
議論は、無防備都市ということから始まり、「エネルギーを求めて植民地戦争を始めるが、防備のあるところよりも無防備のところのほうが植民地化しやすいのではないか?」という疑問が出され、さらに第2次大戦中のいくつかの無防備都市はどうだったかの報告があり、軍隊は軍の作戦を最優先し無防備宣言を蹂躙するということが指摘されました。
次に、「北朝鮮が攻めてきたらどうするのか? 攻めてこないというが、説得力をもつように論理化する必要があるのではないか」という意見が出て、「基本的には日米軍事同盟からの離脱と核廃絶が大事。今、攻められる可能性のある国はイラン・北朝鮮であり、攻める可能性のある国はアメリカではないか。大戦後のアメリカの戦争は地域紛争であり防衛戦争であって、宣戦布告による戦争ではなかった」と北の脅威論よりもアメリカのほうが戦争をしかける危険を指摘する意見がでました。
北朝鮮脅威論の克服は大事だという観点から「実際に核実験や弾道ミサイルの実験がやられているから国民の中に不安が生まれているのであり、6カ国協議で議題にして朝鮮半島の非核化を実現することでしかこの不安は克服できない」という発言もあり、「北朝鮮の海軍力では日本を攻めることはできない」という意見もだされました。 それに対して、「大戦中のヒトラー・スターリンの出現をみれば、一国の指導者の暴発ということもありうる。今の北朝鮮にも、それはありうるのではないか」と、なんらかの防衛力を持つ必要も出ました。
「北朝鮮は、何を利益として日本を攻めるのか? 日本を攻める理由が見あたらないではないか。また、軍隊は国民を守ったことはない」という意見が出され、北の脅威は喧伝されているだけで、それにどう対応するかは、軍事にたよらないという方向が見えてきました。
また、「市民生活の中で、いきなり殴られたら誰だって殴り返すだろう。やられっぱなしでは気がおさまらないのではないか」という意見が出て、身近な生活感覚からの防衛論議も行われました。個人の生活レベルの喧嘩と国家間の戦争とで混同する議論があることが指摘され、急迫不正な暴力に対しての緊急避難による正当防衛権は刑法でも認められている権利だから、国どうしの戦争にも当てはまるのではないか。そのときの防衛方法とはいったいどういうものなのか、という質問も出されます。これに対して「正当防衛権にもとづいた1国の個別的自衛権は認められるが、これと報復戦争とは全く別ものだ」という意見が出ました。
次に、北の脅威論を現実的に解決するにはどうしたらいいのかということに論点が移りました。国内の北の脅威論は、北朝鮮による拉致事件を利用し煽ることによって成り立っている。6カ国協議では、日本の戦中の強制連行も同じ拉致事件として考えており、これには日本が北朝鮮との国交正常化への外交努力を、米・朝間には朝鮮戦争後休戦状態になっているので平和条約を結ぶ方向での双方の誠意ある交渉の努力が大事だということで、軍事力によらない歴史的事実にもとづいた外交交渉による平和的解決への方向が示されました。
それにともない、「日米同盟による軍事的優位と核の傘によって日本の平和が守られてきたのではないか」という意見には、日米安保でアメリカに従属し、基地を提供しこれからも増強していくことで逆に戦争に巻き込まれる危険を大きくしていると思う。憲法が戦後の日本の平和を守ってきたのはたしかだろう、などの意見がだされました。
また、「私たちはこれまでにいろいろなかたちでの憲法違反とたたかってこなかった。できることからやらねばならないだろう。それが9条の会の運動だ」「レポーターの指摘するとおり国際貢献・国際協力、国益、愛国心などの言葉を安易に使い世論を改憲へ誘導するメディアの堕落は目に余る。真実が伝えられていない」など貴重な意見も出されました。
「攻められたらどうするの?」というテーマから、議論がいろいろな方向に展開し焦点が絞れきれないもどかしさはありましたが、防衛論議から改憲論につながる代表的な意見がいくつか出て、それについて考えてみる絶好の機会になったのではないでしょうか。
次回は、2月17日(土)「中・高生のための憲法講座」第24回『女性天皇の是非も私たちが決める』を中心に行う予定です。次回も是非ご参加ください。
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