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      建設業関係                                       井田行政法務事務所・2001年
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■ 公共工事とは

●公共工事は、国や地方公共団体等が、国民の税金を使って、
    道路、ダム、港湾その他の社会資本を整備するために行われるものである。


●国や地方公共団体等は、地域振興や景気対策として公共工事投資を増加し続けてきた。
その結果、国も地方公共団体も、膨大な財政赤字に苦しみ、財政破綻に陥ったことの一因となった。

●特に地方では、公共工事に関係する建設業等が主力産業となったことから、公共工事の受注に強く依存する地域経済構造が徐々にでき上がった。

●公共工事は、「良いものを安く」を目標としている。
しかし、談合や行き過ぎた地元中小建設業者優遇策の存在等により、コスト面での高止まりとなった。

●財政の再構築、限られた財源の中での公共工事の推進を行うため、
国や地方公共団体等は、「公共工事コスト縮減対策」を策定し、各種施策を実施し、公共工事のコストを縮減するため取組んでいる。

●従前から、公共工事の在り方について、さまざまな批判がある。
「公共工事が真に必要なものなのか」、「公共工事が効率的に行われているのか」等々。

●「談合が行われている」、「指名の過程が透明でない」、「行き過ぎた地域要件が課せられている」、「行き過ぎた分離分割発注が行われている」、「共同企業体による地元業者優遇が行われている」等々。

●公共工事に求められていること
・公共工事の透明性・競争性を向上させること
・有用かつ必要な量の公共工事を可能な限り合理的なコストで実施すること



■公共工事の各種制度等

●公共工事の各種制度に、次のような法令等があり、規制されている。


●会計法(昭和22年法律第35号)
●地方自治法(昭和22年法律第67号)
●建設業法(昭和24年法律第100号)
●官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(昭和41年法律第97号)
●中央建設業審議会(建設大臣の諮問機関)建議事項
●各地方公共団体の条例、規則等



■ 自動落札方式による入札・契約制度


●公共工事の入札・契約における落札者の決定は、自動落札方式を原則としている。

●自動落札方式は、最低の価格で申込みをした者を、落札者として契約の相手方とすることである。
(国の場合は会計法、地方公共団体の場合は地方自治法に、それぞれ基づく)

●このため、技術力や品質を加味した総合評価方式は例外的な場合に限定されている。

●自動落札方式では、落札者の決定に当たって、工事に係わる技術力や品質を評価できず、実力ある企業による設計提案や技術提案を伴う適正な競争が推進されない面がある。



■ 公共工事の入札制度


●入札制度には、指名競争入札方式と一般競争入札方式があり、
公共工事では、施工の信頼性を確保する観点から、指名競争入札方式が原則とされてきた。

●しかし、発注者が業者を絞り込むという点で恣意性が介在する余地が広く、業者数が限られているため談合の温床になっているとの指摘が、従来からなされていた。

●こうしたことから、入札手続の透明性・競争性の向上のため、大型工事については一般競争入札方式を採用し(平成5年12月中央建設業審議会建議)、中小工事については指名競争入札方式の改善が行われてきた。



■ 予定価格制度


●予定価格とは、公共工事の競争入札を行う際の落札金額の上限値であり、予定価格を上回る価格での契約は許されない、とするものである。
(国の場合は会計法、地方公共団体の場合は地方自治法に、それぞれ基づく)

●予定価格は、事前にも事後にも公表されていないことが多かった。

●地方公共団体においては、予定価格に関する情報が入札以前に漏洩し、予定価格直下で落札されるケースが多いとの指摘がある。

●業者が公表されている積算基準に従って積算しているため、多くの業者の予定価格の予想に大差が生じない場合が多い、とも考えられる。

●しかし現実には、競争が働くなら価格が高止まりするとは考えにくく、談合の存在こそが予定価格直下での落札が多いことの根本原因である、との指摘もある。



■ 低入札価格調査制度及び最低制限価格制度


●低入札価格調査制度とは、極めて低廉な価格で入札された場合に、履行の確実性に関して調査し、仮に履行が危ぶまれるときには当該入札を排除する、という制度である。(国の契約制度、会計法に基づく)

●最低制限価格制度とは、予め定めた最低制限価格以上の価格で入札した入札者のうち、最低の価格で入札した者を落札者とする、という制度である。(地方公共団体の契約制度、地方自治法に基づく)

●より低い価格での入札は、本来奨励されるべきであるが、一定基準額未満の入札を無条件に排除する最低制限価格制度は合理性を欠いている、との考え方がある。



■ ランク制及び経営事項審査制度


●ランク制とは、各発注者が業者の経営状況や施工能力に関する客観的事項及び主観的事項について審査した結果に基づき、工事の規模に対応するA〜E等の等級に区分して登録し、指名競争の場合に、原則として発注する工事の規模に対応する等級の業者の中から指名する仕組みである。

●このうち、客観的事項の審査は、許可行政庁が全国統一の基準に基づいて審査する制度として経営事項審査が実施され、これが各発注者において活用されている。

●こうした仕組みは、競争入札方式において、公共工事の施工能力を確保することに加え、ダンピング等による大手建設業者の市場独占を未然防止することで公共工事の適正な配分を図り、大手建設業者のみに偏重することなく、中小建設業者を保護育成するメリットがある、との意見もある。

●しかし、公共工事は「良いものを安く」を基本原則とすべきであり、中小建設業者の保護育成に関する政策は、公共工事以外の政策によって図られるべきである、との意見もある。



■ 履行保証制度


●履行保証制度は、請負契約の確実な履行を担保することを目的とするものである。

●平成5年12月中央建設業審議会建議により、工事完成保証人を廃止する方向が打ち出され、金銭的保証を原則とする、履行保証体系に移行することとされた。

●現在、履行保証の手段としては、銀行等の金融機関による金銭保証、履行保証保険、履行ボンド等がある。