【EAT ME 6th】



作:藤和 価格:500円 文庫サイズ 48ページ

中の人がセルフ二次創作をしたBLのifストーリーをまとめた短編集。
『清と修3』『語主と蓮田岩守8』『マルコとエルカナ3・4』『マルコとアマリヤ1』『ウィスタリアとドラゴミール2・3』 の7本を収録。
※R18・成人向けです。

--本文サンプル--

 兄さんが大学を卒業する年の春、私は兄さんの部屋を訪れた。もうすぐ神学校に通い始める兄さんに、 今の内に会っておきたかったのだ。
 神学校に通っている間はまだ会えるからと、兄さんはそう言う。けれども、会える機会はきっと減ってしまうのだろうと、 そう思った。
「お前さ、恋人が出来たのに僕に甘えてばっかりじゃ駄目だよ?」
 ふたりで隣り合ってベッドに腰掛けていると、兄さんはそう言って私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
 私が今の恋人と付き合い始めたのは、夏頃からだ。あの人は仕事が忙しくなかなか会えないけれども、 いつも私のことを気にかけてくれている。
 兄さんは、あまり私と私の恋人の仲について詮索することをしない。それがありがたいような少し物足りないような、 なんとなく不満なような気がした。
 別に、恋人のことを自慢したいわけではない。けれども、兄さんにはもう少し気にして欲しかった。
 ふと、思い出したように言う。
「そう言えば、兄さんにお願いがあるのですが」
「ん? なに?」
「キスの練習をしたいのですが、練習台になってくれませんか?」
 すると兄さんは、きょとんとした顔をして答える。

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