【EAT ME 5th】



作:藤和 価格:500円 文庫サイズ 48ページ

中の人がセルフ二次創作をしたBLのifストーリーをまとめた短編集。
『緑と悠希2』『イツキとジョルジュ1』『清と修1・2』『マルコとエルカナ1・2』『ウィスタリアとドラゴミール1』 の7本を収録。

--本文サンプル--

 初めて会った時から、ずっとあいつのことが気になっていた。

 オレとあいつが出会ったきっかけは、仕事の関係だ。オレ達は表には出しにくい仕事をしていて、 だけれども、同業者内で情報共有をするのはとても重要なことだった。
 どんな仕事かというと、 この世に害をなす悪霊を黙らせる退魔師だ。情報共有をしている同業者はそれこそ全国に散らばっているけれど、 オレがホームにしている都内では、特にオレとあいつと、もう一人、その三人で仕事の融通を利かせている。
 都内にはもっと退魔師が居るのだろうけれども、 あまり親しい同業者というのは増やしたくない。増やした場合のメリットはもちろんあるのだろうけれども、 デメリットも大きい。それぞれ信教、宗派、 教派の違う人間が余りにも多く集まりすぎていらない諍いを起こすことは避けたい。
 オレ達三人は全員同じ信教かと言われると、実はそうでは無い。あいつはクリスチャンだし、 もう一人は仏教徒。オレはまぁ、判然としないってのが正直なところだ。
 この人数だったら信教の違いで仲違いすることがあっても負の影響を外部に及ぼすことは少ないだろうし、 退魔の依頼を受けて、誰が一番適任かというのを判断して仕事を回すと言う事をするのにも丁度良い。
 情報交換も兼ねてたまに三人で集まって、飲み屋などの飲食店でダラダラと話をすることもある。
 でも、それでもオレにはあいつらを同業と言うだけでは無い友達と言って良いのかわからなかったし、 言ってはいけないような気がしていた。

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