『あらすじ』

柴原雷刃は【剣鬼】と呼ばれた扶桑一の剣客柴原刃雅の孫にして、最後の弟子である。
祖父刃雅を武によって扶桑で覇を唱えんとする【狂王】榛原阿南の配下【妖術士】祝子須在鬼の陰謀により失った。
今は相棒の天狼狗狼と一人と一匹で旅をしている。扶桑を東から西へと横断する金鰲山脈を北から南に山越えしている最中に、【山の民】と出会い、ひょんな事から、【狂王】配下のくのいちを助けることとなる。
助けたくのいちのアヤメを伴い、幼少期を過ごした鵜ノ沢へと辿り着き、祖父刃雅と縁があった者たちと旧交を温め、再会を喜ぶ。
しかし、鵜ノ沢の街は【狂王】の勢力圏と現在扶桑を治める朝廷の勢力圏の境であり、【妖術士】の策により陥落の危機の瀬戸際にあった。
雷刃にとって【狂王】と【妖術士】は祖父の仇だけではなく、両親と二世を誓った許嫁の仇でもあった。到底見過ごせぬ仇敵を相手に、鵜ノ沢に入る前から用意していた計画でその意図を挫こうと行動する。
雷刃の狙い通り、【妖術士】の描いた策は悉く失敗し、雷刃の勝利に終わるかと思われたとき、【妖術士】配下の忍び【闇風】の思わぬ反撃を受ける。【闇風】は【妖術士】により、既に人を已め、冥府魔道に堕ち悪鬼羅刹となっていたのである。
人の世の理が通じぬ妖となった【闇風】に対し、打つ手がなくなったかに見えた雷刃だったが、祖父譲りの【柴原神刀流】秘伝の太刀と父の形見である【鵺斬り】の神刀の力により悪鬼を見事討ち果たしたのである。