正常眼圧緑内障といわれ治療しています。眼圧が正常なのになぜ緑内障なのでしょ
うか。緑内障にはいろいろなタイプがありますが、一番多いのが正常眼圧緑内障で
す。正常という言葉が悪いのかもしれませんが、このような疑問を持つ人が多くい
ます。今回は、眼圧の正常値、眼圧と緑内障などについて説明します。
@ 眼圧とはなんでしょう
目の中では、常に房水(ぼうすい)という水が作ら
れ、その水は流れ出ています。
作られる水と、流れ出る水がバランスをとることによ
り目の固さが一定になっています。
目の固さのことを眼圧といいます。上の図の青色の矢
印が房水の流れです。
A 眼圧の正常値
正常値は多くの正常者を調査して、その眼圧値によって決められています。
約95%の人が21mmHg以下なので、21mmHg以下を正常眼圧としています。
B 正常眼圧なら病気でないのでは
正常眼圧だからといって視神経に害を与えないということはありません。眼圧が
21mmHg以上であっても、視神経がまったく正常な人もいます。このような状
態を高眼圧症といいます。眼圧が正常範囲にあっても視神経の障害が進む人がい
ます。このような状態を正常眼圧緑内障といいます。
C その人にとっての正常の眼圧は健常眼圧といいます
視神経に障害を起こさない眼圧は人それぞれ違います。視神経に障害を起こさな
い眼圧を健常眼圧といいます。ほとんどの人は、正常眼圧と健常眼圧は同じです。
健常眼圧が低い人は、正常といわれる眼圧でも視神経の障害を起こしてきます。
D 正常眼圧緑内障という言葉は間違いやすいのでは
正常眼圧とはその人にとって正常な眼圧ということではありません。眼圧は統計
的には正常値だがその人にとっては高いため緑内障になっています。以前は、低
眼圧緑内障
などといわれもっとわかりにくい名称でした。
E 眼圧が高いのが緑内障だと思っていました。
20年ほど前まではそのように考えられていました。一般の人はまだそう理解して
いると思います。実際、ほとんどの人は健常眼圧が21mmHg以下ですので、眼
圧がこれ以上になるのが緑内障ということになります。最近では、眼圧がその人
の健常眼圧より高くて視神経に障害を起こすのが緑内障だと考えられています。
左の図は、眼圧の値の分布と緑内
障の割合です。赤い点が緑内障の
割合です。眼圧が高くなると緑内
障の割合が増えますが、眼圧が低
くても緑内障の人がいることがわ
かります。割合は少なくても正常
眼圧の人が多いので、正常眼圧緑
内障が一番多いことになります。
F 眼圧が正常なら正常眼圧緑内障の治療はどうするのですか
現在の眼圧ではその人にとって高いので、眼圧をもっと下げるのが治療になり
ます。
点眼や手術がありますが、視野検査、眼底検査をしながら治療していきます。