飛蚊症
目の前に物がちらちら飛んで見えます。テレビで飛蚊症は網膜剥離の可能性があると言っ
ていました。明るいところから暗いところに行くと光が走って見えます。黒いものが見え
て近くの眼科にいきました、飛蚊症といわれたのですが黒めにゴミがついていると思うの
で診てください。
テレビや新聞で飛蚊症についての記事が載ると翌日は網膜剥離を心配した患者さんが受診しま
す。飛蚊症があったら眼底検査をする必要はありますが、ほとんどは心配ありません。以下の
文章で飛蚊症について正しく理解して下さい。
なんて読むのでしょうか 「ヒブンショウ」といいます。蚊が目の前を飛んで見える状態
です。「ハエが飛んで見えるから、雲が見えるから飛蚊症ではない」と言う人がいますが、
目の前にチラチラと見る状態を蚊が飛ぶと表現しただけで人によってはいろいろな物に見え
ます。
何が見えているのですか 目の中の濁りが眼底に写って見えます。目の中の濁りとは硝子
体(ショウシタイ)の濁りや硝子体の出血です。
どんな時に見えるのですか テレビなどを見たり、人ごみにいたりすると気にならないことが多
いです。白い部分を見たり(読書、障子を見る)青空を見ていると濁りが良く見えてきます
光が走って見えます 硝子体の移動、牽引が網膜に刺激を与えて、光が見えることもあり
ます。暗いところにいった時に気づくことが多いです。光視症といいます。
白内障の濁りは見えますか 白内障は水晶体の濁りです。水晶体は固定していて動きません。
網膜は動いているものしか感じることができませんので固定している濁りを見ることはで
きません。
(動かない物を見つめていても見えなくならないのは目が微妙に動いているからです。)
病気ですか ほとんどの場合は生理的飛蚊症と言って年齢による硝子体の変化で心配あり
ません。 出血や網膜に孔ができるなどの変化でも飛蚊症がおきます。
どのような状態が考えられるのでしょうか
生理的飛蚊症 硝子体の濁りは若い人でもあります。年を取ってく
ると硝子体が液体状になってきて動きやすくなります。このため
本来ある濁りが動きチラチラ見えてきます。年齢による変化で病
気ではありません。
後部硝子体剥離 さらに硝子体が液体状になってくると硝子体
が網膜より離れてきます。ある日急におきて、高度の飛蚊症が
出現します。視神経の部分からはがれた硝子体が高度な濁りと
なって長期に見えますが、時間がたつと網膜からさらに離れて
きて飛蚊症を感じなくなってきます。50歳までは10%、60歳
以上になると30%、70歳になると60%以上の人におきます。
網膜剥離 硝子体が剥がれるときに網膜を引っ張って網膜が剥が
れてくることがあります。またこのとき網膜の血管が切れると
出血を起こしてきます。
硝子体出血 糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞、網膜裂孔、
後部硝子体剥離などで起きてきます。
どうしたらいいですか
飛蚊症に気づいたら必ず眼底の検査を受けてください。眼科で瞳を開いて周辺まで調べる
ことが必要です。よく人間ドックで眼底写真を撮って検査してもらったから心配ないと思
っている人がいますが、眼底写真では眼底の周辺部を検査することができません。かなら
ず眼科で検査を受けるようにしてください。
一刻を争うわけではありませんので夜間や休日に飛蚊症がおきても翌日受診していただいて
も大丈夫です。
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