立体視検査をどう考えるか     2024.5

 

他院を受診していた斜視の患者さんで、立体視の検査の結果が悪いと心配して受診する人がいます。
立体視の改善のために、訓練するように勧められる人がいます。立体視検査について説明します。

立体視検査
両目で物を見るのを両眼視といいます。物を見るときに、左目と右目で見る角度が違います。左目右目で
違う像を見ています。左右の像を一つにするのを融像といいます。一つになった像に遠近感があるのが立
体視です。立体視を調べると両眼視の能力がわかります。


立体視検査の種類

Titmusステレオテスト(下左) 右左で違う図を見せるのに偏光メガネを使います。
            立体的に見える映画の仕組みと同じです。

TNOステレオテスト(下2番目) 左右違う図を見せるのに赤と緑のフィルターを使います
Langステレオテスト(下3番目)図形の上に特殊なレンズを貼ってあり両眼で立体に見えます
                絵はがきで浮き上がって見えるのと同じ仕組みです
Frisbyステレオテスト(下4番目) 板の厚さを使って本当の立体を調べます

   


使いやすさからTitmusステレオテストがほとんどの施設で使われています。 
Titmusステレオテストの仕組みと問題点

 ハエ → 動物 → 円 の順に浮き上がりが小さくなります。(ハエの羽が一番浮き
上がって見えます) 偏光レンズを使って右目で左の像、左目で右の像を見えるようにして
います。
問題点
暗いメガネをかけているので、検査中に目の位置のズレを確認できないです。
そのため、両眼視差の大きいハエはわからないが、小さい円は正解すると言うことが起きます。
形で判断できるので、毎回検査すると正解を覚えることができます。

立体視の意味
目の位置が真っ直ぐで視力が良ければ立体視はいいはずです。
斜視が残っていれば検査するまでもなく立体視は悪いです。
立体視を元に治療方針を決めるのではなく、あくまでも立体視は結果です。
 毎回、立体視検査をする必要はありません。

Titmusステレオテストで表を逆さまにすると、円、動物は凹んで見えます。毎回同じように検査
するのでなく、順番を変えたり、表を横にしたり、逆さまにして検査してみてください。


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