角膜鉄片異物           2023.2

 

角膜に鉄の破片などが刺さった状態です。ほとんどが男性です。仕事中に鉄を削っていて起きることが
多いです。

角膜異物

角膜異物とは、黒目にゴミがついたり、黒目にゴミが刺さっている状態です。異物は、飛んできたゴミ、
植物片、砂など様々です。黒目についただけのゴミは自然ととれることもあります。
角膜に鉄片がついたり刺さっているのを角膜鉄片異物といいます。
小さな鉄片は勢いよく飛んでくるのと、黒目に刺さりやすい形状のため多くの方が受診します。

症例 
下写真は、作業中に何か目に飛んできて、激しい痛みと充血があり受診した人の右目です。
石をハンマーで叩いていたそうです。左写真のように黒目に茶色い鉄の破片を認めました。このような時、
石の破片が飛んでくることは少なく、ほとんどがハンマーが欠けて鉄片が飛び込んできます。
異物を取る針(異物針)で鉄片を取ります。(2番目の写真)
残った錆は電動のドリルで取ります。(3番目の写真)
電動ドリルは、乾電池とモーターで細いドリルを回転させます。

   

予後は
ほとんどはきれいに治りますが、黒目に白い濁りを残します。下左写真は、角膜に異物があります。
2番目の写真は異物を除去して1ヶ月後です。角膜が白く濁っています。
異物が角膜の中央で、濁りが残ると視力が悪くなります。3番目の写真は中心部の鉄片です。
4番目は、異物を除去してしばらくして角膜の形状を調べた検査です。濁りが薄くなっても、角膜
の瘢痕のために乱視が強くなっていることがわかります。(赤い部分が乱視の強いところです)

    


気をつけること
何回も異物を入れて来る人がいます。異物を取っても視力に影響することがあります。作業中は防護用
メガネをつけましょう。

視力障害が残ることもあり、仕事中におきたなら労災で診察を受けてください。


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