色覚の多様性 2023.11
性の多様性が話題になっています。色覚の違いも多様性として捉えるべきだという考えがあります。
色覚検査をして多数派が正しくて少数派は色覚異常として区別や差別するのは間違いということです。
人の色覚の変化
脊椎動物は共通の祖先から始まっています。始まりは4種類の錐体(網膜にある、色を判断する細胞)
で色を判断する4色型でした。恐竜の時代に、夜行性の小動物として生き抜いた私たちの祖先(写真)
は、暗いところでの生活に便利なように2色型色覚を選びました。フクロウは目を大きくして、大き
な瞳から光を沢山取り込んで、杆体の数も増やしました。光を増幅する反射板もあります。
大型恐竜が滅んで、昼間の森林で生活するようになり、その過程で3色型色覚を獲得しました。
色覚の型
4色型 青錐体(S)緑錐体(M)赤錐体(L)紫外線錐体(VS)です。今でも鳥類は4色型です。
2色型 青錐体 赤錐体です。暗いところでよく見えるように、杆体という細胞を増やすこと
が必要でした。網膜の面積には限りがあるため、緑錐体と紫外線錐体を捨てました。
3色型 青錐体 緑錐体 赤錐体です。環境に合わせて緑錐体が作られ3色型となりました。
失った緑錐体と同じ物ではありません。
左は3色型、右は2色型の見え方です。明るい森の中では3色型が有利です。
犬や猫、馬などは他の能力が発達したので2色型のままです。
ヒトの色覚の多様性
現在、ヒトは、4色型・3色型・2色型が混在します。
4色型 赤と緑の間にもう一つの錐体があり、女性の3%に見られます(上右図)。
前出の4色型ではなく新しい4色型です。3色型の100倍色を見分けられます。
2色型 男性の5% 女性の0.2% に見られます。以前は色盲といいました。
3色型 ほとんどが3色型です。3色型にも程度の差があり、以前、色弱と言ったタイプも含まれます。
色覚の多様性で集団は強くなる
現代社会は3色型のヒトを基準にできています。多数派の作った環境に不便を感じるヒトを異常と言
っています。しかし、明暗の判定、輪郭の判断など2色型が有利な環境もあります。集団として生き
残るためには両者が混在していることが大切だという考えがあります。人種、地域にかかわらず一定の
数の2色型のヒトがいるのはこのためだと言われています。
色覚の多様性を認めるのがカラーバリアーフリーです。
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