白内障術後に眼鏡をかけないで暮らす    2022.4

白内障の手術では、普通は手術後に左右度数が違わないように眼内レンズを合わせます。手術後にでき
だけ眼鏡をかけずにするためにいろいろな工夫があります。最近では、多焦点眼内レンズが使われる
こともあります。ネットで調べると素晴らしいレンズと宣伝しています。しかし、人によっては見えに
くさや眩しさの訴えがあります。また、瞳が小さくなると視力が低下します。他に病気のある人には使
えません。多くの人には快適ですが、眼鏡の追加が必要な人もいます。具合が悪くて数パーセントの人
はレンズを入れ替えています。

手術後に生活の8割以上眼鏡なしですごせる方法
左右の度数を変えて、片目は遠く、片目は近くにピントを合わせます。モノビジョンといいます。両目でみ
ると遠くから近くまで眼鏡なしで見えます。工夫することで有効な方法となります。




私は、次のような工夫をしています。
  目標を高くしない
生活の8割を眼鏡なしで過ごせるようにします。必要なら近くを見る眼鏡、車の運転の時は遠くを見る眼
 鏡の使用も考えます

  左右差は1.5D 程度とする
 1.5D差というと、例えば片目を遠方(0D)に合わせて、もう片目は66cm-1.5D)に合わせる
         (運転は眼鏡なしで、新聞程度は眼鏡なしで読める)
  例えば片目を2m(-0.5D)に合わせて、もう片目を50cm(-2.0D)に合わせる
         (家の中では眼鏡なしで過ごせる)
  左右差は2.0Dまで我慢できると言われています。2.0Dにすると遠くから近くまで見えますが、
  違和感を感じる人もいます。快適なのは1.5Dまでだと思います。
  本人の希望で2.0D以上にすることもありますが、片目の手術後2週間ほど時間をおいて、見え
  を確認してもらって、もう片目の度数を決めます。
  どのような生活をしているかで度数を工夫する
  家の中で暮らしていて車の運転はほとんどしない人と、毎日車の運転をしている人、私のよう
  に近くを見て働いている人では度数が違います。
  私なら、遠方を80cm-1.25D)、近方を44cm(-2.25D)に合わせます。
  手術前の度数によって手術後の度数はかわる
  手術前は眼鏡なしで近くが見えていた、眼鏡なしで車の運転をしていたなど、手術前の状態に
  よっても度数を変えます。

   一律にモノビジョンの度数を決めると具合の悪いことがあります。その人の生活、術前の度数、
    その人の性格など考慮して決める必要があります。
    多少の過不足が出ても、眼鏡で補うことができるのもこの方法の利点です。

                             戻る