検査をしながら行う斜視の手術 2021.4
斜視の手術をすると術後に二重に見えないか心配する人がいます。どの程度手術するかを
手術前に判断するのを定量といいます。今までは、術前の定量に沿って手術していました。
最近では、手術中に定量して微調整しています。
手術終了時には目のずれや複視がないようにします。
麻酔が重要です
目を動かす筋肉を外眼筋といいます。斜視の手術では、外眼筋を切り離して後方に移動したり
(後転)、短くして引っ張ります(短縮)。外眼筋を引っ張るときに痛みを感じる人が多いです。
麻酔を深くすると外眼筋の動きに影響がでて、手術中に定量できなくなります。
外眼筋が眼球に付着している付近だけ麻酔し、手術中に外眼筋を強く引かないように気を付けます。
外斜視 下図は左目の手術です。恐怖心を取るため、初めに筋肉を引っ張らない外直筋の後転
をします。次に内直筋の短縮をします。この時点で体を起こして目の位置を確かめます。
過不足があったら外直筋を移動して調整します。
内斜視も同様に手術しますが、短縮するのが外直筋なので手術はしやすく痛みは少ないです。
開散麻痺 近方では目の位置のずれがなく、遠方で内斜視となり2重に見えます。
実際の例で説明します。術前の定量では、片目の内直筋を後転すると治ると判断しました。
まず、右目の内直筋を後転しました。起きてもらって手術室のドアを開けて近方~遠方の風
景を見てもらいました。まだ内斜視があり、多少上下にもズレるとのことでした。
下図のように左目の内直筋を後転しました。上下のズレに対しては内直筋の縫い付ける位置
を上下に移動して一つに見える場所に縫合しました。
上斜筋麻痺 滑車神経の麻痺で上斜筋が働かないために2重に見えます。反対の目の下直
筋を後転して鼻側に移動します。術中に目の位置のずれがないかチェックし後転量を調節
します。
白内障術後の複視 白内障の手術の後に軽い複視を訴える人がいます。このような時も
検査しながら斜視手術をすると治せます。手術中にチェックすることで正確な手術ができます。
写真は手術中に目の位置を調べているところです。
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