眼科では、糖尿病の眼底の定期検査をします。糖尿病の治療の目安として、HbA1c の値が重要です。
先日、HbA1cが5.6 %と正常なのに、糖尿病の眼底出血が始まっている人がいました。血糖を測ると
260mgと高くなっていました。HbA1cについてまとめてみました。
HbA1c（ヘモグロビンエーワンシー）
ヘモグロビンは、赤血球の大部分を占めている成分です。末梢組織に酸素を運搬し、炭酸ガスを運び出し
ます。ヘモグロビンにはA0・A1・A2・Fがあります。ヘモグロビンA1に糖が結合したものをHbA1cといいます。
HbA1cのヘモグロビンに対する割合は、血液の中の糖に依存します。（正常だと5.6～6.4%）
血糖値は変動しますので、HbA1cを測定するとこで、ある期間の糖尿病のコントロールがわかります。
いつの期間のコントロールの状態がわかるか
赤血球の寿命は120日です。今日検査したHgA1cは120日前～現在までの血糖値の影響を受けてい
ます。コロナ感染で有名になった数理モデルを使って計算すると、上の図のようになります。
HbA1cの値は、検査日前1ヶ月間の影響が50%、１～2ヶ月間の影響が25%、2～4ヶ月間の影響が
25%です。2ヶ月までの影響が75%ですので、おおよそ2ヶ月間のコントロールを反映しています。
血糖値とHgA1cの関係
体に電極を付けて、15分ごとに一日中血糖値を測定できる器械ができました。それを使うと期間
内の平均血糖がわかります。血糖値とHbA1cの関係は右図のようになっています。
HbA1c=（平均血糖÷30）+ 2です。
血糖の一日の変動が重要
HbA1cは平均血糖によって決まります。HbA1cが同じ値でも、血糖の変動が少ない人（図左側）
と変 動が多い人（図右側）がいます。変動が大きいと高血糖の期間が長くなるので、糖尿病
の合併症が 進みます。HbA1cは大切な検査ですが、それだけで判断するのは危険です。
◎理想的な検査は、一日血糖を測ることですが、インスリンを使っている人しか保険適応に
なりません。
HbA1cと空腹時血糖、食後2時間値をチェックしていくことが必要です。
HbA1cの目標値は、基本的には6.9以下です。年齢 妊娠 生活の自立度 薬の種類 インス
リンの使用の有無などにより目標値が変わります。
HgA1cが8を超えると、眼底出血などの合併症が起きやすくなります。
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