白内障術後の黄斑浮腫 2020.3
白内障の手術後に黄斑部(眼底の物を見る中心部)に浮腫が起きてくることがあります。
類嚢胞黄斑浮腫(るいのうほうおうはんふしゅ)といいます。
手術の時に炎症が強かったり、糖尿病などがあると起こりやすいといわれています。
今回、手術も問題なく、全身の病気がないのに黄斑浮腫になった人が2名いました。
その経過と定期検査の重要性を説明します。
類嚢胞黄斑浮腫
白内障手術後、拡張した毛細血管から漏れで
た液体が黄斑部に貯留する状態です。調査に
よると手術後に20~40%の例で発生していた
そうです。ただ視力に影響するのは1~2%で、
ほとんどは自然と治まっていきます。
(右図の赤い部分が浮腫です。)
類嚢胞黄斑浮腫を少なくすると言われている点眼があります
NSAIDという点眼です。発生予防に多少効果があるとのことで、手術後に使われています。
当院でも使っていました。
最近、経験した患者さん
66歳女性 手術後27日目に発症 NSAID点眼中
黄斑浮腫発症 視力0.6 → ステロイド内服後1週間 視力1.2
70歳男性 手術後20日目に発症 NSAID 点眼中
発症 視力0.3→ ステロイド内服 視力1.2 → 内服中止すると再発 →ステロイドのテノン嚢下注射
点眼で防ぐことはできないのかもしれません
二人の患者さんとも全身に病気はなく、手術も10分程度で合併症はありませんでした。
手術翌日より視力は1.2でした。予防のための点眼もしていました。
治療は、ステロイドの内服・注射が有効でした。注射はテノン嚢下注射といってステロイ
ドの効果が長期に続きます。
どうしたらいいか
手術後3~4か月は発症する可能性があるので、見えにくくなったら早めに受診してください。
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