スマホと急性内斜視        2019.7

テレビや新聞の報道で、子供や若者の間で急性内斜視が多発している恐れがあり
スマホの長期使用が影響している可能性があるというのがありました。

急性内斜視とは
 突然、発症する内斜視です。急に物が二重に見えることから、いつなったかわかります。
 原因がわからないことが多いです。自然と治ることもありますが手術が必要な例もあります。
 高齢者でもなります。

 ※写真のように目を外から内に押してください。 急性内斜視の症状を体験できます。




今回、日本斜視弱視学会・日本小児眼科学会での浜松医大の発表が話題になっています。
本年12月に学会の会員にアンケートをしました。内容は「昨年一年間で5歳から35歳の急
性内斜視の患者の診察をしたことがあるか、スマホとの関連は考えられるか」

会員1083名にアンケートして351名から回答が得られた
 回答した会員351名中158名が急性内斜視の患者を診察していた
診察した会員158名中122名はスマホやデジタル機器の使用が発症に関係しているかもしれな
  いと思った

診察した会員122名中37名は機器の使用をやめたら症状が改善した例を経験した

私のいままでの経験
発症の時が確認できたのは4例です。
  剣道の試合中に相手を睨んだら急になった
  母親に叱られたら急になった  
  友達と寄り目をして遊んでいたら戻らなくなった 
  受験勉強をしていたら急になった
私はスマホの使い過ぎで急性内斜視になった例を経験していません。

本当はどうなの?→ まだわかりません 
 このアンケートだけでは本当のことは不明です。
 斜視や小児の専門の先生にアンケートをとっているので急性内斜視を診る機会が多い
  スマホとの関連は何のデーターもない 
 スマホができる前からあった病気なのに、今回158名中122名がスマホとの関連を疑ったの
   は多すぎるような気がする

 そもそも自然治癒することがあるので、スマホをやめたから改善したかわからない

今回の報告は問題提起にすぎません
 一般の眼科医も含めて、長期に詳しく調べなければ本当のことはわかりません。
「テレビを見ると目が悪くなる」「ゲームをすると目が悪くなる」というような何の根拠
 ないことが、今では正しいことのように思われているのは困ったものです。

 スマホのこともマスコミが取り上げて一人歩きしなければいいなと心配しています。
 もっと心配なのは、スマホに気を取られて、脳腫瘍・脳血管障害・重症筋無力症などの
 病気を見逃す可能性があるかもしれないことです。

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