目の手術と血液サラサラの薬      2017.8

眼科で手術する人の多くが、血液をサラサラにする飲み薬を使っています。出血が止まりにくくなるの
で手術の時には中止したほうがいいか聞かれます。どのようにしたらいいでしょうか。

血液をサラサラにする薬とは、血の塊である「血栓」を予防し血栓症を起こさないようにする薬です。

血栓症の種類
 動脈血栓 血流の速い場所では血小板が活性化しやすく、血小板の多い血栓が形成されます。
 静脈血栓 血流が遅い場所では凝固因子(止血にかかわる複数の物質)が活性化しやすく、フィブリンの
 含有の多い血栓が形成されます。 

   


血液をサラサラにする薬の種類

抗血小板薬
 血小板の働きを抑えます。主に動脈血栓の予防に使われます。アスピリンに代表されます。注射
  薬はヘパリンがあります。心筋梗塞・脳梗塞・狭心症などに使われます。

抗凝固薬  凝固因子の働きを抑えます。主に静脈血栓の予防に使われます。ワーファリンに代表されます。
 心房細動・肺梗塞・深部静脈血栓の場合に使われます。
患者さんの状況によって、使い分けたり併用したり
 します。


血液サラサラの薬を使用中の問題点
 出血しやすい。出血した場合に出血が止まりにくい

休薬したときの副作用
 抜歯や内視鏡検査や手術のために休薬した1%に血栓症を起こすことがわかっています
  しかも、休薬中でなく、再開して数日後のことが多く、休薬が原因と気づかれないこともあります。

眼科の手術と血液サラサラの薬
  白内障 
   
手術法が進歩して小さな切開から手術します。また大きな血管を傷つけることはないので出血の心配は
   少なく休薬の必要はありません。透析を受けている患者さんはヘパリンを使用しています
が他の薬に変
   更しなくてもいいです。

  瞼の手術

    こまめに止血し、術後に圧迫眼帯をしますので休薬しなくても大丈夫です。ただ、ごく稀に術後数日し
   て皮下出血がおきますが、2週間
ほどで吸収します。
  緑内障・硝子体手術
   
緑内障では術式によって休薬したほうがいいことがあります。硝子体手術の場合、原因によって術中
   に出血の危険があり、休薬が必要となることがあります。
休薬するかヘパリンに変更します。ヘパリン
   は手術の時だけ中止したりコントロールが容易で
す。ヘパリンを使うときは入院しての手術が好ましい
   です。


                         戻る