動物の瞳の形 2017.7
人の瞳は丸いですが、身近の動物を観察すると、猫は縦長・馬は横長・犬は丸いです。
なぜいろいろな形があるのでしょうか。
瞳の形
横に長い瞳(ウシ・ウマ・ヤギ・ヒツジ) 横長の瞳孔の動物の多くは草食動物です。肉食
動物をいち早く発見して逃げる必要があります。横長の瞳孔だと草原を広く見渡せる。また
明るいところで目を細めても広い視野が保てると考えられています。
縦に長い瞳(ネコ・キツネ・ワニ・夜行性のヘビ) 縦長の瞳孔の動物は夜行性で肉食動物
です。網膜には暗いところで働く杆体細胞が多くあり、明るいところでは光の量を少なくし
て網膜を守る必要があります。縦長のスリット状瞳孔は光の量をほとんど0にすることがで
きます。また、草むらは縦の障害物が多いので縦長の瞳孔が有利だと考えられています。
丸い瞳(ヒトを含む多くの哺乳類・カメ・トリ) 丸い瞳孔の動物は、網膜に明るいところで
働く錐体が多くあり昼行性で雑食性です。写真はトラの瞳孔です。同じネコ科のネコは縦長で
す。同じ科目でも環境により瞳の形が違います。下は江戸時代に描かれた虎の目です。実物
を見たことがなかったのでネコの目が描かれていました。
三日月の瞳(イルカ・エイ)海の浅いところで泳いで水中を見るために、上からの強い日差
しを防ぐ必要があります(左図)。瞳の上方から光が入らないような形をしています。右図は
ラクダの目です、日差しを防ぐために横長の瞳にひだがついています。
馬 ネコ トラ 絵のトラ
イルカ ラクダ
人の目でも丸くない瞳孔があります
瞳孔膜遺残 赤ちゃんがお腹の中にいるときには誰にでもある膜で、瞳孔を被っています。
血管でできていて、水晶体表面にあり、水晶体上皮細胞に栄養を送っていると思われます。
生まれるころには消退しますが、そのまま生まれてくることがあります。視力に影響があ
るなら手術します。
虹彩癒着
ぶどう膜炎などの時に、虹彩と水晶体が癒着することがあります。
癒着したときに、散瞳すると左図のような瞳孔になります。
瞳孔膜遺残 虹彩癒着
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