強膜(きょうまく)の炎症      2016.8

白目が赤くなり痛みがあり、上強膜炎といわれました。結膜炎とは違うのでしょうか。
白目の充血を繰り返しています。強膜炎といわれましたが、再発を繰り返しています。
強膜は聞きなれない部分ですが、強膜の炎症はどのような病気なのでしょうか。


強膜とは
強膜(黄緑色の部分)は眼球壁を作っている膜です。前方は角膜(水色の部分)に続いてい
ます。強膜の
前方から後方はテノン嚢(ピンクの部分)という膜に覆われています。その上
には結膜(オレンジ色の部分)
が覆っています。結膜は透明な粘膜です。白目が白いのは強
膜の色です。強膜の表層を上強膜といいます。


上強膜炎(写真) 強膜表層を覆っているテノン嚢に強い炎症を起こした状態です。
  強膜炎との区別は、炎症部分が強膜と癒着していないので可動性があり、血管収縮させ
  る点眼薬で充血がとれます。

  症状 片目の軽い痛みを伴った限局性の充血を認めます。

  原因 
不明のことが多く、リュウマチなどの病気に伴うこともあります。
   治療 ステロイドの点眼が良く効きます
   予後 自然治癒傾向がありますがしばしば再発します
     強膜炎には移行しません。

強膜炎(写真)
強膜表層の血管に最も強い炎症を起こした状態です
 症状 強い充血で強い痛みを伴うことが多いです。
     
3タイプに分類されますが、重症のものでは、両眼性に起きて、強膜が溶け
     て薄くなってきます。(
写真
 原因 原因不明のこと多いですが、関節リュウマチWegener芽腫、再発性多発性
     軟骨炎に伴うことがあります。

 治療 ステロイドの点眼、注射、内服
     強膜が薄くなって穿孔の危険があるときは手術が必要なこともあります。
 予後 重症例では治療に抵抗し失明することもあります。  

結膜炎との違い
 結膜は強膜の上にある透明の膜です。結膜炎は結膜の血管の充血です。結膜炎では強
 い痛みはなく充血も鮮明な赤色
のことが多いです。(写真)



                          上強膜炎           強膜炎



 強い強膜炎           結膜炎



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