オルソケラトロジー

「寝ているときにレンズを付けていると昼間はレンズを付けなくていい」という治療法
（オルソケラトロジー）について最近よく質問されます。私としては現在のところこの
　治療法に否定的です。特に子供には行わないでください。

　　　


寝ているときに左上のようなコンタクトレンズを付けます。ハードレンズで角膜を圧
迫して角膜の形を変えます。寝癖のようなものです。朝レンズを外しても角膜は寝癖
を維持します。そのためにピントが合って見えます。寝癖は戻りやすいので、毎晩レ
ンズを付ける必要があります。寝ている間にレンズを使っても安全なように、酸素を
よく通すレンズを使います。3か月に一度の定期検査をします。

利点
①日中、コンタクトや眼鏡を使わずに生活できます。
②レーシックと違って中止すると元に戻ります。
③ 子供の近視の進行を遅くすることができるという報告もあります。

欠点
①日中に使うコンタクトレンズより目に障害を起こす可能性が大きいです。
②寝癖は次第に取れてきますので視力が不安定です。特に夕方見えにくくなります。
③3か月に一回の定期検査が必ず必要です。

私としては次の理由からお勧めできません
①一番の問題は寝ているときにコンタクトレンズを使うことです。寝ているときは
　瞼を閉じるので酸素不足になります。また角膜を圧迫して形状を変えることを目
　的に作られたレンズですので、角膜への負担は強く、涙液の交換が十分にできま
　せん。そのため角膜障害がおきる可能性が高いです。
②近視の進行の予防に効果があるといわれて宣伝に使われていますが、まだデータ
　ーが出始めたばかりで、それも１５％程度遅らせることができるという報告です。

日本コンタクトレンズ学会の安全に使うための指針では「オルソケラトロジーの適
応は20歳以上」としています。小児に使うのはもう少し様子を見たほうがいいです。

③夕方から夜間にかけての視力低下やコントラスト低下は必ずおきます。

使うと便利な人は
①職業上、眼鏡やコンタクトレンズを使うことができない人。
②眼鏡やコンタクトレンズを使えないスポーツをする人。
③日中にコンタクトレンズを入れると具合の悪い人。

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