小児の斜視手術はいつすべきか    2013.12 

小児の斜視の手術を早期にしたほうがいいという意見があります。最近は、親がネットで
調べて、手術を早期に希望することもあります。 先日も、1歳の間歇性外斜視の子供の親
が、「将来サッカーをさせたい。両眼視機能が悪いとサッカーが上達しない。早く手術しな
いと両眼視機能の発達が望めないとネットに書いてあったので、手術をすぐしてくれ。」と
言ってきました。いろいろ説明したのですが、納得せずその後受診しませんでした。
確かにかに、正常な両眼視を得ることは最終目標です。しかし、すべてにそれを望むのは無理
です。小児の斜視の手術はいつすべきなのでしょうか。

乳児内斜視
 早期に手術すると両眼視の発達が期待できるといわれています。私も20年前までは早期
手術をしました。その当時は1歳半までにすれば可能性があるといわれていました。とこ
ろがその子たちが検査できる年齢になると、両眼視を得られた子供はほとんどいませんで
した。最近、また早期手術をすすめる先生がでてきました。最近言われ始めた早期手術の早
期というのは生後6か月までです。赤ちゃんの目の位置が安定するのが生後4か月、異常
見つかって
2か月以内に手術するということになります。ただ、たとえ早期に手術できても
手術前に詳しい検査はできないので、手術後に目の位置がまっすぐにならないことも
あり
ます。

 現状では、乳児内斜視は正常な両眼視を獲得できる可能性はほとんどありません。
私としては、乳児内斜視に対する早期手術には賛成できません。弱視にならないか様子をみ
て、検査がしっかりできる4歳過ぎに手術することをお勧めします。

間歇性外斜視
 目の位置は、まっすぐだったり、時々外を向いたりします。両眼視機能は正常には発達し
ています。手術は急ぐことはないといわれてきました。ところが、最近、目が外を向いてい
るときは両眼でみていないので、小児期に斜視があ
ると運動能力の発達が悪くなる。小学校
入学前には手術したほうがいいという意見があり
ます。確かに、プロ選手を目指すならそう
かもしれませんが、普通の生活であれば手術を急
ぐことはないと思います。本人や周りが気
にするようだったら手術すればいいと思います。


斜視によって頭を傾けたり、頭を回してみているとき
 上斜筋麻痺、デュアン症候群などで、両眼で見るために 頭を傾けたり、回しています。
眼視機能があるからこのように見ているのです。両眼視のために急いで手術する必要はあり
ません。

早く治してあげたいという気持ちはわかりますが、ほとんどの場合、急ぐ必要はありません。

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