コンタクトレンズと急患 2012.9
コンタクトレンズを使っている人が具合が悪くなって救急で受診することがあります。
黒目に傷ができるなどのトラブル以外でどのようなことがあるでしょうか。
コンタクトレンズが外れなくなった
旅行中の人が、コンタクトが外れないと言って受診しました。診察すると、コンタクトは目に入
っていません。白目は真っ赤で、黒目には傷がついていました。レンズは外れて落ちてしまった
と思われます。レンズがないのに一生懸命外そうとしたために目に傷ができたようです。レンズ
が入っていないことを説明したのですが、「間違いなく入っている。目の後ろに回っている。」
となかなか納得してくれませんでした。
目は下左図のような構造になっています。赤い部分が結膜で、青いのがコンタクトです。結膜が
折れかえっているので、コンタクトが目の裏に回ることはありません。ハードレンズの人に多い
トラブルです。冷静に考えれば、良く見えなければレンズは黒目の上にないことは解ります。黒
目の上になければ、白目の方にズレたか、目の外に出てしまったかということです。白目の方に
ずれたなら一晩そのままにしても心配ありません。
コンタクトレンズが目の中で割れて、半分でてきた
ソフトレンズにあるトラブルです。レンズが不良品のことも稀にありますが、ほとんどはケース
から取り出すときに傷つけることが原因かと思います。残りのレンズは白眼の方に行っています
ので一晩入っていても心配ありません。下写真は割れたレンズです。
最近、ときどきあるトラブルです。 ソフトレンズは消毒してから保存しておきます。一つの
液体で消毒保存できるものもありますが、過酸化水素で消毒するものが、消毒の効果が強いので
よく使われます。ただ、過酸化水素を中和する薬を使わなければいけません。
下右図、青が過酸化水素、赤マルが中和剤です。中和剤を入れ忘れてレンズを装用すると、過酸
化水素によって充血、痛みがおきます。数時間、充血や痛みがありますが、自然と良くなってき
ます。翌日も充血があるなら受診してください。