色覚異常の遺伝 2012.8
以前は、学校で全員の色覚検査が行われていました。2003年より色覚検査を学校でしない
ようになりました。最近では、希望者だけに検査をしてもいいようになっています。
学校から、検査で異常があったと連絡用紙を持って受診する子供が見受けられます。
色覚異常がどのように見えて、どんなことに注意すればいいかは、以前の「やまぼうし」
に書きました。今回は、色覚異常の遺伝について説明します。
なぜ希望者だけ検査するようになったのでしょうか
@
なぜ検査しなくなったのでしょうか
検査することは差別につながる。色覚異常の人を区別するのでなく、色覚異常
の人でも不自由なく生活できるような社会にすることが重要だという考えから
検査が中止となりました。
A
なぜ希望者だけ検査するようになったのですか
学校で検査しないと、就学や就職のときに初めて知る人がいて差し支えがある、
学校で検査することによって授業の時に配慮できるなどの理由が挙げられます。
しかし、眼科医のなかには、差別につながる学校での色覚検査に反対する人も多く
います。私は、学校での授業に活用されるなら、在学中に一回は検査をうけても
いいのではと思います。ただし、検査の紙を子供に渡すのは良くないと思います。
担任を通じて親に直接知らせるなどの配慮は必要です。
原因は、100%遺伝です。
遺伝の仕組みについて説明します。犯人探しではありませんが、親として知っておく
ことは必要です。男と女を決める性染色体というものがあります。X染色体とY染色体が
あり、男はXY、女はXXです。色覚異常の遺伝子はX染色体にあります。
男はXがひとつですので、Xが異常ならば色覚異常になります。女はXがふたつあり、
異常のXがひとつでは正常、ふたつそろうと色覚異常になります。
一番多いのは右図の組み合わせです。父親=正常 母親=異常のXが一つなので色覚は
正常。 左図はいろいろな組み合わせの親からどの子供が生まれてくるかの表です。
XX=正常な女子 XX = 色覚異常の遺伝子を持つが色覚は正常な女子
XY=正常な男子 XY =色覚異常の男子
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