上斜筋麻痺
上斜筋麻痺
上斜筋麻痺、聞き慣れない病名ですね。そんなに多くはない病気ですが、今年になって
3名受診しましたので、取り上げることにしました。
この病気を知ると目の動きの不思議を少し理解することができるかと思います。
上斜筋とは
眼球を動かす筋肉は片目で6本あります。上左図は右目です。上斜筋は、眼球の後ろか
ら前の方にきて、目頭の上の骨の滑車という部分で方向を変えて、眼球の上に付いてい
ます。滑車という場所で向きを変えるので昔は上斜筋のことを滑車筋といっていたので
支配している神経を滑車神経といいます。筋肉の走行が特殊なので働きも複雑です。
主な働きは
@ 眼球を内側に回転させる
例えば上2番目の図のように頭を右に傾ける→右目も右に傾く→上斜筋が働いて
右目を内側に回転させて元に戻す
A 内側を向いたときに目を下に動かす
上についている筋肉なので働くと目を上に引っ張るように働くと思うかもしれま
せんが、付着している場所の関係で内側を向いたときに働くと上右図のように目
は下に動きます。
上斜筋麻痺
生まれつき又は、ケガなどにより上斜筋が働かない状態です。特徴的な症状がありま
す。次の写真は左目の上斜筋麻痺です。下左写真で、左目は内側には動くのですが下
に動きません。赤い印の方向に動きません。右写真の右目が内下方を見た時と比較し
て見てください。
下左の写真は左目が内側をむいた時です。左目が上にいっています。下右写真で右目が
内側を向いた時と比較してください。
頭を傾けて目の位置を調べます。下左写真は右側に傾けた時です。瞳の中心に光が当た
っています。右写真は左側に傾けた時です、右目は瞳の中心に左目は瞳の下に光が当た
っています。左目が上にずれていることがわかります。
頭を傾けているのが特徴です
頭を傾けると目のズレが少なくなる方向があり、普段から頭を傾けています。右目が悪い
ときは左に頭を傾け、左目が悪いときは右に頭を傾けています。
治療は
プリズム眼鏡で上下のズレを無くしてあげると、上左写真のように頭を傾けなくなります。
麻痺した筋肉は良くなることはありませんので、根本的には手術です。反対方向に働く筋肉
の力を弱める手術をします。上右の写真は右目の上斜筋麻痺です。手術前は頭を左に傾けて
います。右は手術後1週間の写真です。頭を傾けなくなりました。
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