帯状疱疹(たいじょうほうしん)


最近、目の周りが痛く頭痛がある患者さんが受診しました。外見は何もないし、目にも
傷もない
し充血もありませんでした。目が原因でないと判断し、神経内科の先生に紹介
しました。
数日して受診すると、皮膚に水疱のような皮疹がでていて帯状疱疹でした。
皮膚の症状がなければ診断できないですが、痛みがあったら疑わなければいけなかった
と思います。


帯状疱疹の原因は

 水痘―帯状疱疹ウイルスが原因です。8種類あるヘルペスウイルスのひとつです。
 ヘルペスウイルスの特徴はしつこさです。体の中にいったん入り込んだらずっと居座わり
 ます。


初めての感染は「みずぼうそう」

このウイルスによって初めて感染をおこすと水痘(みずぼうそう)を
起こします。水痘は虫刺されのような赤みが数個でき、急速に全身に
広がり、次第に中心部が凹んだ水泡がはっきりしていきます。全身症
状が軽いことが多く、数日で収まります。目の症状はすくないと言わ
れていますが、先日、水痘にかかった3歳の子どもが受診しました。
写真のように目の周りの皮疹と目の充血がありました。目の周りに水
泡がでるなら眼科の受診をお勧めします。


その後は潜伏する
  水痘がおさまると、ウイルスは知覚神経の根元にある神経節という場所に潜伏して発病の
 機会
をうかがっています。次の発病は神経節から先の一つの神経の支配領域にそって帯状
 に「みず
ぼうそう」と同じ皮疹が出るので帯状疱疹といいます。全身にでる可能性があり
 ます。
体調が悪く抵抗力が低下しているときに発病します。年を取るほど発病しやすくな
 りますが、
健康な成人や子供にもでることがあります。

眼科と帯状疱疹

目の周りと目は三叉神経が支配しています。三叉神経は顔の知覚や運動を
支配しています。三叉神経は角膜や眼内にも分布しているた
めに目にも症
状がでることがあります。
図は、三叉神経の顔の分布の図です。緑が第
一枝、青が第二枝
オレンジが第三枝領域です。緑の部分が帯状疱疹になっ
たとき、
眼の症状がでます。
特に、鼻の先端に皮疹が出たときには目の症状がでやすいです。



眼部帯状疱疹









三叉神経の第一枝領域におきる帯状疱疹を眼部帯状疱疹といいます。額、上マブタ、鼻など
に痛みのある水泡ができます。痛みが強くて
夜も寝れないこともあります。皮疹が治るとき
は痒みがおきること
もあります。目には白目の充血や黒目に傷ができることがあります。
上写真、左は皮疹、中央は白目の充血、右は目の中におきた炎症です。

帯状疱疹後神経痛
 60歳以上の人では、皮膚がきれいになっても痛みが残ることがあります。一ヶ月程度で
 治る人もいますが、数年続くこともあり
ます。後遺症を少なくするためにも早めに治療を
 開始する必要が
あります。

再発は いろいろな神経で帯状疱疹が起こりそうですが、再発は1%程度です。
   
                    戻る