バセドウ病は目に異常が出るので眼科で検査を受けるようにいわれました。目が大き
くなったり目が出たのですが治せますか。バセドウ病では目にいろいろな症状が出ま
す。症状を軽くしたりなおす方法はあるのでしょうか。
バセドウ病とは
喉の部分に甲状腺という器官があります。甲状腺からホルモンが出されています。この
ホルモンは細胞の新陳代謝を促したり、体や精神の活動を活発にします。このホルモン
が過剰に出されるのがバセドウ病です。20歳代、40歳代の女性に多いです。
全身症状は
甲状腺が大きくなるために首が腫れます。脈が速くなる。指が震える。体重が減る。汗を
かきやすくなる。下痢などの症状がでます。
原因は
自己抗体の影響だといわれていますが、はっきりわかっていません。
治療は
甲状腺ホルモンの分泌を減らす薬を内服する。甲状腺に放射線を当てて働きを弱める。
手術で甲状腺を摘出する。甲状腺ホルモンの原料となる海藻などのヨードを食べないよう
にする。
経過は
時間はかかりますが治療により甲状腺ホルモンの量を正常にすることができます。
バセドウ病による目の異常
眼瞼後退（がんけんこうたい）
甲状腺ホルモンが瞼を上下する筋肉を刺激して、筋肉が収縮し瞼が上がった状態になり
ます。上の白目が見える状態になります。特に下を見たときに目立ちます。（写真左）
治療は、筋肉の緊張を少なくする点眼を使います。
症状が固定したら筋肉を伸ばす手術をします。
眼球突出（２番目の写真）
眼球は骨のくぼみ（眼窩）に入っています。眼球の周囲にある目を動かす筋肉や脂肪が
炎症により膨らんできます。その結果として眼球は前に飛び出してきます。甲状腺ホル
モンが正常になっているのに突出がひどくなったり、その逆の人もいます。眼球突出は
甲状腺ホルモンの量に関係なく、ほかの因子によって左右されているといわれています。
治療は、炎症を抑える薬を使う。眼球の後ろに放射線を当てて炎症の引き金になるリン
パ球を破壊する。眼球周囲の骨を破壊する手術もあります。
（３番目の写真は目の突出を調べているとことろです）
間接的に現れる症状
眼瞼後退や眼球突出のためにおきてくる症状です。
結膜の充血や白目の浮腫 （４番目の写真）
ドライアイ 瞼が閉じなくなるために目が乾いていきます。
複視 外眼筋の腫れのために動きが悪くなり物が2重に見えます。
視神経の障害 眼窩の圧が高くなり神経に行っている血管が圧迫されて視神経の障害
がおきます。
バセドウ病になった時に気をつけることは
バセドウ病は良くなったり悪くなったりすることもありますが、時間とともに改善する
病気です。（大体3〜５年で落ち着いてきます）
早期から、内科と眼科で治療を始めることが大切です。
甲状腺ホルモンが正常値になっても目の症状がでてくることもありますので、眼科での
チェックは大切です。
きちんと治療すればほとんどの患者さんは目立たない程度に治ります。