中心性漿液性網脈絡膜症
(ちゅうしんせいしょうえきせいもうみゃくらくまくしょう)。目の奥の
網膜の真ん中に水が溜まって、見ようとする物がゆがんだり、視力が悪
くなります。働き盛りの男性に多い病気です。
長くて面倒な病名ですが
病気の状態を列挙しただけです。中心性(物を見
る中心部に)漿液性(水のようにさらっとした
液体が溜まる)網脈絡膜症(網膜と脈絡膜の病気)
ということです。
以前は中心性網膜炎とも言われていましたが、
炎症ではないので網膜症と呼ぶようになりました。
どのような人におこりやすいのでしょう
中年の男性に多いです。男性は女性の3倍です。過労や睡眠不足、ストレ
スが引き金になるといわれています。通常は片目に起こりますが、時期を
ずらして両目におきることもあります。
主な症状は
物を見る中心部に水が溜まるためにおきる症状です。見ようとする部分が
暗く見えたり歪んだり、小さく見えたり、色が違って見えます。視力も下
がりますが0.5程度です。
目ではどのような変化がおきているのでしょうか
網膜の下には脈絡膜という膜があります。網膜は脈絡膜から栄養をもらっ
ています。不要なものが網膜に流れ込まないようにバリアがあります。
そのバリアの働きが悪くなると脈絡膜から水のような成分が網膜に流れ込
んできて溜まります。左の眼底写真で、中心の丸く膨らんでいるのが水の
溜まっている部分です。右は、造影剤を腕から注射して撮った蛍光眼底撮
影です。中心部に白い点がありますが、これが脈絡膜から網膜に水がもれ
出ている部分です。
治療は
内服 自然と治ってくることが多いので1ヶ月ほどは腫れを引かせる飲み
薬を使って様子を見ます。血液の流れをよくする薬や、水を引かせる漢方
薬を使います。
レーザー光凝固
長引くようだと、水が引いても視神経に異常が残ることがありますので、
水が漏れ出ている点にレーザー光線で熱を加えて漏れを止めます。
レーザー治療は次のような基準でします
2、3ヶ月以上しても水が引かないとき、再発を繰り返すとき、生活に
不便で早くよくなりたいとき
レーザー治療のできないときは
漏れ出ている部分がはっきりしないとき、漏れ出ている部分がものを
見る中心部に近すぎるとき
過労やストレスが引き金になりますのでゆっくりとした生活をすることも大切です。