ふうせんとうわた
最近、「ふうせんとうわた」が人気があり、上田市の塩田地域では
栽培が盛んになっています。この「ふうせんとうわた」の茎の汁が
目に入ると目が充血して見えなくなることがあります。この数年、
急に見えなくなったと受診する方が増えています。今年も10名以上
受診しました。毎年、受診する人もいます。「ふうせんとうわた」
の栽培に注意してください。
「ふうせんとうわた」とは
風船唐綿 【ががいも科ふうせんとうわた属】
原産地:アラビアからアフリカ 8〜9月咲き 実が熟れると割れて
白い綿状の羽をつけた黒い実が風に飛ぶ
利用:鉢植え、切花 最近では右写真のように生け花によく使われる
ようになった。
目に入るとどのような症状がおきるか
角膜(くろめの部分)浮腫がおきて
白く濁ります。
結膜(白めの部分は)強い充血がお
きます
目の中にも炎症が入り、瞳に炎症を
起こします。
視力は、0.1程度まで下がることがあ
ります。ほとんどの人が片目です
が、まれに両目の人もいました。
治療は、炎症を抑える点眼薬を何回
も点眼します。もとの視力に戻る
のに1週間程度かかります。
なぜ「ふうせんとうわた」が原因とわかったのでしょう
初めて患者さんが受診したときは、原因がわかりませんでした。とり
あえず、炎症を抑える強い目薬を使うと1週間ほどできれいになりまし
た。ご主人が受診して、3日後に奥さんが同じ症状になって受診しま
した。同じ生活をしているからといって同じ病気になることはないの
で変だなと思いました。何か目に入れたかも知れないと仕事のことと
か聞きました。「ふうせんとうわた」の栽培をしていることがわかり
ました。その後、似たような症状の人が受診するたびに聞いてみると
「ふうせんとうわた」の茎からでる汁が目に入るのが原因とわかって
きました。毎年、同じ時期に何人もの患者さんが受診するようになっ
て間違いないと思いました。最近、栽培が楽で需要も多いので「ふう
せんとうわた」の栽培する農家がふえています。
どのようなことに気をつけたらいいでしょうか
茎からの汁が直接目に飛び込むことは少ないようです。ほとんどの人
が素手で作業をしてその手で目をこすることが原因のようです。栽培
をしないことが一番いいのですが、栽培するときは手袋をして、防御
用のメガネをかけて作業が終わったら、手洗いすることが重要です。
毎年、受診する人は特に注意してください。
他の植物でも障害がおきます。
たとえば、エンゼルトランペット汁にはアトロ
ピンという成分が入っていて、汁が目に入ると
瞳が大きくなることが知られています。
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