人間の尊厳を問う
いつの時代も、もっとも弱い者が権力の犠牲者となる。毛沢東が全国の中高生を煽動して、自身の権力奪還闘争のために繰り広げた文化大革命。
30年の時を経て、いま50歳の働き盛りを迎えたかつての紅衛兵たちの中には、政治・経済の両面で大きく変貌を遂げた中国社会から見捨てられようとしている者も多い。「命を賭けたあの革命とはなんだったのか?このままでは自分たちの存在が歴史の闇に葬り去られてしまう」。
海霞の親探しは、彼らにとっても、自らの存在と尊厳を問う旅でもあった。
世界各地で絶賛!!
「延安の娘」は当初、NHKのハイビジョンチャンネルのために制作された。2年にわたる取材の結果、記録したハイビジョンテープは170時問に及んだ。
撮影は、黄土高原の壮大な風景と主人公たちの溢れる心情を見事に対比させ、力強い映像を生み出した福居正治。
編集は、歴史のうねりに翻弄されてきた人間の複雑な心理を、喜怒哀楽を絡ませ詩情豊かに切り取った2003年度の芸術選奨受賞者・吉岡雅春。
音楽は、「あの子を探して」「初恋の来た道」でチャン・イーモウ監督とコンビを組み、情感溢れる美しい旋律でいまや中国を代表する三宝(San-Bao)。
そして監督の池谷薫は、89年の天安門事件以降ひたすら中国を撮りつづけ、異様なまでの執念でタブーとされてきた文革に挑み「延安の娘」を完成させた。
壮大なスケールで描かれたこのドキュメンタリーは、ベルリン、モントリオール、シカゴ、プラハ、釜山、香港、シンガポールなど世界各地の映画祭で上映され、どの会場も国境を越えた感動の嵐に包まれた。