…いや、ぶっちゃけ酷い話です(笑)。
少年(作中に閑丸という表記は無し)はただひたすら人を斬殺。
向かってきたリムルルも何の躊躇も無く一刀両断。そのまま少年は去って行くという内容。
零SPクラスの残虐表現でリムルルを斬り殺すなんて後にも先にもこの作品だけでしょう。
しかし。
この作品は駄作でしょうか?残虐表現を前面に押し出しただけの唾棄すべき作品でしょうか?
自分はそうは思いませんでした。
逆に、「斬紅郎無双剣」という作品を完全に体現した作品の一つだと思っています。
そこにはどこか淀んだようで研ぎ澄まされた空気があり、血があり、そこで「修羅」とも呼べる人物達が剣技を振るう。
自分が「斬紅郎無双剣」という作品に感じていた「空気」をこの作品から感じる事ができました。
この作品で描写される少年―緋雨閑丸は正に修羅道を歩んでいきます。
自分内での妄想ですが、閑丸は回想という形で登場した半蔵や覇王丸も既に斬り殺しているような気がします。
そう考えると最終ページのどこか淀んだ瞳をしている閑丸もなんか納得できる。
この作品が収録された雑誌は新声社から出されていた「コミックゲーメスト」の1996年4月号。
その中の「SNK大特集」というコーナーで扱われていた作品です。
その後、商業ベースで発行された単行本などでの再収録はありませんでした。
当時立ち読みでこの雑誌を読んでいてパラパラとページをめくっている時に
この漫画のページから放たれるオーラのようなもので指が止まって、食い入るように読んだ記憶がありありと蘇ります。
まぁ、ハッキリ言ってこの作品は雑誌の中でも明らかに浮いていました!
他の漫画はどちらかと言うとライトなノリのギャグ漫画が大半だったのですから尚更ですね。
よって、この作品を読むには雑誌のバックナンバーを捜すしかない・・・と思ったら
なんとこの作品、作者の広江礼威氏が出したサムスピ同人誌に再録されているのです。
その同人誌のタイトルは「枕辺仮名手本侍魂圖」。
・・・まぁ18禁の同人誌で表紙もえろえろなのでここでの画像の掲載は控えます。
サークル名前は「TEX-MEX」。
広江先生は同人では「れっどべあ」(REDBEAR)という名前で活動される事が多いです。
これらのサークル名、タイトル名、作者名で秋葉原等にある中古同人ショップを捜せば
結構簡単に見つかるんじゃないでしょうか。
一応表紙画像が見れるリンクはこちら。18歳以下の人は見ちゃダメよー!
ちなみにこの同人誌にて、広江先生はこの作品について
「商業のパロディで真剣にリムルルを切り殺したのは僕だけじゃ無いでしょうかね」
とコメントされております。いやはや全くですね(笑)。
でも、自分の中ではこの作品を超える斬紅郎無双剣の商業パロディは見た事がありません。
それぐらいインパクト絶大の作品だったのです。
しかし、彼が行き着く先はどこなのでしょうか。
それこそ、ゲーム「斬紅郎無双剣」の閑丸エンディングに行き着くと思うのです。
以下、斬紅郎無双剣の閑丸ENDより抜粋。
真っ赤な雨の中、たたずむ閑丸‥‥‥‥‥
虚しさが心をよぎる。
確実に殺したはずの斬紅郎の死骸はそこにはなく、風景さえも違う‥‥
周りの木々は無惨に切り倒され、気が付くと斬紅郎の刀を持っていた。
「僕は・・どうなったんだ?」
閑丸は気が付かない、斬ったのは斬紅郎の心の「鬼」である事に。
記憶は戻らない‥‥‥‥ しかし、かすかに甦る何かがあった。
「僕は‥‥‥鬼‥‥‥なのか‥‥」
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