チョウチンアンコウ Himantolophus groenlandics Lophiiformes(アンコウ目) Ceratioidei(チョウチンアンコウ亜目) Himantolophidae(チョウチンアンコウ科) 水深数百メートルの海水中をただよって暮らしている魚で、体長は雌で30センチほどになります(上のイラストは雌です)。チョウチンアンコウ亜目の幾つかの種類では、雄が雌に寄生して生活しますが、チョウチンアンコウ自体の雄は寄生しないで自由生活を送ります。
Nelson 94. ではこの属の魚の最大体長は雌で46センチ、雄で3・9センチに達するとあります
アンコウ目の魚には食用にされるキアンコウや、海底を胸びれで動き回るイザリウオのような魚がいます。アンコウ目の中でも、チョウチンアンコウ亜目の魚は深海の海水中をただよって暮らすように適応したグループです。アンコウとは言うものの、私たちが食用にするキアンコウとは似ていません。キアンコウは比較的深い海底で暮らす扁平な魚で、チョウチンアンコウの丸っこい体型とはまるで似ていません。
さて、チョウチンアンコウのイラストを見ると分かりますが、アンコウ目の魚は背びれが変化してできた”イリシウム:illicium”という釣り竿のような器官を持っています。そうしたイリシウムの先っちょにはしばしばフサのような構造を見ることができます。これを”エスカ:escae”と呼びます。
エスカの形は種類によって様々ですが、多くの場合、獲物をさそうルアーとしての機能を持っています。キアンコウやイザリウオがイリシウムを振ると、旗竿の先の旗よろしくイリシウムの先端にあるエスカがヒラヒラと揺れます。するとそれをエサだと勘違いした小魚が寄ってくるのです。アンコウ目の魚はそうした小魚を素早く吸い込んで食べてしまいます。
もっとも幾種類かのアンコウ目の魚ではエスカはひどく小さいか、あるいはほとんど失われています。
チョウチンアンコウ亜目の魚たちの大部分もイリシウムを持っていますが、特徴的なのはエスカが発光するようになっていることです。とはいえ、すべてのチョウチンアンコウ亜目のエスカに発光器官があるわけではありません。中にはイリシウム、それ自体が見つかっていない種類もいます。
一方、チョウチンアンコウ、つまりHimantolophus groenlandicus 自体のエスカは特に複雑な構造をしていて、発光するだけでなく、発光液を放出することもできます。(詳しくは羽根田 S60. や羽根田 S47 :『発光生物の話 北隆館』が参考になります)
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