パソコンの中に妖精さんがいる

  

 物知りが男にいった。

 「論理的に正しければ、それは真実なのだ」

 それを聞いた男は物知りに言った。

 「なるほどね。」

 そして男は続けた。

 「君、知っているかね?。パソコンは妖精の力で動くのだよ」

 すると物知りは笑って答えた。

 「馬鹿言っちゃいけない。パソコンはパーソナル・コンピューターの略だよ。」

 「君が言っていることは”パソコンの名前の由来”だね。」

 男はさらに続けた。

 「君はパソコンが妖精の力で動くかどうか?、ということにまったく答えていないよ。」

 物知りは少し怒ったように問いただした。

 「じゃあ、妖精がどうパソコンを動かすというのかね?」

 「ソフトに書かれた通りに動かすのさ」

 「なぜ妖精にソフトなんて必要なのかね?」

 「君は説明書もなしに複雑な機械を動かしたり操作したりするのかい?」

 そう言うと男は続けた。

 「それと同じさ」

 すると物知りは問い続けた。

 「妖精がどうして電気なんて必要なのかね?」

 「電気が妖精の食べ物なのさ」

 物知りは男にさらに聞いた。

 「妖精がパソコンの中にいるという証拠があるのかね?」

 「さてね、私は妖精を見たことがないね」

 男がそう言ったので、物知りは怒っていった。

 「見たこともないのに”妖精がパソコンを動かしている”と君は言ったのか???!!」

 怒った物知りを見て男は笑って言った。

 「君は最初に何と言ったかね?」

 「君は、”論理的に正しければそれが真実だ”そう言ったね」

 「君、私の言ったことに矛盾はあったかね?」

 「私の言った言葉は論理的に間違っていたのかね?」

 「私は、ソフトを読み込んで、仕事をして、電気を食べる妖精を仮定すればパソコンの動作を説明できると言ったのだよ。」

 「一つのパソコンの中の妖精の数は有限なのだ。処理できないほどの負荷をかければフリーズもするのさ」

 「このように、私の言っていることはパソコンのすべてを説明できるのだよ。」

 男はそう言うと物知りを見ながらさらに続けた。

 「君の言っていることが正しいのならば、私の言っていることは真実なのだ」 

 

  そう言ってから男は最後にこう付け加えた。

 

 「すでに真実が分かっているのだよ?。証拠なんて必要あるのかね?」

 

 

 

 注:逆に言えば、実験したり検証したりしないと(少なくとも科学では)どうにもならないってことです。