ニネヴェ図書館による科学史漫画 番外編
紙幣の発達で征服と略奪はいかに無意味になったか
3000年前、メソポタミアの人々は銀や穀物をお金にした。これらは有限の資源なので、お金を確保するには戦争、征服、略奪が必然となる。しかし現在の社会は紙幣を用いるので、お金は刷れば良い。これゆえ、現在では征服も略奪も、その価値を減少させた。事実、現在の世界において戦争は極めてまれなものになっている。だからこそ、今、この時に戦争を決断したプーチン大統領を皆は理解できず、プーチンは狂気にとりつかれたと説明するようになった。
付記:日清戦争の賠償金について。当初、大清国が支払う金額は庫平銀(純銀37.6グラム)2億両とされたが、三国干渉で日本が遼東半島を手放したので、2億3000万両(銀8640トン)に増額された。この額はあくまでも支払い金額の設定。実際には大清国が国債を発行して投資家から資金を集め、それを受け取った英国が、国際通貨である英国ソブリン金貨3800万枚(金300トン)を日本名義とした。これだと銀を買い上げたり輸送したり、金に換算したりする必要がない。市場に悪影響を及ぼすこともない。
ソブリン金貨3800万枚を当時の日本円(一円金貨)に換算するといかほどか? 一円金貨は含有される金が0.75グラムで、ソブリン金貨が重量7.9グラムで金92パーセントであるから、3800万英国金貨に9.69を掛けると一円金貨に換算できる。その値は3億6800万円。ネットを見ると日本が受け取ったのはおよそ3億円という記述が多いが、これは多分、端数の6800万円が抜け落ちているように思われる。一部では日本が受け取ったのは3億6000万円とか、およそ4億円という記述が見られる。