U Orionis

オリオン座U星

オリオン座の変光星

6.3-12.0等 368日

 

オリオン座U星はオリオン座χ(カイ)星のすぐ近くにあります。χ(カイ)星 はオリオン座54番星でもありますが、この星は都市部で見るには暗すぎるので、おうし座ζ(ゼータ)星から辿った方が分かりやすいでしょう。以下はオリオン座におけるχ(カイ)星の位置を示したものです。狩人であるオリオンが振り上げた腕と武器の先端に当たる星がχ(カイ)星。その隣にある比較的明るい星がおうし座の角先である、おうし座ζ(ゼータ)星です。

2014年11月30日 1:00 

南中したオリオン座

以下は文字の入っていないバージョンです

 

U Orionis オリオン座U星

変光の範囲は6.3-12.0 資料によっては13.0。周期は368日です。予報では2015年の4月22日に極大。冬の星座にあるU星が4月に極大するということは、太陽が沈んだ時にはすでに西の地平に傾いているので観測には不向きです。それに変光の周期が365日とほぼ同じで、わずかに長い。このまま年を経ると太陽が昇っている季節に極大ということになってしまうのでは? それではU星の極大を見逃してしまう! そう思ってなんとなしに観測してみたもの。

*実際には変光星の周期はある程度幅なり不規則性が出てくるので、そうなるとは限らないのだろうけども、動機としてはそういうことでした。

以下は2015年の2月と3月のスケッチ

 

 左の円が2015年2月12日のもので、視野は50倍。そこに125倍で見た視野を重ねてあります。左の円も視野50倍で125倍の視野を中央に重ねたもの。

2月12日の時点では、125倍まで拡大して、なんとかU星が見えるかなあ? という感じ。多分、10.6等ぐらい。

それから40日あまりが過ぎた3月30日に見てみると、すでに明るくなって、赤みをおびた色をしていることも分かります。光度は6等ぐらい。つまり、この時点で光度はほぼ極大に近くなっていたということになります。もっとこまめにみておくべきだったらしい。

*なお、2月12日のスケッチには星にカタカナの割り当てがなく、3月30日にはあります。これはあくまでも自分のやり方ですが、スケッチした際に星の光度を示すためカタカナを割り当てます。このやり方をするようになったのが、2015年の3月30日以降だということですね。

なお、50倍の視野に入り込んでいる二つの明るい星はオリオン座54番星と57番星。この54番星がオリオン座χ(カイ)星です。

また、この時点ではオリオン座χ(カイ)星から直接、U星を探していました。3月30日のスケッチは20:45のもの。春分の日をすでに過ぎて夜は短くなり、空がかなり明るいので、都市周辺でχ(カイ)星からU星を探り当てるのはいかにも厳しい(そこでおうし座のζ(ゼータ)星からU星までの道順をスケッチしたのが以下)。

 

 

 これは2015年4月26日のスケッチです。時刻は20:00。オリオン座はますます西の地平へ傾き、空も明るい。もはやχ(カイ)星を探り当てること自体が不可能になったので、おうし座ζ(ゼータ)星から探すことにして描いたのがこれ。実際、オリオン座χ(カイ)星は都市周辺では、星が見える空でも探しにくいものです。それを考えると、最初からおうし座ζ(ゼータ)星を出発点にした方が良かったのでしょう。

以上のスケッチで連続した円は25倍の視野。画面左上がおうし座ζ(ゼータ)星。右下の比較的明るい星がオリオン座座54番星こと、χ(カイ)星。この時のスケッチは少しお上品な描き方で、あまり星がはっきり描かれていません。

ちなみに辿っていく途中に妙に赤い星がありますが、これはおうし座Y星(Y Tauri)。炭素星であり、これもまた変光星です。[Burnham's Celestical Handbook]によると、光度変化は7.1-9.5等、周期は241日。

 

 2015年4月26日のスケッチでは時間がもはやなく、良く観察できなかったので、翌27日にスケッチしたオリオン座U星。光度は多分、6.9等ぐらい。やや暗くなったけども、まだまだ明るい状態です。しかし残念、オリオン座はいよいよ西に傾き、観察はますます難しい状態に。季節柄、天候も良くなく、ここで2015年前半の観測は打ち切りです。

夏が過ぎ。オリオン座が東の地平線から再び見え始めた2015年後半、光度を落としたU星は暗すぎて見えません。11月、12月と見えない日が続きます。

 そして明けて、2016年の冬、以下は2月26日の様子。

 

2016年2月26日 23:00 のオリオン座U星

 2016年1月18日にはまだ見えず、2月18日にようやく見えました。以上のスケッチは2016年2月26日のものです。なお、ここでは星の相対的な光度を示したカタカナを振り直しています。アが振られた星がχ(カイ)星です。U星はセを振った星とほぼ同じかやや明るい光度。セの星は手元の資料だと9.1等ですから、この時のU星光度は多分、9等か、8.9等ぐらい。

以下は2016年3月17日のオリオン座U星

 

2016年3月17日 21:00のオリオン座U星

 半月がふたご座にあって明るい空。微星はよく見えません。オリオン座U星の相対的な明るさを不等式で示すと

エ:5>U>5:キ

といったところ。エの星は6.70等、キの星は7.70等なので、オリオン座U星は7.2等。やや赤みを帯びた色であることも分かります。

*オリオン座U星は脇にあるオの星とほぼ同じかやや明るい光度。*オの星の光度は手持ちの資料にはありませんが、以上からするとオは7.4等ぐらい? 

次は極大に近づいたオリオン座U星

20160年4月15日 20:00のオリオン座U星

春先はずっと天気が悪く、前回から一ヶ月ぶりの観測。U星の相対的な光度は、ウとほぼ同じで、やや明るく、ア:8>U>2:ウ、でした。おそらく光度は5.6等。空は比較的透明度が良いけども時刻が20:00と日没から間がなく、さらに半月が、かに座にあることもあって、暗い星はよく見えません。U星の脇にあるセの星(光度9.1等)がなんとなく見える程度。

以下は2016年5月4日のオリオン座U星

2016年5月4日 19:30のオリオン座U星

5月に入り、いよいよ高度が低くなったオリオン座U星。珍しく一面の青空。月も無くひさしぶりの暗い夜空が広がりました。しかし気流はめちゃくちゃ悪く、星がにじんで見える有様。暗い星はほとんど見えません。U星の光度は、ア3>U>1ウ、だったので、おそらく5.4等ぐらい。

 

 

参考:

[Observing Variable Stars ] David H.Levy

[Burnham's Celestical Handbook] Robert Burnham,JR

 

 

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