Moon

月齢8

 

2014年5月7日、20:30〜23:50にかけてスケッチした月

7日正午における月齢は7.9

スケッチの時の月齢は8.2~8.35となります

ここでは月齢8として扱うことにしました

*ちなみに望遠鏡で月を見ると、上下左右が反転して見えるので注意(ようするに以上の画像をひっくり返した形で見えます) 

 

 半月をやや過ぎた月です。大きなクレーターが明暗境界線に並び、アルキメデス(Archimedes)、プトレマイオス(Ptolemaeus)、レギオモンタヌス(Regiomontanus)と、科学と数学におけるそうそうたる面々に由来する名前が並びます。北半球では雨の海(Mare Imbrium)が朝日を浴びているところ。南半球は大きなクレーターが密集。

 顔を見せ始めた雨の海は、これ自体が巨大クレーターです。アペニン山脈(Montes Apenninus)はその縁にあたる部分、このスケッチでは分かりませんが、気流が良い時、南半球にある大きなクレーターをよく観察すると、無数のひっかき傷を見ることができます。傷は雨の海から放射状に並ぶので、巨大クレーターである雨の海が出来た時に飛び散った放出物による痕と考えられています。

またアペニン山脈の南側から、クレーター・パラス(Pallas)とマーチソン(Murchison)にむかって舌状に伸びている構造は印象的でしょう。傾斜が比較的ゆるやかであるらしく、明瞭な影は見当たりません。しかし空の状態が良いと、うねるように、長く舌状に伸びる姿を観察できます。その形は、山脈の斜面が崩壊して出来るようなものとは思えません。また、蛇行した谷もないので、扇状地のようなものでもありません。気流が良い状態だと”ざらざら”であることも分かりますから、冷えて固まれば比較的なめらかになる溶岩で作られたわけでもありません。

この地形は雨の海が出来た時に粉砕され、放出された岩石が堆積したものだと考えられています([The Geology of Multi-Ring Impact Basins] Spudis 2005 pp137)。地層としてはフラ・マウロフォーメーション(Fra Mauro Formation:まま訳すとフラ・マウロ累層)と名付けられています。クレーターからの放出物ですから、雨の海の縁では分厚く、実際、このあたりには大きなクレーターがありません。本来、そこにあったクレーターは、埋められてしまったと考えるべきですし、雨の海近辺では、この地層はそれだけの厚みを持っているとも言えます。

言い換えれば雨の海とその周辺は比較的若い地形だということです。実際、もっと南へいくと、フラマウロ累層は薄くなり、大きなクレーターが姿を見せ始めます。

  

 

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