Comet Giacobini-Zinner
Comet 21P
ジャコビニ・ジンナー彗星 (P21)
6・6年の周期で太陽をめぐる彗星で、太陽に近づくとほぼ地球軌道。遠ざかると木星軌道にまで至る彗星です。いわゆる木星族の彗星。他の彗星のように太陽系外縁からかつてやってきた時、木星の重力に軌道を曲げられ、現在の短い周期に変わったと考えられる彗星のひとつ。10月りゅう座流星群(しぶんぎ座流星群)の母天体でもあります。
1900年にフランスのジャコビニ(Giacobini)さんによって発見された後、行方不明に。1913年にドイツのジンナー(Zinner)さんによって再発見された有名な彗星です。自分が子供の頃はジャコビニ・ジンナーの呼び名で知られていました。実際には、Zinnerはツィンナーとかツィナーと読むらしい。このため今ではジャコビニ・ツィンナーとかツィナー、チンナー彗星と表記されています。
2018年10月6日 時刻は3:15 いっかくじゅう座を移動していくジャコビニ・ジンナー彗星。秋雨前線が列島にかかる日が続き、晴れても満月。観測できない日々が過ぎて、すでに地球との最接近は終わって暗くなり、予報光度も7等台の後半。左の大きな視野は75倍。中央右は望遠鏡のファインダーで見た光景で、いっかくじゅう座19番星とその周辺。ファインダー視野の中央の星が75倍視野の右下に描かれている明るい黄色の星(相対高度を示すカタカナはア)となります。右上の視野は4:25と4:50の彗星の位置。
台風25号コンレイが九州の西の海上を移動。秋雨前線が巻き込まれる形で北上し、晴れ間が広がった空です。7月末日に大接近を終えてそれでもまだ明るい火星も見えましたが、気流がとにかく悪い。火星はあきらめて、彗星観察。
観測に使った望遠鏡は口径30センチ。ジャコビニ・ジンナー彗星は、いっかくじゅう座19番星の近くを移動中。気流は悪いものの、透明度は良好。しかし、月齢26の月がレグルスの近くにあり、それ以上に街明かりがあるせいか38倍では見えません。70倍でぼんやりとした小さな姿をとらえることができました。動きは速いという印象です。スケッチ左の大きな円は観測のはじめ3:15における彗星の位置・右上は4:25と4:50。中央の微星にむかって移動し、通り過ぎて行きました。5:00には空が明るくなり観測終了。
台風25号が足早に日本海側を移動し、それに巻き込まれるように秋雨前線がいっとき消えた10月7日の未明。気流は非常に悪いものの、透明度はまあまあ。ジャコビニ・ジンナー彗星は昨日の場所と、散開星団メシエ50の間にいました。
スケッチ右下の円はファインダーで見た周辺の星。視野の外右下にいっかくじゅう座19番星があります。左上はぼんやりと見えるメシエ50。ファインダーの視野中央にある暗い星が、左の大きな円中央にある明るい星です。相対高度を示すカタカナはイを割り当てています。彗星はその少し左にかすかに見えています。
大きな円は75倍の視野で、時刻は3:15。右上の小さな視野は彗星周辺の星々を抜き出して描いたもので、時刻は4:05。彗星が足早に移動していることがわかります。