夜光虫

Noctiluca miliaris

 

2014年6月6日に顕微鏡を用いてスケッチした夜光虫

採集は2014年6月3日、神奈川県、三浦半島の荒崎

あまり数は多くありませんでしたが、採集時、夜の海水を手でかきまわすと

ちかちかと青白い光を見て取ることができました

採集はペットボトルで、そのまま封をして、時々観察したり水槽の水を足したりする以外は放置

画面上の円は顕微鏡の視野で、スケールバーは1ミリ。この個体は鞭毛が見えていません

下は顕微鏡視野のものと別個体で、こちらは細胞の向こう側に鞭毛が見えています

鞭毛はうねうねと自在に動き、細胞質は核の周囲からクモの巣状に水っぽい細胞内部をあちこち伸びているように見えます

どちらの夜光虫も90倍で観察

ただし画面左上の核と原形質の部分は、下の個体のもので、200倍で観察して描いたもの

 

 夜光虫はかなり大きな単細胞生物で、直径が1ミリ程度、大きなものでは2ミリ近くとなります。形は球形で、細胞質らしい部分がオレンジ色がかっている以外はほぼ透明。体のほとんどが水であるらしく、乾燥すると核と細胞質の部分が少し盛り上がって残るのみで、体はぺちゃんこになってしまいます。鎧やアルベオリは見えません。核はごつごつしたボール状で、体に対しては非常に小さいものです。

 大きな鞭毛を1本持ちますが、2本目が見当たりません。また、渦鞭毛藻類の特徴である横溝と縦溝もありません。体の特徴や大きさ、以下に述べるように発光することから夜光虫であることは分かりますが、見た目は渦鞭毛藻類ではありません。

 ただ、ちょうど桃の果実のように体の片方にへこんだ部分があるので、これが溝であると解釈することはできます。渦鞭毛藻類が持つ2本の溝のうち、横溝は体を一周しますから、これは縦溝なのでしょう。すると残っている鞭毛も縦鞭毛だ、ということになります。

 *手持ちの文献「原生動物図鑑」 講談社 猪木正三監修 1981 pp231を参考

 

こちらは2014年6月3日にスケッチしたもの

イラスト上の円は顕微鏡の視野で、ここに描かれた個体は

カバーグラスを置いて観察したもの

見る影も無くつぶれています

また、鞭毛が溝の近くから出ているらしいことは分かります

 

以下は2014年5月30日、三浦半島南端の潮溜まりで撮影した夜光虫の発光

潮溜まりに大量にいたので、刺激を与えればポケットデジカメでも撮影することができました

 以下は大量にいた夜光虫をペットボトルに入れたもの

しばらく放置すると自然と上に浮き上がってきます

以下は拡大

ポケットデジカメの接写でも、はっきり分かるぐらい大きな単細胞生物です

 

    

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