Cynodontia

キノドンティア/犬歯類(けんしるい)

哺乳類+キノグナトス、トリチロドンetc

Cynognathus

キノグナトス

 国立科学博物館の本館の展示を許可をえて掲載。国立科学博物館、正面玄関はいってすぐ右の展示コーナーの奥にあったキノグナトスの頭骨(注:2004年現在、本館は改装工事中のため、この標本はもうみれません)。キノグナトスは三畳紀の前期にいた肉食性のシナプシダ。この標本はレプリカなのか本物なのかは知りませんが、なかなかいい感じでした。骨の縫合部分ははっきりとは分かりませんが、まあそれは当然。とはいえ側頭窓がほとんど上を向いていること、左右の側頭窓が正中線で接近して矢状綾をつくっているなど、キノドンティアの特徴が見られます。下顎も歯骨だけになりかかっているらしいことが見てとれますね。頭骨が40センチぐらいであることからすると、全長は2メートル以上あるのでしょうか?。

 

 キノドンティア/犬歯類とは?:

 ペルム紀の終わり、シナプシダの大部分が絶滅しました。生き残ったシナプシダの系統のうち、草食性のディキノドン類はまもなく滅亡してしまいます。もうひとつの生き残った系統は筋肉を通す頭の穴がかなり拡大して、さらに下顎の骨が単純化しているという特徴を持っていました。この系統がキノドンティアです。彼らは三畳紀の地球で中型サイズの捕食者や植物食動物になりました。肉食のキノグナトスや植物食に適応したディアデモドンなどがそういう動物です。

 しかしキノドンティアは三畳紀の間に段々小型化してあまり目立たない動物になっていきました。とって代わるように、ぐんと勢力をのばしてきたのは爬虫類の仲間です。三畳紀には海に適応した魚竜、首長竜、空に進出した翼竜、陸上の大型捕食動物、あるいは植物食動物として比較的原始的なアルコサウリアやクロコディロターシーなどが繁栄しました。そして三畳紀の終わりには恐竜が出現し、陸上生態系における大型動物という地位を支配します。

 一方、キノドンティアはますます小型化していき、1億4000万年をすごすことになります。

   

 キノドンティアの系統:

_____________Procynoschus:プロキノスクス

   |__________キノグナトス、ディアデモドンなど

    |    ?____トリチロドン

    |=========プロバイオグナトス、トリテレドン科など

      |_______モルガヌコドン

        | ?___多丘歯類

        |_____Mammalia :哺乳類  

 

 哺乳類の一部を抜かすと、いずれもけっして大きくない動物ですね。キノグナトスはかなり大型ですが、初期のキノドンティアは概して小さな動物でした。トリチロドンは系統上の位置に議論があるようで、もっと哺乳類に近いという解析結果もあります。

 

 犬歯類の範囲について:

 キノドンティア/犬歯類という呼び名は古典的には意味が違っていました。犬歯類(キノドンティア)とは古典的には”哺乳類に極めて近いが哺乳類ではない獣弓類”のことで、キノグナトスやディアデモドン、トリチロドンやトリテレドン科などを含みますが、哺乳類(あるいは哺乳類に極めて近い動物)は含まれていませんでした。それをツリー・オブ・ライフで示すとこうなります。

______________Procynoschus:プロキノスクス

   |__________キノグナトス、ディアデモドンなど

    |    ?____トリチロドン

    |=========プロバイオグナトス、トリテレドン科など

      |_______モルガヌコドン

        | ?___多丘歯類

        |_____Mammalia :哺乳類

    

 ちなみに、犬歯類って古典的な分類では犬歯亜目で獣弓目に包括されていたんですよね。

 でも現在ではキノドンティア/犬歯類はツリー・オブ・ライフに合わせて哺乳類まで含むように拡張されています。

______________Procynoschus:プロキノスクス

   |__________キノグナトス、ディアデモドンなど

    |    ?____トリチロドン

    |=========プロバイオグナトス、トリテレドン科など

      |_______モルガヌコドン

        | ?___多丘歯類

        |_____Mammalia :哺乳類  

  

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