Archostemata

アルコステマータ/始原亜目/ナガヒラタムシ亜目

ナガヒラタムシ

Tenomerga muchida

 始原亜目は甲虫のなかでもっとも原始的なグループであると考えられていて、ナガヒラタムシは日本に分布する4種類の始原亜目のうちの1つです。2005年7月17日、夜、家の近くの電柱にとまっていたのを採集(北村の住まいは神奈川県の中央部)。触角を抜かすと身体の大きさは15ミリ。ナガヒラタムシの学名は古い本では Cupes clathratus とありますが、この学名はTenomerga muchida の異名(つまりシノニム)になっているそうです(参考:「保育社の原色図鑑69 原色日本甲虫図鑑(II) 」)。

 身体は細長く、両側平行。触角は長く糸状で11節。

 さらに上翅に格子状に点刻列があることからナガヒラタムシ科:Cupedidaeであること。(参考:「原色昆虫大図鑑」第2巻(甲虫編)」北隆館)

 さらに斑紋を持たないことからナガヒラタムシであると考えました(同属別種のヒメナガヒラタムシは斑紋を持つ。参考:「原色日本甲虫図鑑(II)」保育社)。

 右の写真で中央隆起の両側がくぼむ、と表記されているのは「原色日本甲虫図鑑(II)」保育社 におけるナガヒラタムシの前胸に関する記述から。またトゲというのは前胸背板の前角が鋭角であるという記述に基づいています。同属別種のヒメナガヒラタムシはこのトゲの部分がほぼ直角であるそうな。

 触角は基部から2つめの節がちいちゃいので一見すると11節には見えません。

 

 始原亜目とは?:

 このグループは上翅に点刻列を持つことが特徴で、もっとも原始的な甲虫であると考えられています。原始的な特徴を持つのみならず、化石記録も古く、ペルム紀の地層から化石が見つかっています。ただ、始原亜目が持っている特徴はがいして原始形質なので、このグループは側系統群である可能性が指摘されています(森本桂 1986 甲虫の系統 「原色日本甲虫図鑑(I)」保育社 )。

 例えば以上でのべた”触角が11節”という特徴、これはオサムシ亜目でもしばしば見られる特徴であるそうな。なんというかいかにも原始形質ちっく。また、そもそも始原亜目が本当に甲虫であるかどうかについてさえも議論の余地が少しあるようです。

 

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