ナガバヤブソテツ
Cyrtomium devexiscapulae
ナガバヤブソテツ
撮影:2012/12/10 神奈川県
濃い緑色で、てかてかしていることからオニヤブソテツに見えますが、オニヤブソテツよりも葉っぱが細長いことからすると、この株はナガバヤブソテツのようです。厳密に言うと画像に写っているこれ全体が1枚の葉っぱ。”細長い葉っぱ”に見える個々の部分は、一枚の葉っぱの一部です。大きな葉っぱの縁が深く切れ込むことで、複数の小さな葉に分離して見えるもので、用語的には羽片と呼びます。羽片がオニヤブソテツよりも細長いことがナガバヤブソテツの特徴となりますが、その違いは正直言ってなんか微妙。
ナガバヤブソテツ(以上と同一個体)
撮影:2012/12/09
裏から見るとこのような状態。たくさんの点々はひとつひとつがソーラス(Sorus:胞子嚢群)で、個々のソーラスもまた無数の胞子嚢(スポランギウム:Sporangium)が集合したものです。
撮影2012/12/09
拡大したソーラスです。たくさんの小さな丸いものが胞子嚢(スポランギウム)
撮影:2012/12/09
撮影時は12月、落葉した森に差し込む太陽光線で透かして見ると、網目状に走る葉脈が見えます。また、以下に示すように、葉っぱの縁はなめらかで、ギザギザはありません。
撮影:2012/12/10
撮影:2012/12/09
公園の森を走る小道にわんさと生えているヤブソテツたち。あまりに茂りすぎたせいか、2012年の秋に葉っぱを切られました。その後、新芽を出して再び葉を伸ばしたのですが、おかげで葉っぱの付け根が観察しやすい。葉を支える柄の付け根に鱗片が、まるで削り節を貼付けたかのようについているのが分かります。以下はむしり取った鱗片の拡大。
撮影:2012/12/10
参考にした「神奈川県植物誌 2001」神奈川県立生命の星・地球博物館 と見比べると、鱗片の形や様子はオニヤブソテツよりもナガバヤブソテツの方によく一致するように見えます(多分)。そういうわけで、この株はナガバヤブソテツということにしました。しかし同定の妥当性は今後も検討。