Prunus pendula × Prunus lannesiana

Prunus × yedoensis

ソメイヨシノ

 
 駅前の並木道にあるソメイヨシノをスケッチしたもの。ただし、左下の風景は海老名市にある秋葉山古墳群に生えているサクラと、その様子をスケッチしたものです。

 ソメイヨシノは Prunus属(サクラ属、あるいはスモモ属)の同属別種エドヒガン Prunus pendula とオオシマザクラ Prunus lannesiana の雑種です。ソメイヨシノの学名は Prunus × yedoensis で表記されますが、×が入るのは雑種であることを示しています。Prunus pendula × Prunus lannesiana でもかまいません。

 ソメイヨシノは葉っぱよりも先に花が出て咲くので、とても美しい樹木です。花は萼が5、花弁が5、雄しべは32とか35ぐらい、雌しべは1つ。花を支える柄が長く、萼が筒状の構造を作っています。この柄と萼に綿をほぐしたような、柔らかそうな毛がもさもさ生えているのが特徴。他の種類のサクラには毛が生えておらず、ツルツルの場合もあります。

 萼がつくる筒状の構造を縦に切ってみると、内側に雫のようなものがあって、なめると甘い。蜜が分泌されていることが分かります。雄しべは萼がつくる筒の入り口よりやや下から入り口の縁にかけて生えています。花は咲いた当初は白いのですが、時間が経つにつれて花弁の根元から赤みが強くなる様子。雄しべや萼も同様。花が散ったソメイヨシノは妙に赤っぽく見えますが、これは多分、このせいなのでしょう。

 花粉は黄色で、顕微鏡でざっくり見た限りでは確かに3つ溝がある三溝型花粉である様子。

*ちなみに左下のスケッチにある秋葉山古墳群とは、神奈川県海老名市にある古墳群のことで、全部で6基の古墳よりなっています(第6号墳は他より離れていて小さいので分かりにくいかもしれません)。海老名駅から歩いても、お隣の座間駅から歩いても20〜30分というとこでしょうか。丘陵地帯の尾根に沿って、ほぼ南北にずらずら並んでいます。詳しくは「秋葉山古墳群1・2・3号墳発掘調査報告書」などが出ているので参考のこと。スケッチしたのは一番南にあって、なおかつ一番大きく、一番新しい第1号墳。前方後円墳で、南側、前方部分より見ています。画面右側の傾斜がやや急なのはそこに道があって、前方部の角が削られているため。

  

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