暴君と忠告

 

自分の忠告に関心のない

暴君を見て賢者は言った。

「王よ、

私はあなたのためを思って

善意で申し上げているのです。

私の忠告が善いものでないと、

どうして言えましょう?。」

 

暴君は尋ねた

「そなた忠告が

妥当かどうか?

ということと

そなたの善意とは

関係ないことではないかな?」

  

賢者はいった。

「善意から出た忠告は善いものであるはずです。」

 

「なぜ?」

 暴君が尋ねると

賢者はしんぼう強くいった

「善いものからうまれたのですよ。

それは善いものに決まっています。」

 

「善いとはなんだね?」

暴君が再び尋ねると

賢者はあきれたようにいった

「王よ、

それはあなたも

知っているはずではありませんか?」

 

「なるほど、私も善意を持っている。」

暴君は続けた

「だから私もそなたに親切を施そう」

暴君はそういうと兵士に向って命じた。

「この男を斬首にせよ。」

「一体、なぜ首を刎ねるのでしょうか?」

兵士が戸惑って尋ねると

暴君は答えた。

「賢者は私が善いものを知っていると

言った。

また善意で行えば結果も善いものであろう

そういった。」

 

さらに暴君は続けた

 「私には賢者のいうことが正しいとは思えないが。」

「ではなぜ?」

兵士が再び尋ねると

暴君は答えた

「正しいとは思えないが

彼が言った通りのことを彼自身に

行うのだ。

それにこれは

親切と善意からなされることだ、

結果も善いものであるに違いない。」

兵士はしばらく考えると

はたして言われた通りのことを行った

 

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