暴君と切られた男

 

ある賢い男がいた

彼は暴君の暴虐を見て心を痛め、

そして暴君をいさめようと彼のところにやってきた。

そこで暴君は賢い男と話すことになった。

 

しばらく話をした後、暴君は男に言った。

「そなたは善人である。」

そして続けた。

「そなたの言葉はすくなくとも立派ではある。」

 

そして暴君は男に尋ねた。

「それで、そなたは一体どうしたいのかな?。」

すると賢い男は言った。

「私はあなたにあなたの非道を訴えているのです。」

「なるほど。」

そういうと暴君は男に尋ねた。

「そなたは私をいさめたいのかな?。」

男は答えた。

「そのとおりです。」

 

すると暴君はまた尋ねた。

「そなたが私をいさめることは、

それはそなたの動機なのかな?

それとも目的なのかな?、

それとも手段なのかな?」

 

すると男は答えた。

「私はあなたをいさめるために来たのです。」

「なるほど。」

暴君はそういうと兵士に言った。

「この男の舌を切り落とし、放逐せよ。」

 「なぜ舌を切り落とすのですか?。」

兵士がそう聞くと暴君は答えた。

「いさめるだけの舌はいらないからだ。」

兵士はしばらく考えると、言われた通りのことを

おこなった。

 

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