Assyria Spearman

攻城戦を行うアッシリアの歩兵(槍兵)

 

 まがいなりにも Wednesday のモデルにアッシリア帝国軍兵士の衣装を使ったので、一応、本家の姿を真面目に描いてみたもの。このアッシリア兵は敵の都市を守る城壁にかけた梯子を登り、攻撃をしかけているところ。冗談みたいな攻め方だけども、ティグラト・ピレセル3世時代のレリーフを見るとこういうシーンが刻み込まれています。見る限りでは手をかけて登っておらず、斜めに立てかけた梯子の上を盾と槍を構えつつ、足だけで登っていくらしい。鎧を着てこんなことをするからには、相当に訓練された兵士なんでしょうね。

 アッシリア歩兵、手持ちの資料では Spearman 直訳すれば槍兵と表記されているのですが、まあ、歩兵ってことでいいんでしょう。武装は槍と腰から下げた短剣。資料を見る限りでは戦いにおいて主に使うのは槍で、短剣は捕虜を傷つけたり殺したり、河に逃げ込んだ敵の首をかき切るのに使っている模様。使い方としては当たり前。

 盾は色々なものがあり、人間の背丈と同じくらい大きなものや、体を半分くらい隠すもの、あるいはイラストで描いたように比較的小さくて丸いものなどがあります。大きな盾は弓兵や工兵を守るために使われていた様子がレリーフからうかがえます。また、少なくともこうした盾のうち、幾つかのものは Wicker shield つまり枝を編んで作った盾らしい。ここで描いた歩兵も、盾が比較的小さく、片手だけで持っている描写からするとさほど重いものではないのでしょう。また、こういう小さな丸い盾が他のレリーフでは編み込まれたような模様で表現されていることからすると、どうも枝編み製だったらしい。少なくともここではそう解釈して描きました。中国のある民族が使っていたという木や竹を編み上げた盾や鎧も参考。

 鎧はいわゆる小札甲(こざねよろい)。ズボンの鱗模様は何か詰め物を縫い込んだというのでなければ、たぶん、魚鱗甲ってやつかもしれません。素材は手持ちの資料では不明。アッシリアはすでに鉄器を使っていたけども青銅器製の武器も残っているようなので、どんな感じだったのでしょうね。兜や鎧はやはり青銅器製でしょうか? 兜や鎧は当然ながら時代や階級、兵種によって違っています。ここで参考にしたのは、兜はティグラト・ピレセル3世時代のレリーフ、全体の姿はセンナケリブの時代のもの。あまりいい事ではありません。時代が2世代くらいずれている。

 アッシリアは長い歴史を持ちますが最盛期は紀元前8〜7世紀。非常に強力で高度に組織化された軍隊を持つことと、恐ろしく残虐なことで有名な古代帝国です。反乱を起こしたものを捕らえて皮を剥ぎ、その皮を城壁に張りつけたり、敵の手足を斧でばらばらにしたり、串刺しにしたりと、まあなんというかレリーフを見ているだけでもぎょっとするような描写が色々と出てきますね。

 

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