ナチ犠牲者はユダヤ人や政治犯だけではない。シンティ・ロマ（ジプシー）や精神障害者、社会悪（いわゆる浮浪者や乞食、売春婦、労働忌避者など）、同性愛者も「反ドイツ的」として迫害を受け、死に追いやられた。しかし戦後ドイツ社会はこれらの犠牲者を忘却してきたのである。ようやく８０年代以降になって、これらの「忘れ去られたナチ犠牲者」の記憶が公に呼び戻されることになった。その記念碑は＜記憶されなかったことの記憶のための記念碑＞といってよいだろう。
忘れ去られたナチ犠牲者の記憶――記憶されなかったことの記憶の記念碑
ナチ犠牲者はユダヤ人や政治犯だけではない。シンティ・ロマ（ジプシー）や精神障害者、社会悪（いわゆる浮浪者や乞食、売春婦、労働忌避者など）、同性愛者も「反ドイツ的」として迫害を受け、死に追いやられた。しかし戦後ドイツ社会はこれらの犠牲者を忘却してきたのである。ようやく８０年代以降になって、これらの「忘れ去られたナチ犠牲者」の記憶が公に呼び戻されることになった。その記念碑は＜記憶されなかったことの記憶のための記念碑＞といってよいだろう。
①「安楽死記念碑」（１９８９年）
碑文
「忘れ去られた犠牲者の名誉のために。ここ、ティアガルテン通り４で1940年から最初のナチ大量殺戮が組織され、この住所にちなんで「T４行動」と名づけられた。1939年から1945年まで約20万人の抵抗できない人間が殺害された。彼らの生命は「生きるに値しない」ものと見なされ、その殺害は「安楽死」と呼ばれた。彼らは、グラーフェンエック、ブランデンブルク、ハルトハイム、ピルナ、ベルンブルク、ハーダマーのガス室で死亡した。彼らは処刑特別隊によって、計画的な飢餓と毒によって死亡した。加害者は学者、医師、看護人であり、司法、警察、健康－労働管理の一員だった。犠牲者は貧しく、絶望的状況にあり、従順ではなく、あるいは援助を必要としていた。彼らは精神病院、小児病院、老人ホーム、養護施設、傷病兵病院、野営地から連れ出されたのである。犠牲者の数は大きく、刑を受けた加害者の数は少ない。」
②同性愛者記念碑（1989年）
「殴り殺され、黙殺された。
ナチズムの同性愛犠牲者のために」
ブロンズ板（1993年）碑文
「「ばら色の三角章」は、ナチスが同性愛者を強制収容所で中傷的に特徴づけた記号だった。1933年1月からノーレンドルフ広場の周りに散らばっていたほとんどすべての同性愛者の飲食店は、ナチスによって閉められ、あるいは検挙するための「ばら色のリスト」（同性愛者のカードファイル）の作成の場として悪用された。」
③シンティ・ロマ記念碑
ユダヤ人のためのホロコースト記念碑とならんで、連邦議会議事堂（旧帝国議会議事堂）の横にナチによって殺害されたシンティ・ロマ（ジプシー）のための記念碑が建つことになっている。
この看板には「ここにナチ占領下のヨーロッパで殺されたシンティ・ロマのための国立ホロコースト警告碑が立つ」と書かれている
