君よ知るや南の国







 舞台装置は家が1つ。それから大きなベッドが2つ。
 登場人物は、男性が2人。
 それで十分にして完璧だと、誰かは考えたらしい。



 俺は胸の上に手を組んで横たわっていた。
 四方の大きなガラス越しに、光と緑が目を射る。緑、緑。ステンドグラスの見事な意匠のような細かな葉の緑が、光に透かされて部屋の中にまで色素を映す。
 息をした。水面に出た気分だった。何年ぶりかという気のする空気をゆっくりと、俺は何度も味わう。呼吸は全身に作用を及ぼし、徐々にではあるが頭の中がクリアになった。
 新芽の匂いのする空気は水分を多く含み、ここが自分の常日頃暮らしていた場所とは違うという事を、俺は劇的に理解させられる。
 湿度。熱。
 ここはどこだ?
 身じろぎをすると、何かひやりとしたものが触れた。たぶん人間の腕だろうと思ったそれはやはり腕で、俺の隣には一人の男性が同じ格好で横になっていた。こういう謎めいた状況で、男である自分の隣に横たわっているのは女性だろうと予想していた俺は、しばしぼんやりと驚いていた。俺よりは少し年が上なのか、その人の目元には皺があった。シーツに溶けてしまいそうな、白い手をしている。

 他にするべき事を思いつかず、俺は見知らぬ彼を揺り起こした。
 その人があまりにぐうぐうと健やかに眠っていたので、俺は何か悪い事をしている気分になった。
 目をうっすら開けて「暑い」と彼は言った。
 到底不平を言っているとは思えないしみじみとした調子で。旧友の名前を呟くように、彼はもう一度「暑すぎる」と繰り返す。矢張り文句には聞こえなかった。
 それから彼は如何にも罪のなさそうな鳶色の瞳で、仰向けになったままぐるりと頭を巡らせて部屋の中を見回した。まるでまだ小学校に入学していない幼児のやる仕草だった。天井や、ベッドのへりや、窓枠、俺の顔。色々な物がその瞳に映るのを俺はただ見ていた。鳶色の眼に木々の葉が見え、そして再び俺の顔が映ったとき彼は少し笑った。そして「失礼」と言った。それが俺に向けて喋った彼の最初の言葉だった。
「……失礼とは何が?」
「ここは天国かと思いました」
「…………?」
「貴方の顔があまりに現実離れしてゴージャスなので、天使か何かだと思った。でも違うんですね。頬にシーツの皺の跡がある。貴方は普通の人間のようだ。気付いたらおかしくてつい笑ってしまった。非礼をお詫びします」
 そういう内容の事を彼はきわめてのんびりと語った。目が覚めたときに少々顔の整った人間がいたくらいで、人は天国にいる気持ちになるものだろうか?と俺は不思議に思った。
「確かに、俺は天使ではない。ええと……ミスター……」
 彼は「リーマス・J・ルーピン」であると名乗った。笑顔が地顔になったような、年齢のよく分からない表情で。それから
「顔色が良くないようですが大丈夫ですか?」
 と矢張りのんびりと、あまり大したことではない風に俺を気遣った。しかし、そう言う彼こそ健康そうには見えない。恐ろしく痩せた手足、水気を失った皮膚。おそらくは何か持病があるのだろう。俺は大丈夫であると彼に返事をし、そして「シリウス・ブラック」という名を名乗った。お互いに「よろしく」という間の抜けた挨拶をすると、しばらく沈黙が落ちる。握手をするべきかどうか、俺は少し悩んだ。しかし男2人が寝台の上に座って握手をする図、というのはあまりに奇妙で、それで俺は省略をした。
「ブラックさん……」
「シリウスと呼んでくれていい」
「では……シリウス。それにしても凄い名前だ」
 言葉だけでは馬鹿にされているのか褒められているのか、いまひとつ分かり難かったかもしれない。しかし彼が心底感心していると、何故か俺にはすぐに伝わった。「貴方の姿に合わせたみたいに、ぴったりだ」にこにことして、彼は殆ど独り言のような穏やかさでそう呟く。唐突にその時、子供が学校の先生に褒められた時に感じる、くすぐったい嬉しさがこみ上がってきたが、俺は気持ちの3分の1くらいの控え加減で小さくお辞儀をした。
「ルーピン、取り敢えずベッドから降りないか?大事な話をするにしても雑談するにしても、ここではあまりに妙だ」
「そうですね。私も貴方に聞きたいことがあったんです」
 我々はベッドの両脇にあった靴をそれぞれ履き、部屋の中央に向かい合って立った。小柄に見えた彼の背は、俺と大して変わりがない。姿勢が悪いので小さく見えるのだ。
「で、話というのは?」
「ああ、ええ。貴方は―――――」
 そこで彼は少し言いにくそうに口元に手を当てる。『こんな事を聞くのは失礼かもしれないが、ミスター……』というときに人がやる仕草だった。俺は続きを促すつもりで肩を竦める。
 彼は、頷いて続けた。


「貴方は一体誰ですか?」


 俺は両手を少し上げてみせる。
「私は説明を必要としているのですが」
 そうではないかと疑ってはいたのだが、あまりにその通りなので俺は息を吐いた。受けてきた教育がそのようなものだったのか、怒鳴ったり舌打ちをしたり神を罵ったりしようとは思わなかった。
「記憶が無いのか」
「ええ。ここはどこですか。今日は何日ですか?」
「しかし名前を名乗った。リーマス・J・ルーピンと」
「はい。名前だけは。もしかして先刻名乗り合ったのは冗談で、貴方は私を知っているのでしょうか?シリウス」
 沈黙が落ちた。それをどう取ったのか、彼は俺に詫びた。
「落ち着けば思い出せるかもしれない。もしかして私に近しい人ですか?だったらすごく……失礼なのだけれど」
 俺は首を振る。
「ルーピン。俺も名前以外分かる事が何もない。ここがどこか。今日が何日かも」
 驚かれるだろうと思ったのだが、彼は小さな声で「ああ、やっぱり」と言ったきり黙ってしまった。
 記憶を失った男が2人して眠っていたのだ。この家の中で。あまり普通の状況とは言えない。
 しかしそれにしては静かだった。我々は、どちらかが騒ぎ出すのをそっと待っているような、そんな顔で息をしていた。
 彼の目鼻立ちを、もう何十年も見てきたものだと錯覚するくらい長い間見つめあった後、俺は相手の性質がヒステリックなものでなかった事に感謝しながら小さく溜息をついた。そして、彼も俺と同じ心持ちだったのではないかと思った。




 それからすぐに、我々は家の中を見て廻った。家はなかなか豪奢な造りだった。外国の人間が異国の建築にインスパイアされてデザインしたもの特有の、誇張と修正が随所に見られた。四角錐の天井はこちら風、けれど周囲すべての壁をガラスにしたのは外国人の発想と技術。調度は全てこちらのもの。しかし床と水回りは大理石で西洋趣味。
 間取りはといえば、地階と2階にそれぞれのベッドルーム、1階に居間と小さな部屋、そして中2階に石造りのバスルームがあった。それは集会が開けそうな大きな埋込式のバスで、ルーピンは「ああ、大変だ。王様かスルタンでもなければ使えそうにない」と呟いていた。
 そう、このエキゾチックな家は我々の家であるらしいということが分かったのだ。
 居間のテーブルに賃貸契約書が置いてあり、そこには1つの筆跡で書かれた、俺と彼の名があった。シリウス・ブラックとリーマス・J・ルーピンの名が。
 そしてベッドルームの衣類箪笥の中には、自分達のサイズの衣服がきちんと入れられており、身の回りの細細とした品物も全て揃っていた。食器も、当面の食料も。そして現金(この国のおもちゃのような札で、すぐに使えるよう配慮されたものか小さい額の紙幣だったものだから膨大な体積だった)は物書き机の一番上の抽斗に入っていた。分かり易いように。
 この国の物価を知らないが、それなりに長い期間を暮らしてゆける額であるに違いない。
 ルーピンは「この謎だらけの家でこのまま暮らせるのは、かなり神経が太い人間だ」と、やはり笑顔で言っていたが、それなりに不気味に感じてはいるようだった。しかし「では出て行くか?」と尋ねると「この謎だらけの家でこのまま暮らせるのは、かなり神経が太い人間。か或いは行くところのない記憶喪失の人間だ」と訂正をしていた。
 窓から見える植物から、ここが元々自分が住んでいた国(どこかは分からないが)よりも随分南だという予想はしていたが、それよりも遥かに途方もなく南に我々はいるという事実を居間にあったTVや標識などで知ったのはその後だ。




 そういう訳で我々は、記憶のないまま、見知らぬ他人と一緒に暮らすことになった。念の為にいうと、他の選択が少しも浮かばなかった訳ではない。これよりは若干分別のある道が少なくとも5つはあった。なにしろ記憶喪失の男と南国の一軒家で共同生活である。相手が突然夜盗に変じて強盗殺人を働いても、この状況では誰も同情はしてくれないだろう。
 しかしリーマス・ルーピンという男がとても信頼できる人間だと、知っている気がしたのだ。彼だけは俺を裏切らないという事を俺は知っていた。どうしても彼を疑う方向へは感情が動かなかった。彼の容姿が優し気だからではなく、外見が脆弱そうだからでもなく、俺は彼を善いものだと認識していた。強固に。もしかすると記憶を失う前の我々の人間関係に繋がるのかもしれない。
 特に相談することもなく、木と草とガラスで出来たこの南国風の家で我々は生活を始めた。
 この国の、熱した粘土のような気温の中で外国人が生活していくなら、守らなければならないことがある。それはともかく日中は無理に動いてはならないということだ。日差しのある間は意識してゆっくりと動く。飲み物をよく摂り、読書などをする。
 日が沈んで風が出てくる頃、ようやく我々は動き始める。カフェへ食事に出掛け、買い物をし、蓮の咲いた池の周りを歩く。「バンパイアのようだね」と彼はにこにこ笑っていたが、この湿度と気温の中で慣れない者が無理をすればすぐに身体を壊してしまうだろう。特に彼のような色素の薄い人間は。
 幸いにもここはリゾート地として有名なところでもあったので、色々な人種、いろいろな組み合わせの人々で通りは溢れ、我々中年男性2人という組み合わせでも大して目立つ事はなかった。
 言葉に関しては、この国の言語は過去形や疑問形に決まった形がなく、とても簡単で覚えやすかった。俺は実際3日もすれば日常会話には困らない程度には習得することが出来た。リーマスはこの外国語を覚えるつもりはないのか、笑顔と身振り手振りで押し通している。
「覚えればいいのに。簡単だ」
 と勧めてみたのだが、
「どうせ私はすぐに忘れてしまう。それに君はきっと外国語が得意なんだよ。幾ら簡単な言葉だといってもマスターするのが早すぎる」
 と言って取り合わないのだった。
 けれど言葉を話さない彼が、何故かここの子供に人気があった。表に出ると必ず、黒い髪の子供達が物珍しそうに彼に寄って来て、口早に何かを訴えたり、服の裾を引っ張って虫や花を見せようとする。リーマスは鷹揚に子供等につきあい、得体の知れない菓子をもらったり、悪戯をしかけてくる子供の耳を引っ張ったりしていた。耳を引っ張られながらも子供はケラケラと笑い、それでも言葉の通じないリーマスの側を離れないのだ。
 そういえば彼の笑顔はこの国の神の像のそれに似ているなと思う。
 比較的この家から近い寺院へ、暇にまかせて行ってみたときに気付いた。
 一緒に暮らしてみれば、彼があまり怒ったり悲しんだりする性質でない事は誰にでもすぐに分かる。きっと自分の感情を完全にコントロールする術を知っているか、或いは感情が薄いかのどちらかなのだ。
 ともかく彼の笑顔はどこか西洋的ではない。だから、この町や人々にとても馴染んで見えるのだろう。





 我々は生活の為に働く必要も特にはなく、実に時間を持て余していた。それを解消するために俺とリーマスは色々な場所を散歩した。大抵は夜に。この国の月は強烈に明るくて、色々な物をペンキで塗ったようにけばけばしく照らし出す。水田も葉の緑も路傍の石も、プラスチックを思わせる不気味な光沢を見せて我々をぎょっとさせた。
 観光客へのサービスなのか、それとも実際に何か祀りがあるのか、山の方では夜毎どこからか音楽が聞こえる。神秘的なのか原始的なのかよく分からない音楽。しかし彼はここの圧倒的な夜にも音楽にも、特に哲学的な思索を誘われることはないらしく、熱心に「焼いた米の上に目玉焼きを載せる郷土料理を自分は如何に気に入ったか」という話を蕩々と俺に語ったりした。
 夜の散歩といえば、この辺りでは野犬の群に出くわす機会が妙に多く、突然十数匹の犬共に吠えたてられて肝を潰すことがあった。多くの国で友人扱いをされて飼われている彼等の目に宿る賢い光りはなく、この国の犬は鼻にびっしりと皺を寄せて、とても憎々しげに吠える。
 ルーピンは犬に吠えられるといつも
「私の知っている犬はもっと違ったように思う」
 と悲しそうな顔をしていた。
「犬を飼っていたのか?」
 と問うと、
「いいや」
 と自信がなさそうに彼は首を振るのだった。しかし彼の知る犬はもっと賢く優しく穏やかで、けれど強い心を持っていたそうだ。そして絶対に吠えたり噛んだり、そして尻尾を振ったり、およそ犬らしいことは何もしなかったらしい。
 それはもしかして犬ではないのでは?と思ったが黙っていた。






 自分達が何者かという話題は我々の間では定番のものだった。(しかし俺と彼は警察や大使館などの公的な機関を頼ろうとは一切考えなかったし口にも出さなかった。それは随分奇妙なことだと自分でも思う)「きっとそのうちに思い出すに違いない」、話はいつもその言葉で締めくくられた。
「俺達は何処の国の人間なんだろう。どこから来たんだろう」
 俺が子供のように質問をすると、リーマスは教師のようにゆっくりと答えてくれる。そういう形式、そういう遊びが出来上がっていた。2人しかいない家の中で、俺が挙手をすると、きちんと彼は指名する。
「そうだねえ、君はヨーロッパの人なんじゃないかな」
「どうしてヨーロッパ?アメリカ人の可能性のほうが大きくないか?」
「君の顎の形はハンバーガーで育った人のものではない」
「・・・・・・」
 或いは彼は本当に教師をしていたのではないかと、こういう時に思う。話す調子が少し普通の人間とは違うのだ。講義調とでも表現したくなるような丁寧な話し方。
「加えて言うとその手は今まで道具を使ってこなかった手だね。非生産階級の人だ」
 そして彼と話していると物を考えるのがとても楽しい。
「足もそう。荷物を持って長い距離を歩ける足ではない」
「お前は……」
 こちら側も何か指摘をしようと思って、それが難しい事であるのに気付く。顔立ちも体型も、リーマスの身体に特徴は少ない。
「教師だったんじゃないのか」
「教師?私が?」
 自分ではそう思っていなかったのか、彼は目を丸くした。
「駄目だよ。その推理は成り立たない。人に教えられるだけの知識量をもつ分野に思い当たりがないし」
「その記憶も失われたかもしれないじゃないか」
「そうかな。いいよ、じゃあ私は教師、君はどこかのお金持ちだ。そんな2人が、どうしてこの小屋に2人でいたんだろう。記憶を失って」
「何か罪を犯して逃げてきたのかもしれない。2人で」
「または私達2人は恋人同士で、その土地では一緒になれないのでここへ来た」
 彼の悪戯っぽい表情から、それがジョークなのだと理解出来て、俺は不自然でないタイミングで笑う事に成功した。彼の冗談は時折冗談に聞こえなかったり、ひどく前衛的だったりする。
「どうして。ヨーロッパなら……いやアメリカだって別に逃げる必要はないだろう」
「何か深い訳があって」
「そうか。じゃあ2人で手に手を取って逃げてきた?」
「うん」
 深い意味もなく俺はリーマスの手を握った。
 いや、深い意味がないというのは嘘かもしれない。俺はその手に触れたかったのかもしれない。彼の小さな手は哀れなくらい軽く、さらさらとしていて温度なく感じられた。体温が低いのだ。
 いや、俺はもともとその事実を知っていた。触れていない筈の彼の手のひらの温度を知っていた。否定しようもなく。
 彼は男に手を取られるという一般的でない事態を少しも気にしていないようで、握った手を2、3度揺らして続けた。
「身分違いだったのかもしれないし、あるいは近親者だったのかもしれないし。または……誰かを裏切って逃げてきたのかも」
「裏切るというのは」
「誰か別のパートナーがいて」
「ああ」
 笑いながら俺は、それは違うだろうなと思った。別のパートナーがいれば彼はここへ来なかっただろうし、俺なら逃げたりせずに関係者全員に布告をしたのではないかという気がした。状況が望むなら決闘でも何でも厭わなかっただろう。もし以前の我々の性格が今とそう変わらぬものならば。リーマスもそれは分かっているようだった。また冗談を言っているのだ。
 握っていた手を離し、俺達はおやすみを言い合って眠りについた。





 「虫が多いのは閉口だね」などと話す彼の、相手の反応を何も期待しない薄い声、けれども明るい独特の声を聞くと俺は無性に胸を抉られるような気持ちがした。これはどうした事なのだろう。以前自分が彼に持っていた何かの感情の作用だろうか。一体自分は彼のことをどう思っていたのかがとても気になる。彼を憎んでいたのか、あるいは好いていたのか。ヒントになるようなものは何一つなかったし、思い出せそうな兆候も無かった。





 南の国では水が今までとは違って見えてくる。ガラスの中にまで木々の緑が映り、硬質の光を放って、これを飲まないと生きていけないのだという実感が強まる。
 彼が水を飲むところを見ているのが、俺は好きだった。水を飲む人というのは、どこかひたむきなのだが、彼の場合は普段の気の抜け具合が著しいものだから、視線を対象物に据えて真面目な顔をしていると、その落差がものすごい。
 大抵途中で彼は俺の視線に気付き、こちらを見ながら残りの水を飲み干す。不審がって途中でやめたりはしない。こくりこくりと全て水を飲み終わってから彼は漸く尋ねる。
「何か変かな?」
 そんなことは実は少しも気に掛けていない風な笑顔で。
 俺はどうしても止められなくなって横を向いて笑う。
「失礼」
「ああ、まったくだ。いつもいつも。随分失礼だよ」
「すまない」
 けれど彼は今日も、ちっとも構わずに俺の前で水差しからコップに水を注ぎ、美味しそうに飲み干すのだ。





「私達の選べる道は3つある。一つは戦い続けること。もう一つは逃げること。最後の一つは……」
 夢の中でその人は俺に向かって笑った。この、相手に何も期待せぬニュートラルな表情。その人はリーマスと同じ顔をしていた、否、その人はリーマスだった。およそ笑うのには相応しくない話だというのを俺は知っていたけれど、だからこそ笑える彼を尊敬していた。彼のそういうところが好きだった。けれど、彼のそういう所を憎んでもいた。
「パッドフット」
 リーマスは俺をそう呼んだ。それは大切な俺の名だった。
 リーマスがその名を呼ぶ声を俺は愛していた。他の人間の名を呼ぶときとは明らかに違う呼吸。ゆるやかな。細められた目。彼の身の内にある愛情をすべて受けているのだと実感できる瞬間。
 彼の白い指が俺の頭を撫でた。大きな駅にいるらしく、天井は随分高かった。俺は身を屈めているのか妙に視点が低い。彼の膝がすぐ横にあった。
「私はほかの方法を思いつかない。それから……少し疲れてしまったみたいだ」
 彼の弱音を聞いた回数は極少ない。子供の頃に何度か(そう、彼と過ごした時間は随分長いのだ。夢の中の俺にはその膨大な記憶が全てあった)。そして大人になってからは数えるほど。いつもどうしてこんなに歌うような調子で悲しいことを言うのだろうと、怒りさえおぼえた。リーマスは俺を必要としていなかった。いや、上手くは言えないが必要でないような精神状態を常に保持していた。それが腹立たしかった。その時の顔も、うっかりしていれば笑顔だと勘違いしてしまいそうな、そんな表情を彼はしていた。
 言葉が出てこず、俺は彼をやわらかく噛んだ。
「どうするシリウス?」
 リーマスは雑踏の方を見ながら俺にそう尋ねる。
 そんな夢を見た。





「南の国出身の哲学者は少ない気がするね」
 ぽつりと、そうリーマスが言ったので俺は頷く。
「この気温は長い思考に向いていないからな」
 考えをめぐらせると、頭部は僅かではあるが発熱する。そんな微かな熱さえ、ここでは命取りだった。日陰でぼんやりと読書でもするか、あるいは午睡でもするのが賢い過ごし方なのだ。
 まったく完璧に優しい瞳のままで彼は言った。
「だから考えなくていいんだ。満月のたびに私が消える理由とか」
「そうだろうか」
 初めて持ち出された話題だったので俺は数回瞬きをし、先刻とは違う表情で彼を見る。
 はじめて彼が「散歩に行ってくる」と言い残して夕方に家を出てゆき、朝まで戻ってこなかったのはいつのことだったか。次の日、帰宅したリーマスを無言で見上げた俺に彼はひどく驚いて、「ごめん。待ってくれているとは思わなくて。本当に済まない」と何度も謝った。考えてみれば、彼も自分も成人していない年齢ではどう考えてもない。行き先を告げず出て行く自由はあるはずだった。
 それでも月明かりの中で彼を待っている時のあの嫌な感覚といったらなかった。何事か悪い出来事が進行していて、一刻もぐずぐずしていられないという確信。見えない影に背中を何度も叩かれている気がした。当て所もなく外を探し回ろうかと幾度か腰を浮かせたくらいだ。
 しかし彼は朝になると何事もなく戻ってくる。きちんと「明日まで戻らない」と言い残すようになった。
 彼が家に戻らない日には厳密な周期がある。俺はすぐにそれに気付いた。
「そうだよ。満月になると私は少しヒステリックになるんだ。君に不愉快な思いをさせたくない。それだけだ」
 部屋の中に射してくる太陽の光があまりに白くて力に満ちているので、彼のその真っ赤な嘘までも健全で明るいもののようだった。
 他の返事を思いつかず俺は「そうか」と言い、彼が去った後で壁を殴りつけた。それでも彼の嘘が俺の知る全てのなかで最強のものであり、自分には到底太刀打ち出来ないという認識だけがあって、俺の行動を戒めていた。
 その忌々しい記憶さえなければ、俺は彼の両肩を嫌というほど揺さぶって、怒鳴って、問い詰めていただろう。
 中途半端な記憶に感謝すべきなのか、怒るべきなのか、俺にはよく分からなかった。





 その寺院から見る夕日は、ガイドブックや旅行社のパンフレットによって世界中に知れ渡っているらしく、毎日この時間になるとおびただしい数の人が集った。毎日特にすべき事を持たない我々は、人の姿を見たくなるとここへ来て夕日を見た。オレンジ色の果実が煮溶けていくような落日。太った老夫婦や、電化製品を持ったアジアの少女達、大きな荷物の青年達は、地平線に太陽が姿を消すと同時に歓声を上げ、拍手をして、見事に揃った様子で退席する。日が沈んでから5秒もすれば先ほどまで人間の頭に埋め尽くされていたそこには、俺とリーマス以外の人間の姿はなくなる。いつものことだ。「なんともクールだ」とリーマスは愉快そうだった。彼は日没後のオレンジ色のほうが好きなのだ。
 足元の鳩を見たり、西のほうを見たりしているリーマスに俺は言った。
「俺はお前の事を愛しているのだと思う。お前はどうなんだろう」
 彼はやはり沈んだ太陽を見ていたが、その表情は変わらなかった。驚いたようでもなかったし、迷惑そうでもなかった。しかし喜んでいる表情でもなかった。ただ、優しい顔をしていた。
「もちろん私も愛しているよ。奇妙な事になったなあとは思っているけれど」
 リーマスはこちらを見ないまま、そう言った。
 空の明るいグレーは東のほうからどんどんと塗り替えられてゆき、彼の表情はオレンジがかった闇の中でゆっくりと見えなくなっていった。





 ある日俺達は同じベッドに入った。
 俺が触れている間、雨を受ける人のような顔をして、ずっとリーマスは目を閉じていた。
 疑念だった事は俺の中で確信に変わった。俺はこの体を知っていたのだ。髪の感触や、体温が2度ほど上昇した時の彼の匂いや、腕の内側の温度を覚えていた。
 懐かしい家に帰ってきたような、それは静かな確認作業だった。
 途中、何かの拍子で天井にいたトッケイが俺の頭の上に落ちてきて、
「私の上に乗っている君。そしてその上に乗っているトッケイ」
 と言ってリーマスはいつまでもいつまでも笑っていた。そういえばこの人は笑い上戸だった、とまた俺は思い出した。
「そうやって頭の上に乗っているところを見ると、なかなか似ているね」
「似ている?何と何が」
「トッケイと君」
「このトカゲと俺が?」
 トッケイとはこの国の生き物で、幸福を象徴すると言われている。大きなトカゲに似た外見で、背には人の手によって念入りに彩色されたような模様があった。今の時間にぴったりな素敵な話題という訳ではないと思ったが、俺は返事をした。そう、この頓珍漢な問答でさえ懐かしさを感じたからだ。
「トッケイはトカゲじゃなくてヤモリだよ」
「どこが似ているか聞いても構わないか?尻尾があるところ?それとも壁を自由に這い回るところが?」
「姿が綺麗で、堂々としているところかな。ほら、この態度ときたらどうだろう。危険を全然顧みていない」
「危険?」
「こういうきらきらした物は、誰でも欲しくなる」
「別にこんなもの、俺は要らないが」
「或いはね、あまりに綺麗なものは、どうしても潰したいと考える人がいるんだよシリウス。君には分からないかもしれないけれど」
 リーマスの手によって床へ下ろされたトッケイは、のそのそと鷹揚な足取りで屋根と壁の合わせ目から戸外へと出て行った。
「なんて無防備なんだろう」
 一瞬彼の表情から笑顔が消えて、初めて俺は笑んでいないリーマスというものを見た気がした。彼の年齢を俺はいまだに知らないが、恐ろしく年上に見えた。訳も無くぞっとした俺は彼の顎を捕らえる。
「私は君を許そうと思う。だから君も私を許して欲しい」
 彼の眼が近くにあって、ひどく真面目な色をしていた。
 俺は彼の言葉が指しているのは2人のこの関係についてかとそう思い答えた。
「特に許しが必要には思えない。俺にも、お前にも」
 と。
 彼は両の手のひらで俺の頬を包み込み、瞼に口付けをした。姉が弟に、叔母が甥にするような静かなキスだった。





 精神は記憶を取り戻さぬまま、体だけはどんどん以前の呼吸を思い出していた。もはや我々はお互いの身体を異物だとは認識していなかった。否、身体は記憶を失っていなかったのかもしれない。手も肌も、最初から何も戸惑ったりなどしなかった。
「もし私達が単なる会社の同僚で、たまたま休暇の予定が合ってここへ来ていたりしたら大変な事だね」
 リーマスがそう言って笑う。
「大変とは?」
「だって、いつまで経っても帰ってこないからと同僚が私達を探しに来て、ここへ訪れたとしたら?そして抱き合っている私達を見たら?きっと社内で伝説になるよ」
「……なんでそう突拍子もないことを思いつくんだ、お前は」
「あり得なくはないと思うけどなあ」
「あり得ないさ」
 我々の関係が、ただの同僚でなどなかった事は彼もよく分かっている筈だ。そして2人の知識には奇妙な欠損が多すぎた。記憶ではない。少なくとも俺は『会社』と言われて思いつくイメージは忙しそうに書類を手にした人々が歩き回っている風景、それだけである。具体的に『会社』というものがどんなシステムで動いているのかが知識にない。……この世界に関する俺の知識には、異様な偏りがある事はもう薄々は分かっていた。生活に必要な基本的な部分の記憶は少しも失われていない。だというのに俺はあまりにも知らない事象が多すぎる。テレビを知ってはいても、それがどの団体のどういう利益で運営されているかを知らなかったり。国の名前を知ってはいても、各国の政治や宗教についての知識が皆無であったり。
 記憶を失う前の自分がどういう人間だったのかを考えると、夜中に物凄いような精神状態になるときがあった。そして階下で眠るリーマスも同じ気持ちになることがあるのだろうかと考えるのだった。
 決してそれとは問えなかったのだけれど。





 我々は、時折この家の中で不思議な発見をした。物置の中に空っぽの鳥かごが2つ入っていたり、庭の隅に沢山の書物を焼いた跡があったり。そして近所の子供達が我々のささやかな庭で土遊びをしていて見付けたのが、2本の木の棒だった。つい最近埋められたばかりなのだろう、少しも腐敗していないそれは明らかに価値のありそうな素材に控え目な装飾が施されており……そして真ん中の所で折られていた。
 俺はそれを見たとき、自分でも不思議なくらい動揺した。
 なにがしかの決意を感じさせる折り方だった。
 2本。
 おそらくは俺とリーマスの所持品なのだろう。
 記憶のどこかにおかしな具合に作用したのか、不安で心臓が締め付けられる気持ちと、悲しくて胸が詰まる気持ちと、安堵感が同時にやってきて吐きそうになった。
 彼は何も言わなかった。
 軒下の分かりにくい所にあった水晶玉を見たときも、彼は「きっと誰かが占いに凝っていたんだねえ」といつもより丁寧な笑顔でそう言っただけだった。





 その夜、月は丸くて彼は家にいなかった。
 俺はいつものように色々な事柄に手をつけ、そして次々とそれを放置する偏執狂めいた動作を止められずにいた。
 電源を入れっぱなしにされていた数々の電化製品の中の、テレビに俺はふと目を向けた。月と同じくらい冷たい光を部屋の床に投げかけているそれには、動物が映っていた。どうやら動物を紹介する番組の最中のようだ。
 リーマスはいなかった。
 画面に映る動物は銀色の毛並みをしていて、とても美しかった。
 外は満月だった。
「まず我々が為すべき事は沈黙だ」
 記憶の中の、少年の顔をしたジェームズがそう言った。
「そして手段を考える事」
 彼は語る。「僕は我慢がならない。僕は僕の友人と楽しく暮らす。その邪魔をされるのが我慢ならない。例え病であっても世間であっても、僕は粉砕する」ジェームズはそう言った。クレイジー・ジェームズ。銀の槍を持った不敗の騎士。懐かしいあの頃の彼の言葉。
 リーマスが今、何をしているかを俺は正確に思い出した。彼がどうして満月の夜に家を出て行くのかを思い出した。人生でこれを知るのは2度目になる。

 我々は賭をしていた。
 俺は記憶を取り戻し、その瞬間に彼は側にいなかった。これが答えだ。

 俺は次々と知る者の名を唱えていった。ハリー・ポッター、ジェームズ・ポッター、リリー・ポッター、アルバス・ダンブルドア、ミネルバ・マクゴナガル、ルビウス・ハグリッド、リーマス。リーマス・J・ルーピン。
 魔法の最後の片鱗が後頭部から剥がれ落ちた気配がして、俺は暗い床に膝を付いた。
 そして絶叫をした。






 あの時リーマスは俺にこう言った。あれは夢の出来事ではなくここに来る前に現実にした会話だ。
「私達の選べる道は3つある。一つは戦い続けること。もう一つは逃げること。最後の一つは」

 運を天に任せること。

 我々は互いを惜しんだ。大切なことや為すべき事は他に幾らでもあったがともかく互いが損なわれる事を何よりも恐れた。成人した人間がこんな精神状態でいるのは異常な事なのだろう、骨折した腕が捻れて癒着してしまったように、2人の関係は奇形だった。互いに執着する事で心の均衡を保っていたのだ。しかし我々には……少なくとも俺にはこれしか救済の道が残されていなかったし、リーマスはそれに飲み込まれることを厭わなかった。
 あの日々を思い出すと、自分の胸の内の狂乱を思い出して今でも息が詰まる。
 我々の暮らしは決して平安なものではなかった。リーマスは何度か大きな負傷をし、俺は彼以上に沢山の損傷を受けた。意識のない彼の顔を見ている自分のあの気持ち。そして意識を取り戻した時に、最初に目に入る彼の表情。それは狂った人間のものだった。決して不安だけではない、怒りや憎しみや、色々なものがそこにはあった。また再び言葉を交わせたことを喜び合うよりも先に、我々は負傷した友人への怒りを抑え、また逆の場合は傍らに立ち尽くす相手に何度も謝罪の言葉を囁かなければならなかった。
 彼の中にある、復讐心。それを憎んだこともある。きっとリーマスもそうだろう。

 
 同志達への連絡を断ち、この国に渡って住処を探す間、我々は恐ろしい沈黙の中にいた。どちらが言い出したことなのかは……覚えていないし、あまり意味はない。何にしろ合意のうえで実行したのだから。
 ただ、我々は恥を知る人間だった。これがどういう意味を持つのか、きちんと認識していた。仲間を見捨て、ハリーを見捨て、友を殺された恨みを忘れ、命を惜しみ全てから目隠しをして生きる行為。惜しむ命が自分のものではないという事は言い訳にはならない。我々は……いや俺は、自ら選んで誇りを捨てた。
「たぶん自己紹介から始めるんじゃないのかな」
 リーマスは長い沈黙をそういう言葉で破った。
「君はたぶん、自分のことをシリウスと呼んでくれ、とそう言うよ」
 彼の予想は当たっていた。





 俺はリーマスの戻る前に家を出た。
 記憶の蘇った今、自分の為すべき事が何なのかを俺はよく知っていた。そして彼に言うべき言葉は見つからなかった。そして俺は、これこそがずっと自分の望んでいた状況なのではないかと気付いた。
 彼を安全な場所に置いて、そして全てが済んだ後で彼の元に帰る。
 ロンドンに着いたら彼に手紙を出すつもりだ。
 2、3の仕事を思い出したのでしばらく帰れないと。けれど必ず戻るので自分を待っていてほしいと。そこでずっと待っていてほしいと。
 自分に都合のいい空想かもしれないが、彼は待っていてくれるような気がした。


 一体俺達はどんな顔をしてこの作業を成し遂げたのだろうか。追跡されぬように移動の痕跡を消し、身の回りの物を処分し、家の中を整える。口を開けば世界が壊れるような沈黙の中にいたのだろうか。それとも案外冗談を言って笑い合っていたのかもしれない。今となってはそれは分からない。
 ただ。
 少しだけ不安があるとすれば。
 果たしてリーマスは記憶を取り戻していなかったのだろうか、という事だ。
 いや、むしろ、彼は記憶を失っていたのかという。それこそが。
 記憶を失う直前の出来事がひどく不鮮明だった。これをどのように2人で行ったのか、この家に着いてからの詳細を俺は覚えていない。もしも忘却の術を使ったのであれば、一体どちらが術を掛けたのかが気に掛かる。
 俺か。
 それとも彼か。

 けれど俺は答えを確かめないまま、彼に手紙を出すつもりだ。暗闇で無心に手を差し伸べれば、彼は必ずその手を取る。それこそが重要なのだ。彼さえそこに在れば、俺は真実の事柄など2度と見えなくても構わない。

 ロンドンに着いたら、俺は彼に手紙を出す。




 何も考えず、ただそこで自分を待っていてほしいと。
 何の許しも、きっともう必要ないと。
 そしてお前を愛していると。









                                ――終――






















君よ知るや南の国

レモンの花咲き
緑濃き葉陰には、こがねのオレンジたわわに実り
青き空より、やわらかき南の風
ミュルテは静かに、ロルベ-ルは高くそびえる。
君よ知るや、かの南の国。
かなたへ、君とともにゆかまし。愛しきひとよ。


ヨハン=ウォルフガング=フォン・ゲーテ









「ミニヨンの歌」はゲ-テ作
「ヴィルヘルム・マイスタ-の徒弟時代」第3巻。イタリヤ讃歌。


ゲーテさんはドイツ人。
この場合の南の国はイタリア。
オペラはフランス語のオペラ
(なんか混同しませんか?
そしてオペラ自体は(概ね)ハッピーな結末です。
でも訳文がとても美しいのでタイトルに使用)





この人の命と引き換えるなら人が100人死んでもいいとか
そういう愛情を身の内に抱える人がいて、しかも環境も
常にその選択を迫るような状況で、それでいて本人は
公正で優しかったり誇り高かったりしたらその苦しみは
如何ばかりかと思う。
きっとつらくてつらくて消えてなくなりたいような
気がすることだろう。それでも相手の身だけは
健やかに幸多くあるようにと祈るだろう。
お互いにそう思い合うことは
地獄なのでしょうか天国なのでしょうか。

水晶を割ることが出来なかった人の、
気も狂わんばかりの不安を思うと、
ちょっと泣けそうです。

読んだ人それぞれに解釈がある……訳ではありません。
この話の筋道は1つ。でも特に説明はしません。

3つの絵と3つの言葉は一応全部使いました。
私はAme様出題のをメインに使う取り決めだったのですが、
普通トカゲ君の絵が出てきたからって
それをそのまま出すでしょうか?(笑)
自分という人間は土管より直球だとおもいます。

楽しい企画でした。Ame様シブ様ありがとうございました。
1本書けば2本読める。しかも間違いなく面白い物が読める。
こんな美味しい話に乗らないのは馬鹿です。
脳の足らなかった私も、1年サイトマスターを務めて
いくらか知恵がついたようです。

そして陰鬱な話で申し訳なかったですが
でもでも皆様メリークリスマス!!

2003/12/24