「基本的に同性の体だから、君の裸を見て興奮するという事はないんだよね」
 バスルームから出たばかりで半裸に近い格好をしていたシリウスにそう言うと、彼はしばらくじっと考えて、慎重に「そうだな」とのみ短くコメントした。
 私達は同性愛者であるという訳では、特にない。(まあ、そうであっても別に不都合は感じないのだが。私はともかくシリウスが同性愛者だというのは、彼の過去を知っている身としてはどうにも笑ってしまう)
 しかしそれとは矛盾して我々は男性同士でしばしばベッドを共にする。
 不思議だとは思わないかい?と尋ねると、何を困る事があるのか、彼は額に汗を浮かべて悩む様子を見せた。
「……ああ…けど…ただ、俺は……お前が……」
 その口調や、逸らされて落ち着かない視線で、何となく言いたい事は分かったのだが、面白いので続きを待った。

 しばらく沈黙が落ちて、シリウスは怒ったように(いやおそらく怒ったのだ)「もういい」と言い捨てて部屋を出て行った。
 


「結局のところ。
シリウスが迷走している間、私は考えをまとめた。
そうやって困っている彼の表情や、黒い髪や、手や。
もっとささいで下らない色々な事、例えば眉を上げる癖や咳き込むときの調子、
それら一切合財を私は全部好きで、欲しくて手に入れたくて。
それで彼と抱き合うのかもしれない。
もっと短い言葉で言い表せる気もするのだが、多分私には不似合いだろう」

て、内容が後書きにハミ出してるよ!



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